2009年6月28日日曜日

生野銀山の上を歩く

生野銀山は、地形図上では周囲を山に囲まれた谷にあります。ということは、ぐるっと周囲を回るルートが考えられます。長い道のりですが、歩いてみました。

登り口は市川から白口の方に橋を渡ったところにある河川公園にしました。山裾には墓地があり、その裏手から登りました。この尾根は見上げると鉄塔が立っているので、おそらく白口川の方から登山道があると推測したのですが、墓地の裏も木がまばらで登りやすかったので、そのまま登っていきました。急勾配ですが、適当な切り開きがあります。少し登ると、使われていない送電線の鉄塔がありました。非常に小振りのものです。片側に腕が一本しか出ていないので、三相交流を流せたのか確信がありませんが、古い物のようです。このさらに上にはNHKの「生野奥銀谷テレビ中継放送所」があり、ここには予想通り白口川の方から尾根を伝って切り開きがありました。

この先の尾根歩きは、切り開きがあって快適です。植林や岩場がありますが、この付近の尾根には下草が生えていません。登山開始地点がすでに標高350mほどあり、高地だからかも知れません。とにかくそのおかげで歩くのは楽でした。植林は伐採されている所もありましたが、興味深いのは幹の周囲を少し斧で削った木があることです。その部分から倒れている木もあるので、木を倒さずに倒れるのを待つ方法なのでしょうか。

629mピークは植林です。地形図では破線道がこのピーク付近を横断していますが、そのような形跡はありません。道があったとしても、このピークの北側は非常な急勾配なので、登るには適さないでしょう。この先も尾根道は植林と岩場で、三菱マークの付いた黄色いプラスチックの杭が打ち込まれています。ときどき南に展望があって、高畑山の反射板が見えました。この付近については[1]が参考になります。

歩き始めて80分ほどで、582mピークに着きました。ここで今日初めてシダに会いました。南側が伐採されており、大展望が広がります(写真)。正面に見える谷は、2009/05/23に白岩山から下山したときに通りました。風が心地よく、しばらく休みました。眼下を鹿が走っていました。問題はこの先で、西へ進むと気持ちの良い植林があり展望も良くなるのでこちらに行きそうになりましたが、これは南東に向かう尾根で、全く方向違いです。正しい尾根は582mピークから真北なのですが、このピーク付近は全体になだらかで、正しい尾根を見つけ出すのは困難でした。あちこち歩き回って、ようやく正しい尾根を見つけました。

この先の尾根も、ほとんど植林です。足元には、ときどき白い泡状の卵らしきものを見かけました。展望はありませんが、日陰で暑くないのは歩くには好都合です。風もあって、気持ち良く歩けました。このルートは、[2]が参考になりました。

それにしても長い尾根道で、アップダウンもたいしたことはないとは言え、これだけ繰り返すと疲れてきます。尾根は分岐が多く、方向確認しながら歩かないと間違った方向に行きそうです。650mを越す尾根を北に歩き、一度600m-の鞍部に降りて、また尾根まで登りました。そんなに急勾配ではないのですが、長距離を歩いた後なので、休みながら登りました。

尾根に出ると、あとは金香瀬山まで登っていきます。頂上近くには尾根への標識が立っています。頂上付近には、今日二度目のシダが茂っていました。

下山も尾根を辿ろうと決めていたので、南には降りず、そのまま西に降りてみました。地形図でも分かるように枝尾根が多く、気を付けないと北や南に逸れていってしまいます。何度か方向を修正しながら、509m地点に繋がる長い尾根を降りました。途中に一箇所だけ急斜面の岩場がありましたが、あとは気持ち良く歩けました。この付近は雑木林が多いようです。展望は、たまに木々の間から北や南が見える程度です。

どこが509m地点だったのか分かりませんが、その先はネットが増えてきます。狭い場所を囲んでいたりするのですが、下手に入り込むと出られなくなります。道があることもありますが、途中で消えてしまいます。最終的には、真っ直ぐ進むと崖なので、南に向かうことになり、最後は小野口番所跡に出てきました。

全部で4時間半ほどの道のりでした。大展望は少ないですが、植林の中を歩くのは気持ちの良いものです。足腰の鍛錬だと思えば、良いコースだと思いますが、尾根ですので廃坑は見られません。生野なのに残念と思われる向きには、谷歩きをお勧めします。

展望 ★★☆
藪山度 ★☆☆

地形図は「生野」です。

2009年6月27日土曜日

安富・夢前町境界の小谷三角点

中国自動車道の北側で菅生川と林田川に挟まれた山並みは何度も歩いていますが、末広三角点に行った時(2008/06/01)の倒木処理後の景色が印象的だったので、ルートを変えてもう一度行ってみようと思いました。

姫路市安富町安志から北に林田川を遡ると、末広という村があります。ここで東に曲がると、中ノ谷川を遡ることになります。いちおう舗装が切れるところまで車で行って、後は徒歩で川沿いに歩きました。しばらく歩くと川沿いの草むらに国土地理院の白い棒が立っています。草をかき分けて捜すと、金属の三角点がありました。東谷四等三角点(178.93m)です。平成16年に設置された新しいものですが、なぜこんな山間の川岸にあるのかは謎です。

さらに東へ歩きました。この付近には山に入る林道がいくつもあります。北に行く分岐があり、間に休憩用の小屋がありました。ここが地形図で実線道が北に分岐している場所です。後で分かるようにここから北に行くのが伐採地への近道です。しかしとりあえず東に向かって歩きました。峠を越えて菅生川沿いの小畑へ繋がる破線道を確認したかったのです。

地形図で実線が破線になる場所を過ぎても、自動車で走れる道が続きました。そして最後は谷を登って尾根の下のあたりで終わっていました。ここは実は地形図で破線道の通っている谷ではありません。破線道は北東に延びて、途中で東に曲がっていますが、曲がらずに真っすぐ行った谷なのです。この林道の終点から尾根に登ってもよかったのですが、少し戻って破線道を確認してみました。

破線道が延びている谷は倒木だらけでした。いちおう倒木は切ってあるのですが、その上から新たな倒木もあって、歩きにくいことこの上ありません。沢沿いの道なので湿気が多く、案の定ヒルが一匹食いついてきました。途中で道が分からなくなり、それでも斜面を登らずなるべく沢を歩いたのですが、結局道を間違えていました。破線道は東に進んでから北東に曲がるのですが、曲がるところを見つけられず、そのまま真っ直ぐに登りました。最後は結局斜面を登って尾根に出ましたが、地形図の峠よりはだいぶ南でした。この南には462mピークがありますが、そちらの方向には藪がきつそうでした。北を目指してまず峠のある鞍部まで降りましたが、ここには西側に道らしきものがありました。峠からなら辿れそうでしたが、登りで辿るのは私には無理でした。

この先の北への尾根は、切り開きがあって歩きやすく、「界」と書いてある黄色いプラスチックの杭が打ってあります。この尾根は昔は飾磨郡夢前町と宍粟郡安富町の境界でしたが、今はどちらも夢前町も安富町も姫路市になっています。展望は、一箇所だけ東に明神山が見えましたが、後は林の中でした。急な登りもありますが、そんなに苦労せずに490mピーク(の東側)に出てきました。ここには紅白のポールが立っており、姫路市の地籍図根三角点というものがありました。なお、この付近では地面の少し影になった部分に白い泡のようなものがたくさんありました。何かの卵でしょうか?だとしたら、地面を歩く動物に簡単に食べられてしまいそうですが。

この先の北への尾根も、歩きやすかったと思います。狭い尾根に巨木が生えていたりして、長い年月よく堪えてきたものだと感心しました。そして、斜面を登って546mピークに着き、さらにその北のピークに小谷四等三角点(548.33m)がありました(写真)。これも平成18年と新しく、金属のプレートです。平成の大合併でこの尾根を挟む両町が姫路市になったことと関係あるのでしょうか?

ここからは北西に尾根を辿り、鞍部に降りてから急斜面(切り開きあり)を登ると、こんどは栃原川と菅生川を隔てる尾根に出てきます。ここは以前に来たことのある尾根ですが(2008/08/15)、全く記憶がありません。倒木や灌木の多い、歩きにくい尾根です。585mピークを過ぎ、その西は尾根が広がって迷いましたが、なんとなく南西に植林を降りて行くと、林道がありました。これを登っていくと、以前にも来た伐採地の上に出てきました。

少し南に登って展望を楽しんだ後に、林道で下山しました。林道と言ってもしばらくは使われておらず、轍の間には草が茂っています。しかし、東へぐるっと回って、もう一つの伐採地の下を通って少し降りると、舗装道路に出てきました。ここが地形図にある末広三角点東側の林道の終点です。あとは林道で下山したので楽ちんでした。

伐採地まで登るだけなら林道がありますし、4WDでも登れます。歩きやすい尾根でしたが、展望が無いので一般向けではないでしょう。

展望 ★☆☆
藪山度 ★☆☆

地形図は「寺前」です。

2009年6月13日土曜日

白旗山から獅子見へ

2009/06/06に獅子見から南に歩いて、細野方面に降りられそうな道を見つけました。そこで、白旗山から北に尾根を歩いて、この道で帰ってくるルートを考えました。まず車は赤松付近で千種川から東に入り、白旗山登山口にとめました。そして植林の中の登山道を白旗城跡まで登りました。整備されているとは言え、岩が多く急峻な登山道です。

白旗城跡の本丸跡から、北に坂を下りて、「土塁跡」と書いてあるところの裏側が尾根への入口です。道があって、歩きやすい尾根です。少し歩くと送電線の鉄塔があり、「西播東岡山線18」となっています。巡視路は東の17から登ってきています。この先、19と20は尾根の少し西側にあるので、尾根には巡視路があって、楽に歩けます。343mピークの付近で巡視路は20へ降りて行ってしまい、あとは尾根にシダが増えてきますが、しっかりと踏み跡があるので問題ありません。この後は地形図で見ると細い尾根が続いており、じっさいその通りですが、木が生い茂って展望はありません。

白旗城跡から1時間もかからずに、小池(二つの溜池の小さい方、写真)に着きました。あとは2009/06/06に見つけた林道を降りるだけですが、地形図の道を北に行って戻ると大回りなので、大池の堤防の端から西の山の斜面を通り、目的の林道に行きました。最後は急斜面を登らなければならなかったので、正解だったかどうかは分かりません。下山の林道は356mピークの北の370m+ピークの西側を通り、356mピークは東側で巻いて、あとはつづらに折れながら下っていきます。所々コンクリート舗装されており、自動車の通れる道ですが、折れ曲がって降りてゆくのでけっこう距離がありました。途中でまた西播東岡山線の鉄塔がありましたが、21だろうと思います。最後は武祖神社の脇に出てきました。

登りは登山道、快適な尾根歩きの後に林道で下山というショートコースです。白旗山からの眺めは良いのですが、あとは余り感動するようなものはありません。ちょっとハードな散歩道といった感じです。倒木がないのは助かりました。

展望 ★☆☆
藪山度 ☆☆☆

地形図は「上郡」です。

2009年6月6日土曜日

上郡町獅子見を歩く

上郡の東側の地図を見ていると、獅子見という地名が目に入ります。地形図を見ると建物が二つ書いてあるだけなのですが、地形図にも地名がちゃんと書いてあります。ちょっと様子を見たくなって行ってきました。

上郡から鞍居川を遡り、本村で野桑神社の方へ曲がります。そして東谷と西谷に別れるところで西谷に入ります。この先は対向車と落石に注意しながら渓谷の崖下を走ります。そして道路が川から離れて南東に曲がるところで北西方向の道に入ります。これはさらに狭い道ですが、舗装されています。そのまま走っていくと、地形図の454mピークの先で獅子見に向かう道に南に折れる所で舗装が終わっています(西側にはもう少し舗装が延びていますが)。車をこの三叉路にとめて、歩き始めました。

三叉路の手前北側には赤白に塗られた巨大な送電線の鉄塔があります。播磨西線24です。70mくらいの高さがあるのではないでしょうか。この近くには上月支線も走っており、播磨西線24の東の道路沿いには上月西線27が立っていますが、比べると大人と赤ん坊くらいの差があります。三叉路の近くには上月支線29と30がありますが、これは子供くらいの高さです。二系統で高さが異なるため、送電線の交差にはまったく問題がありません。

送電線を後にして南に歩くと、東側は広い空き地になっています。「ライダースパーク上郡」という看板が出ていますが、今は立入禁止です。すぐに西の林の中に消える道(未舗装)があり、これが地形図にあるゴルフ場に向かう道でしょう。

さらに南に歩くと、道が二股に分かれます。「関係者以外車両の通行を禁止します (社)兵庫県森と緑の公社」という看板が出ています。この手前西側の斜面を登ると、楠山三等三角点(478.21m)があります。この付近では間違いなく一番高い地点なのですが、森の中で展望はありません。二股の東の道を進むと、獅子見に入ります。電信柱には三相の電線が張ってあり、光ファイバーもあります。そのまま地形図の道を進むと「これより進入禁止」という板があり、その先に人家がありました。地形図から見ると一軒だけのようですが、付近の竹藪はきれいに囲われていて、車もあったのでここに住んでいる方がおられるようです。お邪魔にならないように少し戻って、破線道からはずれて東に降りて行くと、播磨西線23の鉄塔が斜面に立っていました。これも赤白に塗られた巨大なものです。付近には「東急」と彫った石標があり、開発がらみのようです。

この後は二股まで戻って、南に道を歩きました。林道と言うにはきれいな道で、ほとんど轍の跡がありません。岩も落ちていないので歩きやすい道です。450m付近まで来ると、東南に向かう分岐があります。こちらに進むとまずお堂があります。「赤穂郡八十八ヶ所霊場第二番札所 阿弥陀如来」とのことです。このお堂の中に「昭和35年2月3日 川本町長獅子見部落懇談会」の写真があり、20人以上の人が写っています。50年経って一軒に減ってしまったということでしょうか。ここからさらに南東に降りて行くと、道は400m+ピーク付近で終わります。ここまでは車でも来れる道ですが、さらに谷に降りる小道があって、地形図にもある溜池に出てきます。この先も小道で降りられるのかも知れません。ここまでの小道はよく整備されていますし、きれいな石積みもあります。この溜池はいかにも手作りと言った感じのこじんまりしたものです。

450m付近まで登って戻り、さらに南に歩きました。この付近は地形図にあるように植林、雑木林、竹藪が混ざり合っています。道は車で通れる程度に整備されていますが、分岐がたくさんあります。まず地形図で道が東に曲がっているところで西に行く分岐があり、これは地形図の385mピークの方向に尾根を巻いて降りて行きます。車の通れる道ですが、どこかに通じているかどうかは未確認です。次に、地形図で道が400mを切って南に向かい、東に曲がるところで南に向かう分岐があります。こちらを進むと道は二本に分かれており、西側の道を選択すると、沢に向かって降りて行き、地形図の溜池で終わっています。「西池余水吐改修記念碑」がコンクリートの堤防の上に立っていました。溜池の手前には自動車が捨ててありました。東側の道を選択すると、尾根に沿って道は延びていて、最後は地形図の356mピークの下を巻いて降りて行きます。この道は下の細野の集落につながっている感じでした。

地形図の一本道を辿っていくと、地形図の通り溜池が二つある所で終わっていました。これもコンクリートで補修されていて「大池小池改修工事竣工記念碑」が立っていました。写真は大池です。

最後は来た道を戻って車の所まで帰りました。すべて自動車でも通れる道なので、散歩気分です。枝道は他にもたくさんあり、手が掛かっていることが分かりますが、木を伐採して運び出した形跡はありません。これだけ道が整備されていると、藪を歩こうという意欲は無くなります。ピクニックだと思って山歩きを楽しむのが正解でしょう。展望は、時々西や南が見えますが、岩場が無いので大展望にはお目に掛かりませんでした。

展望 ★☆☆
藪山度 ☆☆☆

地形図は「上郡」です。