2007年11月10日土曜日

三日月の御殿山

御殿山は,三日月町(現在は佐用町三日月)の中心である三方里山の北にある山です。たいして高い山でもなく,町にも近いので公園にでもなっているのかと思っていました。参考にしたMTBの記録([1])は送電線の巡視路を使っていますが,山頂から南東に明確な道があったということなので,地形図の西ノ脇から登る破線道だと思って,このルートに決めました。

駅からも近いのですが,車で行ったので車を「味わいの里三日月」にとめました。北に歩いて,「三日月藩乃井野陣屋館」の東側の道を登っていきます。溜池までは良い道ですが,溜池の東側に入る地点で藪っぽくなります。左右から草が伸びていますが,道ははっきりしており,溜池の東岸に沿って歩いていきます。溜池の上まで行くと,破線は東寄りの沢に入っていきますが,ここで道が無くなります。踏み跡があるような気がするので,なるべく破線道とおぼしき付近をシダをかき分けて歩いたのですが,最後は進めなくなってしまいました。しかたなく沢は諦めて,急斜面を真っ直ぐ登りました。足よりも腕で登るような斜面でしたが,無事植林を抜けて尾根に達することができました。

しかし,このなだらかな尾根にも道はありません。それどころか背の高い笹や灌木や倒木があって非常に歩きにくくなっています。幸いに前進不可能な場所は無く,そのうちにCATVのアンテナが現れました。ここから山頂までは確かに明確な道でした。山頂は御殿山三等三角点(351m)がありますが,山頂と言うよりも三叉路という感じです。地形図にある東西へ延びる道と,北に延びる巡視路の交差点です。展望はありませんが,少し北に歩くと西側の視界が開けて佐用ゴルフ場や利神城が見えて少し嬉しくなりました。

北の尾根には巡視路があるのでハイキング気分です。ピンクリボンのマーキングもあって,道に迷う可能性はあまりありません。鉄塔ごとに少しずつ展望がありますが,周囲の木が伸びすぎていて,広く視野が広がる場所はありません。この送電線は播磨西線と呼ばれるものですが,どの鉄塔もかなり巨大です。平成9年の建設ということで,新しい送電線です。

鉄塔47は尾根から少しはずれており,間村四等三角点(357.3m)は更に西側にあります。写真はこの三角点に供えられた(?)プラスチックの杭です。この三角点の先にもピンクリボンがあり,地形図を見ると尾根が西に延びていて,降りられそうな気もしました。これからこの杭がその尾根に打ち込まれるのかも知れません。しかし,とにかく尾根に戻って北に進みました。少し下ると石仏のある鞍部があり,これが金山と平松を結ぶ京坂であると思われます。ここから破線道を西の平松側に降りました。

この破線道にはピンクリボンを巻き付けた杭が打ってあり,間違いなく道なのですが,困ったことにすぐに沢と一体になってしまいます。雨の後は,おそらく歩行不能と思われます。石の上なので,足の裏が痛い上に滑りそうで,あまり歩きたくない道です。辛抱して歩いていると,ようやく林道に出ました。それを下ると平松です。

これで山歩きは終わりではありません。車まで帰るには,千種川沿いを南下し,東徳久の矢能から再び山を越さねばなりません。矢能から山に入る道は,またしても溜池の脇の道ですが,これは良い道です。この道は御殿山の方に延びて行きますが,そちらへは行かずに溜池の東側から南の植林に入ります。最初は良い道ですが,だんだん倒木が増えてきます。それでも道ははっきりしていますが,最後には道が消えてしまいます。しかし三日月に行くには尾根まで登らざるを得ませんから,道はなくとも,またしても腕を使って急斜面を登っていきます。尾根に近づくと草むらになりますが,とにかく尾根には登れました。この尾根には道と呼べる物はありません。

地形図には破線道があるのですが,尾根で探しても見つかりません。しかし,少し東側に斜面を降りると道が見つかりました。植林の間の道ですが,山の反対側と比べるとずっと歩きやすい道です。途中で新宿に降りる道があったはずですが,記憶がありません。とにかく降りてゆくと,林道に出ます。これは,市ノ上から真北に溜池に向かっている道です。溜池に近い部分は地形図には載っていませんが,自動車の通れる道です。

三日月に向かうには,この道を南に下り,途中の分岐を東に折れます。少し登って鞍部に来ると,左西ノワキ,右市(ノ上)と書いた石標が立っています。南北の尾根に向かって巡視路の入口があり,頭上は送電線が通っています。ここを過ぎて東に降りていくと,無事に「味わいの里三日月」に出られました。

地形図の破線道を歩いていたはずなのに,何度も藪を抜けたり急斜面を両腕を駆使して登ったり沢を歩いたりと難行苦行の連続でした。結論として御殿山にどう登るかですが,西側の道は整備されている可能性があります。少なくとも西の端の溜池近くと頂上では良い道に見えましたが,途中がどうなっているかはわかりません。最も確実に良い道なのは,三日月から西に送電線の下の鞍部まで登り,そこから真北に巡視路を使って尾根を登って御殿山に達することでしょう。降りる方は,三日月に帰るなら北の尾根から東側に降りるのが正解だと思います。

このルートでは,地形図に載っていない道は歩きやすく,載っている破線道は藪でした。なんでこうなるの?というのが率直な感想です。決して藪漕ぎを目的に歩いているわけではないのですが。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★☆



2007年11月4日日曜日

豊富町の畑山

市川の東岸,余り高くはありませんが,目立つ山です。地形図を見ていたら,西側の津熊三角点からぐるっと一周尾根に点線があります。どんな所か見に行ってみました。

一見して分かることは,山の下に日本化薬の工場があることです。従って,西側の尾根の南端から登ろうとしても登り口がありません。道路から見上げると山頂まで一直線に木の生えていない幅10m程度の帯状の地帯があって,これが津熊三角点までの登り口になるのですが,入口は立入禁止なので,もっと西側から登り始めました。自動車修理工場のような所に登っていく道があり,その先に数段のコンクリートの階段があります。階段を上るとその先は地形図にもある岩場です。これを登って,藪に入ると水平道がらしきものがあり,これを東に行って帯状の道に出ようとするのですが,藪があってそうはいかず,少し登ってはこれを繰り返し,という案配で,やっと木の生えていない地帯に出てきました。岩場っぽい登りで,急坂ですが津熊四等三角点(149.0m)までは難なく登れます。

この辺で周囲を見て考えると,この帯状の地域はなんとなく不自然です。後からGoogle Earthを見てびっくりしたのは,地形図の破線は衛星写真では非常にくっきりと木も草も刈られて写っていることです。モヒカン刈りの反対,といったところでしょうか。登る前には調べなかったのですが,この山の登山記録はインターネットにあって([1],[2]),それによるとこの10mの地帯は防火帯ではないかということです。日本化薬は昔は日本火薬と言っていたくらいで火薬を作っていますから,防火は大切です。それに,この付近の山は日本化薬の所有地らしく,防火帯の両側の木に「立入禁止」の札がたくさん下がっています。入りたくないような藪なので立ち入る気はさらさらなかったのですが,両側が立入禁止なら,この防火帯(ということにしておきます)そのものも立入禁止のような気がします。少なくとも素直に防火帯を降りていけば,工場の敷地に入ってしまいます。地形図でもこの防火帯は特定地区界の線として描かれています。

その防火帯ですが,三角点を過ぎてしばらくは快適な水平な尾根です。展望もあって,海まで見えますし,姫路セントラルパークも見えます。しかし北側の展望が開けてくるようになってきてから,どんどん藪になってきます。大きな木はありませんが,背の高い草が多く,特に笹とイバラ(と言うんでしょうか,棘のある蔓草)に手こずります。背の低い木も意外とあります。草は背丈以上のものが多く,それをかき分けて進まねばなりません。足下には踏み跡がありますが,目の前はひたすら藪が広がります。Google Earthの写真は神谷池が完成した後のものなので,それからの期間にここまで草や木が生えるものかと感心します。

時々北側の雑木林に避難しながら尾根を進むと,目前に急斜面の岩場が見えてきます。登れるのか心配になりましたが,登ってみると木が無い分だけ藪よりは楽でした。手を使えば難なく登れます。その先も藪ですが,場所によっては草が生えていない場所もあり,展望もあります。

そして,太尾二等三角点(311.6m)です(写真)。ここが畑山の山頂ということになりますが,三角点は笹に覆われていて,あやうく見過ごすところでした。両側は雑木林で全く展望はありません。展望はその先の反射板の所で得られます。しかしこの反射板の周囲もひどい藪で,特に西側の防火帯は急斜面に背の高い草が大量に茂っており,足下が見えません。下りですから一つ間違えると危ないので,こちらには行かずに反射板の東側を通りました。狭くて通りにくいのですが,通れます。

この先は,道がありました。もう立入禁止の札はありません。整備された登山道ではありませんが,反射板から東の尾根に続いています。赤いテープのマーキングが要所要所に下がっていて,迷う恐れはありません。問題はこの道がどこに行くのか分からないことだったのですが,藪を下るのは危険なので素直にこの尾根道を行くことにしました。長い長い,アップダウンのない道です。時々東側や南側の展望が開けます。マーキングが無くなったりして不安になることもありますが,道ははっきりしています。不思議なことは神谷池が見えないことで,どこへ行くのだろうと思っているとどんどん道は北へ向かいます。

1時間近く歩いて,出てきたのは畑山の北側,太尾青少年キャンプ場でした。畑山の北にある谷あいの溜池の畔です。神谷池の西側の尾根をぐるっと歩いたことになります。私有地に入らないためには,これが正しい畑山の登山道ということになります。ただし,キャンプ場の入口には,「関係者以外入山禁止」の立て札が立っていましたが。

展望 ★★★
藪山度 ★★☆