2009年12月30日水曜日

槻坂の南西の尾根

姫路市とたつの市の境界にある槻坂は、姫新線、県道5号線、山陽自動車道のトンネルが抜けており、県道5号線には旧道のトンネルもあり、峠の上には切り通しもあるというややこしい場所です([1])。槻坂から南に尾根を伝うと、東西に延びる尾根があり、そのさらに南には松尾の笹山があります。槻坂を歩いてみたいのと、東西に延びた尾根の様子を見たかったので、ショートコースを歩いてみました。

尾根の西の端を送電線が南北に横切っており、保守路があることが予想されました。そこでまずその辺に行ってみました。県道5号線の中井交差点から南に突き当たりまで行くと、「東部汚水中継ポンプ場」があります。この先には姫新線の線路がありますが、「危険 線路内立入禁止」という札が立っていて、道があります。「銃猟禁止区域」の札もあるので、山歩きは安全そうです。線路を渡るときは気をつけなければなりませんが、線路を渡ると赤い「火の用心」の半分に割れた標識が立っていて、これが巡視路だということがわかります。

ここから尾根まで登りましたが、途中で倒木などがあって巡視路は見失いました。シダがまばらに生えている程度なので、登るのにたいして苦労はしません。尾根に出ると左手に鉄塔、右手は竹藪でした。とりあえず120mピークに行こうと西に行きました。道はありませんが、適当に木と竹の間を抜けると背の高い笹の生えたピークに出ました。付近には「中井」と書いた石標があったくらいで、他には何もありません。尾根を東に引き返して鉄塔に行きました。龍野揖保線10です。

ここから東に尾根を歩きましたが、意外なことに道がありました。場所によっては見失いそうになりましたが、切り開き程度の道が続いています。尾根のてっぺんは笹が茂っていることが多く、南側は細い灌木が密集して生えています。これに対して北側は木がまばらで、道も北側に寄って付けられています。北側の工場の会社が立てた「立入禁止」の札がいくつかありました。

地形図を見ると南側には岩場があるようですが、尾根にはたいしたアップダウンもなく、退屈とも言えるくらいでした。一面の落ち葉で気持ちの良い場所もあります。167mピークでは木に赤いテープがたくさん巻いてありました。その東の180m+ピークはたつの市と太子町の市境です。この周囲にはシダ藪もあり、南側も藪っぽい感じでした。しかし市境を東に辿ると、意外と歩きやすく、まばらな笹を抜けて進みました。

その先の169mピーク付近は姫路市、たつの市、太子町の三辻ですが、大きな岩があります。三角点と見間違うような石標が埋められていました。ここから槻坂までは斜面に大きな岩がいくつもあります。下りになりますが、斜面は落ち葉で覆われています。100m付近まで降りると尾根が広がって方向が分かりにくくなります。下に落ち葉で覆われた道のようなものが見えてきたと思ったら、切り通しに出ました。幅は軽トラックが通れるくらいのものですが、これだけ岩を削るのは大変だったろうと思います(写真)。真ん中辺に姫路市の「水道」と書いたマンホールがありましたが、峠の水道の水はどこから来るのでしょうか?

最初の計画では、ここから北に尾根を登って、西に尾根を進んで中井に帰るはずだったのですが、雨が降ってきたので県道に降りることにしました。切り通しから龍野側に道を歩きました。少し笹が生えている程度で、最後はコンクリートになって旧道に出ました。この付近は平成18年の[1]の時とはかなり様子が変わっています。旧道の「槻坂隧道」はコンクリートでしっかりと塞がれてしまいました。切り通しに上がる道も最近できたようで、おかげで旧道はトンネルの手前でかなり細くなっています。なんのために切り通しに登る道を整備したのか、よくわかりません。その手前には緑色のしっかりとした扉が作られ、「ご用の方は自治会長まで」と書いてあります。ただし鹿避けのゲートではないので、ガードレールを越えれば出られました。

このゲートの所から姫新線の線路に降りられますが、不法投棄が目立ちます。その中に鹿の骨が転々とあり、線路の近くには頭蓋骨が落ちていました。鹿の死体を投棄した人がいるようです。

展望 ☆☆☆
藪山度 ★☆☆

地形図は「龍野」です。

2009年12月26日土曜日

上郡の愛宕山

上郡町の愛宕山は、苔縄の西にあります。その東の369mピークは、苔縄城跡として知られているようです。この城に関する情報は混乱していて、赤松円心館に苔縄城の碑が建っています。しかしここは城跡としても居城でしかなく、山城は369mピークにあったと思われます。しかも369mピークは実は愛宕山と呼ばれていて、地形図にある愛宕山は実際は轟山だそうです。とにかくここでは地形図どおりにしておきます。

常識的には登り口は尾根の先端の観音寺だと思うのですが、登り口は赤松小学校の校舎裏にあります([1][2])。とにかく道があるに越したことはありません。この付近はシダが元気なので、藪を突破するのは大変です。この、良く整備された登山道でさえシダで覆い隠されつつあります。赤いマーキングに従って登っていくと、古い鳥居があります。かなり傾いているので、放っておくと倒れるのは時間の問題のようです。さらに急斜面を登ると、アンテナ群と愛宕神社(?)があります。

ここからは西に一度斜面を降りて、また登ります。この辺はマーキングは減りますが、木がまばらでどこでも登れそうです。ピークに出て、その次のピークが411.1mの愛宕山で、轟山三等三角点(411.12m)があります。展望はありません。この日の目的は愛宕山だけでなく峰尾池を見ることだったので、さらに尾根を進みました。尾根の東側に道があり、木々の間から千種川方面が見えます。そのまま歩いていくと、南東に方向が変わって306.9mの観音寺三角点を経由して下山できますが。峰尾池には適当な場所で西に行かねばなりません。はっきりした尾根がないので分かりにくいのですが、松茸山らしく木に紐が張られていて、それを辿って西の方に行ってみました。

なんとなく平べったい尾根ですが、紐を頼りに歩いていくと、目の前が谷になりました。峰尾池のある谷の東端です。ここからは池の北を進むか南を進むかの選択になります。まず北に行ってみました。紐が張られていますが、それが無くなると特徴のない雑木林になりました。真っ直ぐ行くと北の谷に降りてしまいそうです。[2]のように峰尾池に下りることもできましたが、南の尾根を見に行くことにしました。こちらははっきりとした尾根があって道もありました。少し歩くと南に展望が開ける場所があり、岩木川沿いが見えました。ここは良い眺めです。

さらに尾根に沿って歩きましたが、峰尾池は見えてきません。しかし正面の370m+ピークの手前に空き缶が沢山あり、右に道がありました。どうやら松茸刈りの宴会の跡のようです。はっきりした道を辿っていくと、峰尾池の堰堤に出ました。石積みの堰堤です。写真のように水は少なく、尾根からはほとんど見えなかったようです。

この先は峯尾三角点に行くも良し、[2]に従って廃坑を探すも良しですが、松茸刈りの人達が登ってくる道があるはずだと確信して、それを降りることにしました。堰堤から宴会跡に戻り、そこから南に降りました。石の多い道が斜面をつづらに降りていました。時々見失いそうになりましたが、見失っても降りられるような斜面でした。ただ、石が多いので捻挫注意です。途中に炭焼き窯の跡もあり、里山の雰囲気で道も良くなると、堰堤があって才坂に出てきました。

展望 ★★☆
藪山度 ★☆☆

地形図は「上郡」です。

2009年12月20日日曜日

北から登る赤穂の百間岳

2008/02/23に黒鉄山から百間岳に登ったときに、西から登山道が来ていることに気がつきました。そこで今回は北から登ってみようと考えました。

国道2号線を西有年で南に折れて長谷川を遡ると、横山という集落があります。この南に百間岳から延びた尾根が達しているので、そこから登ることにしました。ところが、尾根の手前の道路に、左向きに「山頂」、右向きに「あこう河鹿の森」と書いた標識が立っています。山頂と言われても、どの山だか分からないので、とりあえず無視することにしました。尾根の北の先には1/25000の地形図には載っていませんが大避神社という小さな祠があり、その南側から登り始めました。

枯枝を折りながらなら登れる尾根でした。ちょっと登ると下りになりますが、ここは膝くらいまでのシダが生えています。鞍部に降りて213mピークを目指して登り始めると、急斜面に高さ2mもあろうかというシダが茂っています。とても登れないので、最初は西へ行きましたがこちらも無理で、結局東側斜面から登りました。ここには明らかに踏み跡があり、シダの生えていない道があるのですが、両脇から大きなシダが覆っていて、それをかき分けないと登れません。そのうちにかき分けるのも難しくなりましたが、地面にはシダが生えていないので、トンネル状態になっています。急斜面のシダのトンネルを抜けて尾根に出ました。シダのトンネルは笹のトンネルに比べると柔らかいのでましですが、体中に枯れたシダの葉を浴びる羽目になりました。

213mピークまでの尾根も枯枝を折りながら歩けました。この先250m+付近まで尾根はシダで覆われていました。膝から腰くらいの高さで、道はあるのですがシダに隠れて上からはよく見えません。北側に少し降りるとシダを避けて歩ける部分もありました。しかし、一度少し下って、有年大池が見えるあたりから次の275mピークを目指して登る250m付近は、また大きなシダが茂っており、再びシダのトンネルを抜けました。

この先しばらくはなだらかで、低いシダの間を歩きましたが、尾根の突き当たりで道に出ました。明らかに登山道で、ピンクのマーキングがあります。西の尾根の方から登ってきていました。ここからは、ずっとこの道を歩きました。かなりよく整備されており、登りやすい道でした。ただ難を言えば、この道は尾根を通っておらず、ほとんどのピークを巻いていってしまいます。斜面を歩くので展望もありますし、岩場の上を歩くこともありますが、尾根歩きをしたという実感がありません。ただ、尾根を見上げるとシダで覆われており、道から外れて尾根を歩こうという気にはなりませんでした。この付近には植林はほとんどなく、海に近くて温暖なせいかシダが育ちたい放題です。

八合目、九合目と書いた板があり、海が見えるようになってきました。道は相変わらずピークを巻いて進みますが、なんとなく道が悪くなってきたと思ったら、百間岳を通り過ぎて、その南の410m+ピークの間の鞍部に出てきました。道を間違えたことに気がついて北に登り返して、百間岳(435m)に着きました。「黒鉄山~百間岳 第4回登山道整備」と書いた板が下がっており、藪っぽかった尾根に道が作られつつあるようです。相変わらず「仮称百間嶽」と書いたプレートも下がっていますが、正式名称は決まったのでしょうか?

下山は頂上から一気に北の尾根を下ろうと考えていたのですが、またシダ藪に突入しそうな気がしたので、道路で見た「頂上」の標識のルートを探すことにしました。まず頂上から西に道を降りると、先ほど海を見ていた付近に出てきました。よく見ると赤いテープで山頂へのルートが示されていたのですが、見落としたようです。

北への下山路は、山頂への分岐のすぐ西で見つかりました。北の谷にピンク色のマーキングが着いています。これを降りて行きましたが、木が切られていて分かり易いルートでした。百間山から北に延びる尾根のすぐ西側の谷へ降りていきます。最初は東側の尾根の斜面を降りていき、はっきりした沢が現れるとそこに降りました。この時しばらくマーキングを見失ったのですが、沢の西側に道があるのを見つけました。ここまでもこの先も、この谷は石だらけなので、歩きにくい道でした。一つ間違えば捻挫します。

しかし、このルートには発見がありました。洞窟があるのです(写真)。奥行きは数メートルしかありませんが、自然のものには見えません。付近には石垣もあり、洞窟の奥には何も置かれていませんでしたが、何やら宗教的なもののようでした。ここは250mくらいの地点ではないかと思います。この先も石が多くて歩きにくいと思っていたら、いきなり広い道に出ました。林道かと思ったら、今度はいきなり陥没して水のない岩だらけの沢を歩くことになりました。そういえば上流では沢には水が流れていたのですが、降りていくと水の流れている沢は無くなってしまいました。不思議な谷です。

かなり長く歩いて、ようやく湯ノ内谷沿いに出ました。川の南に道があって、それを川沿いに歩くと「山頂」の標識に出てきました。やっぱり百間岳の山頂という意味だったようです。

下山に使った谷から登って、下山は西の尾根を歩いて西の谷に降りるのが一番楽しめそうです。実はこの付近はYahooの航空写真が非常に鮮明で、木の一本ずつが見えるくらいです。その写真で見える岩を見つけに行きたかったのですが、道から外れると藪は相当きつそうです。

展望 ★★☆
藪山度 ★★★

地形図は「備前三石」です。

2009年12月6日日曜日

坂の辻峠から中坪峠

坂の辻峠は切通です。2009/10/31に南から尾根伝いに坂の辻峠まで歩きましたが、その先も北に尾根は繋がっています。今回はこれを中坪峠まで歩きました。

坂の辻峠から北側の尾根に乗るのは容易ではありません。切通のコンクリ-トの壁の上に登らなければならないからです。しかしこれはなんとか可能でした。あとは尾根まで登れば、植林の中を歩くだけです。全部で300m近くを登るので、かなりの急登です。840m+ピーク付近で一度下って、また登ります。共同アンテナの残骸がありました。880m付近で左手から来る尾根と合流します。この尾根はネットで仕切られており、ネットの向こう側はススキの草原です。手前は植林で、倒木があるとはいえこちらの方が歩きやすいので、しばらくは植林側を歩きました。そのうちに右手からも別のネットが現れ、尾根には2つのネットが平行して張られるようになりました。後から考えると、ここで右手のネットの内側に入って伐採地を歩くのが正解だったと思われるのですが、とりあえずは尾根を歩くという趣旨に添って、二つのネットの間を登りました。

この山奥まで来て、二つのネットの幅50cmほどの隙間を歩かねばならないのは、全く不合理でした。しかもその隙間にも背の高いススキが生えていることがあり、かき分けて歩かねばなりません。そのうちに左手のネットが離れていって、右手のネットだけになります。山頂近くまで来ると、ネットは右(北)に曲がっています。980m+の尾根です。この尾根も二つのネットが平行して張られています。その間を歩いていたら、西側のネットに寄っかかって鹿が死んでいました。角がないのでネットに引っかかったわけでもなく、血も出ていないのでハンターに撃たれたわけでもないようで、自然死なのでしょうか。

東側のネットは新しいらしく、かなりしっかりしています。二つのネットは場所によってはくっつけられており、間を歩けなくなったので西側のネットの壊れたところを通ってネットの西に出ました。北へ歩きましたが、笹藪がひどくなってきました。東側には道があるので、最後は東側のネットの下を潜って道を歩きました。この付近では西側は笹藪と雑木林ですが、東側は植林が伐採されています。1002mのピーク付近は木がまばらで、展望は良好です。写真はこの付近から見る太田ダムの上部調整池です。坂の辻峠から1時間くらいしかかかっていません。

このピークには平野三角点があるはずですが、探していると近くで銃声がして、鹿がネットの西側を走って逃げていきました。危険なので三角点探しは中止して、北へ急ぎました。ずっとネットが張られていますが、適当に出入り口があるので歩けます。二匹の猟犬と出会いました。一度斜面を降りて登ると951mピークです。この付近も伐採が進んでいます。展望は良好で、暁晴山がよく見えます。

この後は相変わらずネット沿いに北に尾根を降りました。中坪峠には未舗装幅員2m程度の道が渡っています。もう一本簡易舗装の2m道路が南西に向かっていましたが、どこに行くかは未確認です。地形図にはこれ以外に951mピークへの途中から西に分岐する破線道があります。これはかなり荒れた道だったと思います。これらの道を使ってこの付近の山を歩く計画だったのですが、ハンターさんがいるようなのでやめにして、破線道で西の峰山林道まで降りました。降りてきた地点には「宍粟50名山 暁晴山登山口」と書いてありました。当然尾根を伝って暁晴山にも行けます([1])。あとは林道で坂の辻峠に戻りました。

ネットもハンターさんもやっかいですし、伐採が進んでいるので風も強く、夏は日差しも強いでしょう。展望は素晴らしいのですが、あまり気持ち良く歩けるルートではありません。

展望 ★★☆
藪山度 ★☆☆

地形図は「長谷」です。