2011年7月31日日曜日
荒尾山と大甲山
宍粟市波賀町の中心地、上野の付近から西を見ると、北側に大きな山が見えます。これが大甲山です。中腹に林道が水平に走っているのが気になりますが、Google Earthでは現在この付近の画像は雲がかかっていてよく見えません。登山ルートもいろいろありそうですが、とりあえずやや古い情報([1])を元に波賀町齋木の前地から登ることにしました。
車は429号線沿いの齋木自治コミュニティセンター付近にとめて、前地から北に集落を抜けました。西に曲がって真っ直ぐ歩くと、堰堤が見えてきました。その手前に北に折れる未舗装の林道があり、こちらに行きました。すぐに大扉がありました。左端で大きな一枚扉を開ける仕掛けで、ちょっと悩みましたが、それを通ると目の前を鹿が跳ねて行きました。二つ目の尾根から山に入りました。この付近は雑木林で、枝を折りながら歩かねばなりません。やや複雑な地形ですが、それを過ぎて植林に入ったと思ったら林道がありました。「森林管理道 前地・カンカケ」とあります。おそらく堰堤の方から来ていると思われますが(Google Earthで見ると更に旧429号線まで繋がっています)、幅の細い砂利道です。「カンカケ」は植松山のはるか北に「カンカケ越」がありますが、この付近の山をすべて取り囲んでしまうのでしょうか。とにかく水平道で役には立たないので、そのまま横切って再び植林を登りました。ここから上はほとんどが植林なので、堰堤経由でここまで林道で来るのは正解だと思います([1])。
急勾配でしかも間伐した木がそのままになっているため、歩きにくい植林ですが、下草がないので楽なものです。ただしこの日は暑かったので、休みながら歩く必要がありました。たまに雑木林、ミツマタの群生もありました。急斜面もありますが、ところどころ平らになります。746mピークもそんな場所で、周囲は美しい植林でした。陽は差し込まないのですが、風がないと涼しさを感じません。[1]でも割と楽に登れたと書いてありますが、確かにそんなにひどく苦労した記憶はありません。しかしそれでも夏の登山は大変です。標高差400m以上を登り続け、やっと主尾根に出ました。930m+ピークには「荒尾山」と「鳥ヶ乢登山口」の標識がありました。鳥ヶ乢登山口の所在は分かりませんが、429号線の旧道から登るのだと思います。
ここからは波賀町と千種町の町界の尾根を北に歩きました。よく整備された道です。途中で植松山が見えました。かなり伐採されて、ゴルフ場のように見えます。荒尾山山頂まではまだ170mを登らねばなりません。まず1080m+のとんがったピークに登り、その後登りつめると荒尾山山頂(1108m)に着きました。宍粟50名山のプレートが立っていました。「植松山」「大甲山」の標識がありましたが、植松山は遠そうです。山頂周辺は伐採してありますが、木立で遠景は見えません。最新の地形図だと少し西へ行った所に岩野辺四等三角点(1078.65m)があるので、そこまで行ってみたところ、北側の展望が開けました。野尻の集落や山々が望めます。一休みして、急勾配を荒尾山まで戻り、さらに大甲山へと進みました。
荒尾山から東に延びる尾根は実は大甲山とは真っ直ぐには繋がっていません。真っ直ぐ歩くと岩場になり「WE LOVE FLOWERS 花のある町 波賀町」というプレートがあるのですが、これは行き過ぎです。そこまで行く途中に、半分に割れた赤い矢印が木に下がっており、ここから降りなければなりません。これは標識やマーキングがなければなかなか見つけられないルートです。降りた先は岩の多い尾根なのですが、道がちゃんとあります。アップダウンもあって、ちょっと楽しめる尾根で、大甲山に着きました。斉木三等三角点(1035.25m)があります。南側の展望が素晴らしく、しばらくは見とれていました。
下山は大甲山からほぼ南南東に延びる尾根で前地に戻ることにしていました。大甲山山頂付近にはいくつも道しるべがあって、「野尻へ」「斎木下山道(お滝さんルート)」「行者堂(大岩)」「野尻(尾根筋)」というものがあります。この行者堂はどこだか分からなかったので、とりあえず何も考えずに植林の尾根を降りることにしました。すると植林の中に赤い矢印があり、これが登山道だということが分かりました。これはとても助かるので、そのまま標識どうりに尾根を降りていきました。最初は非常に急な植林をジグザグに降りました。登りはかなり大変だと思います。植林を過ぎると歩きやすく幅広い尾根になりました。下り方向の標識は「行者登山口」「行者山」などとなっています。気分よく歩くと行者岩の標識がありました。行者岩は急斜面の上に聳えている岩で、上に乗る度胸はありませんでしたが、岩越しには上野の全景が見えました。メイプルスタジアム山城が見えます。つまりこの岩は南ではなく、東に向いています。ここから更に急斜面を斜めに降りますが、階段やロープが整備されています。最後は行者堂に出てきますが、ここにはトタン屋根の小屋に二体の石仏が安置されています。行者岩から続くと思われる大きな岩の下にあり、まさに行者堂という感じです。多くの人が参拝に来た跡がありますが、夫婦で来られることが多いようです。二体の石仏と関係しているのでしょうか。
行者堂は林道の終点でもあります。この林道は石が転がっていて車では登れないものです。歩きにくそうなので最初は尾根をそのまま降りようかと思ったのですが、この付近の植林は非常に荒れており、林道を歩くのが正解でした。この林道はあまり使われた形跡がなく、周囲の植林も伐採して木を運び出した様子はないので、何のために作ったのか良くわかりません。行者堂に参拝するためでしょうか?現在はここまで車で上がって来ることは不可能なので、この場所を行者堂登山口と呼ぶのは不自然な気がしました。
石だらけの林道を降りると、より整備された林道に出てきました。ここには降りてきた林道に向かって「大甲山」の標識があり、東に行く小道に「行者の水」「行者登山口」の標識があります。行者堂登山口は既に通ってきた所のはずで、変な標識だと思ったのですが、行者の水には興味があったので、丸太橋を渡って小道に入ってみました。水平に続く道で、大荒れの複雑な地形の植林を抜けて、結局谷に出てきました。小さな滝があって、水がきれいです。これが「行者の水」のようです(写真)。
この谷は齋木の中村から北に伸びた川の水源で、谷を降りる方向に「お滝さんコース」の標識がありました。戻って林道で降りるのもつまらないと思ったので、この谷沿いの道を降りてみました。付近は荒れた植林で、伐採された木が雨で流されて谷に落ちてきており、道もところどころ倒木に覆われています。そのためどこが道か時々分からなくなりますが、「行者道○○丁」と書かれた標石が所々にあって、道を確認できました。この標石は多くの人が寄進して作られたもので、行者堂には30丁の標識がありました。しばらく降りると、林道の交差点に出てきました。真っ直ぐ降りるのが、地形図に描いてある実線道(「北山線」)です。これと直行して「前地・林道」が走っています。東は工事中のようですが、これが上野から見える林道かも知れません。西は名前から考えて登り始めたときに前地で出会った林道に繋がっているはずですが、かなり先です。行者堂から降りてきた林道がこれとどう繋がっているのかはわかりませんが、ここから大甲山登山口まで400mとなっていました。他にも「大甲山行者山登山口」が西向きに、谷沿いには「お滝さん登山口」という標識もありました。この後は北山線を429号線まで降りて、前地の車まで歩いて戻りました。
荒尾山や大甲山は高くて大きな山なので、登山道は長く標高差もあって、周回ルートを作るのは大変です。しかし登ってしまえば尾根歩きは楽しめます。今回は行者堂と小さな滝というおまけが付きました。この中村から行者堂への参道は林道が作られる前からあったものと思われます。「行者の水」まで谷沿いに登って、そこからは林道の上の林の中を登ったと思われます(林の中の木に赤い矢印が付いていました)。途中の林道で見た「行者登山口」も、この参道の登山口を意味すると思われます。林道を作るのも結構ですが、倒木を整理してこの参道を復活するのが登山道の整備としては正解だと思います。なお、飯見の方にも行者堂があるようで([2])ややこしそうです。
展望 ★★★
藪山度 ★★☆
地形図は「音水湖」「西河内」「安積」です。
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