2016年7月30日土曜日

若桜の遠見山

先週歩いた若桜の鬼ヶ城から弁天山のコースの、特に弁天山付近はとても良い雰囲気の山だったので、今度は北の遠見山から登ってみようと思いました。正確には八頭町と若狭町の境界にある遠見山です。

遠見山に登るなら一番自然なのは若桜神社の裏から西に延びる尾根です。神社の裏手北側から山林に入ろうとすると道があり、よく見ると「遠見山経由弁天山登山道」という道標がありました。ということで、登山道を歩くことになりました。最初は植林の急斜面を登りますが、作業道が補強されており、助かりました。尾根に上がると西に展望があります。

ここからは町界の稜線に沿って登りです。特に展望もなく、倒木もありますが、問題なく宮ノ谷三等三角点(465.56m)に着きました。地デジのアンテナのようなものが立っており、小屋が2つあります。ここで右に曲がって西に進みます。しばらくは勾配は少なく、広い尾根もあって、北を向いた反射板に着きました。ここからは「ウッディワカサ」に下山できるようです。もう少し西に歩いて、600m+ピークを過ぎて、その次の600m+ピークには金属製の倉繁四等三角点があります。これは基準点成果等閲覧サービスでは検索できませんが、標高605.7mで番号は106650でした。同じピークの西の端には日田林道への下山道がありました。日田からも登ってこれるようです。

このあとは少し急斜面もありますが、トラロープが張ってありました。そして、遠見山山頂です。本谷三等三角点(805.84m)があります。周囲は伐採されていて休めます(写真)。登山の感想を書いて投函する箱がありますが、遠見山に「とうけんざん」と振り仮名が振られていました。北側は植林、南側は自然林で、自然林は一部伐採されていて若干の展望があります。この日は暑くて、ここまで2時間半かかってしまいました。山頂からは遠見峠へ下山です。このルートはアセビが多くて迷いやすいのですが、トラロープがあって問題なく下山できました。登山ルートとしては当然このあと弁天山へ向かうのですが、あまりに暑いので遠見峠から下山することにしました。三倉登山口への道標は地形図上の遠見峠よりもかなり北にあるので、もっと南まで歩いてみました。すると路端に小さなお地蔵様があり、茂谷登山口1.4km三倉登山口1.2kmの道標がありました。ここが中国自然歩道の遠見峠のようです。

北に引き返して、三倉登山口へ下山しました。木の階段が随所にあってよく整備されています。何も考えずに歩いているとマーキングを見失うこともありましたが、大きな問題もなく、三倉川の舗装された林道に降りられました。「小畑越 登口」と書かれた道標が立っています。あとは舗装道路を1時間近く歩きました。すぐに周囲の谷は石積みだらけになって、昔は耕作地だったようです。「盛次大権現」と書かれた石がありましたが、平盛嗣でしょうか?歴史を感じさせる地域でした。

展望 ★☆☆
藪山度 ★☆☆
地形図は「因幡郡家」「若桜」です。

2016年7月23日土曜日

若桜鬼ヶ城から三倉富士と弁天山

若桜鬼ヶ城は戦国時代のお城で、領主や詳しい戦歴は分かっていないようですが、江戸時代に廃城となっています。しかし石垣はかなり残っているようなので、見に行きました。

登山口は八幡広場というゲートボール場にあります。標識があるので分かりやすく、道も整備されています。展望台とか遺構とかがあって、整備されたハイキングコースとなっています。途中で三の丸経由と六角石垣経由に道が分かれます。三の丸経由は、鹿避け柵を通ると大きな草が生えて藪っぽくなりました。それでも崩れた石垣の下を周って三の丸に着きました。ここからは若桜の街がよく見えます。さらに登ると広い二の丸があって、その上に本丸跡があります。ここからは東方の氷ノ山と戸倉峠が見えて、確かに交通の要所だということが分かります。鬼山四等三角点(446.00m)もここにありました。二の丸から西側を周って馬場(駐車場)の方に行く道には城壁が多く残っていました。

馬場には未舗装ですが整備された道が登ってきています。その端に「三倉富士登山道」の標識があります。ここから植林の斜面を登りました。携帯の通信塔を左手に見ながら急登に入りました。長い登りですが、整備されているので下草や倒木の問題はありません。トラロープの張ってある斜面を登った中代山三等三角点(778.52m)には、三角点の表示と右向きの矢印の書いてある板が下がっていました。本当の三角点は別の所にあるのかと思ったのですが、そういう意味ではなく、三倉富士への登山道がさらに続いているという意味のようでした。じっさい三倉富士へは、さらに尾根を歩いて、最後に急登があって、ようやくたどり着くことができました。949mの山頂は藪っぽいのですが、東方に展望があります。

最初は三倉富士で下山しようと思っていたのですが、適当な下山道もなさそうなので、そのまま西に尾根を歩くことにしました。こちらにも整備された道があります。尾根の途中に三倉富士と弁天山への分岐の標識があったのですが、後で考えるとここは弁天谷川から登ってくる登山道が尾根に上がる地点のようです。この尾根は大きなブナなどの木が多く、植林も美しく道も整備されているのでお勧めのハイキングコースです。そして弁天山(1017m)に着きましたが、ここも広い山頂に大きなブナの木が生えていて、貴重な場所だと思います(写真)。小さな祠がありました。このご神体は大きなトチの木のようですが、水のない山頂に弁天様というのも不思議です。もちろんこれは、この後に訪れた若桜弁財天にちなんだものでしょう。

下山は表示に従って北の尾根に向かいました。「周回(沢)コース」という札がかかっていました。この尾根は特に798m地点から下は地形図で見ると急斜面で、実際にそうなのですが、ここは植林でトラロープもあり、道がジグザグに付けられていました。この登山道はマーキングは少なめですが道がしっかり整備されていて迷うことはありませんでした。そのまま尾根を下るのではなく、谷に降りて行きました。降りた谷は地形図で弁天谷川として描かれている谷ではありません。この小さな谷には小さな滝がいくつもありますが、それを見ながら下って行くと、弁財天への分岐があります。弁財天の方へ行くと尾根の裾を周って弁天谷川にある若桜弁財天(正式には江ノ島神社らしい。江ノ島神社は弁天様です。)に出ました。ご神体は神社の背後の大岩のようですが、急流の脇に作られた不思議な神社です。カエルや蛇という、いわゆる眷属神の置物あって、書写山の北側にあった祠(2016/4/24)を思い起こしました。しかし神社としてはしっかりしていて、狛犬もいます。長い階段と2つの赤い弁天橋を降りると、舗装道路に出ました。ここに「三倉富士・弁天山トレッキングコース」の案内板があって、謎が解けたような気がしました。ここから結構長い道のりを若桜まで降りました。途中は美しい植林ですが、もとは棚田だったようで、立派な石積みが残っています。

弁天山への縦走は予定外でしたが、後から考えると歩いたのは全部整備されたハイキングコースでした。道を整備された方々に感謝したいと思います。

展望 ★★☆
藪山度 ★★☆
地形図は「岩屋堂」です。

2016年7月18日月曜日

コザイ峠から登る駒の尾山

最近、中国自動車道の夢前インターから乗って鳥取自動車道沿いの山に登りに行くことが多くなりました。今日も地形図を眺めていて面白そうなコースに思えたので、コザイ峠から駒の尾山に登ってみました。

コザイ峠へは、西粟倉ICから大規模林道粟倉・木屋原線で行きました。峠の北側を調べると、一段高い所に細い舗装道路がありました。これはどうやら旧道のようで、青戸への標識が立っています。峠にあたる所の岩の上には石に彫られたお地蔵様がありましたが、この岩はちょっと登りにくかったので、少し西で作業道を見つけて藪に入りました。お地蔵様を近くから調べましたが、風化して裏面に「世話人 長尾」という字が読める程度でした。この藪は急斜面ですが、ちょっと登ると尾根に作業道がありました。周囲は植林が増えてきますが急勾配は続いて、主尾根に上がってほっとしました。718mピークを過ぎると西側から林道が上がってきますが、尾根には達しません。770m+ピークを過ぎると西側からの林道が尾根上で終わっていました。ちょっと頑張って急斜面を登ると伐採地があって、東側の中谷の「愛の村パーク」の建物がよく見えます。写真は日名倉山です。西側も展望があって、引谷四等三角点(856.85m)を見落とすところでした。

三角点からいったん降りて次の840m+ピークに登る手前には、東側から林道が尾根に達しており、そのまま尾根から少し下の東側を走っていました。尾根はこの付近から勾配がきつくなり、935m地点付近はかなり疲れました。藪は全くありませんが、とにかく急勾配が続きます。標高1000mを超えるとだいぶ楽になり、1100m付近で駒ノ旺山荘方面からの登山道と合流します。この付近は木の間隔が広くて気持ちの良い場所です。1139m地点付近から少し笹が生えていますが、邪魔にはなりません。この付近は山頂に近いにもかかわらず西側の谷にはかなり多くの水が流れています。そして長い一直線の登りとなり(木の階段が作られています)、登り切るとネマガリタケの草原に出てきました。後山などが見えるようになり、草原を登り続けて、駒の尾山の山頂に出ました。「駒ノ尾山頂」と彫られた標石の周りに、座れるくらいの高さの石がストーンヘンジのように並んでいます。大茅二等三角点(1280.47m)もあり、案内板もあります。ちょっと東にネマガリタケの間の道を歩くと夏は閉まっている避難小屋があり、その先は後山とダルガ峰への分岐となります。

下山はまず西に降りました。これは林道ダルガ峰線にある駒ノ尾登山口からの登山道なので、よく整備されています。階段も多く、標識もしっかりしており、展望台と休憩舎が途中にあります。登山口から山頂までは2kmとなっています。しかし今回は登山口には降りず、途中で登山道を逸れて尾根をそのまま降りました。1060m+の少ピークから方向を確認しつつ南西に藪を下りました。1000m+の少ピーク付近では登山道が尾根を横切っていましたが、行こうとしている方角とは違うので、さらにそのまま藪を降りました。そして長尾四等三角点(974.90m)をススキの中に発見しました。この辺はかなりの藪です。その先はダルガ峰線が尾根を横切っているので、ちょっと苦労して林道に降りると、「影谷石展望台」がありました。

この先の尾根には進入禁止の未舗装林道が作られており、しばらく降りてみましたが、くねくねと曲がるので尾根を真っ直ぐに降りることにしました。するとすぐにまた同じ林道に出会いましたが、そのまま東の方へ行ってしまうようでした。さらに尾根を降りて行くと、標高800mを切った辺りで、また別の古い林道がありました。林道だらけの山です。さらに尾根を降りると、標高750m付近の先から尾根は西に曲ります。この付近は風が気持よく通り抜けて、気分良く歩ける素晴らしい細尾根でした。尾根の突き当りの標高700m付近から西側はススキが生い茂る伐採地なので、南に植林を歩きました。669m地点を過ぎると急勾配になりましたが、頑張って降りて行くと、作業道に出ました。これを上手に下山方向に辿って、大規模林道粟倉・木屋原線に戻りました。

登りの尾根は、ほぼ予想どうりでしたが、標高差が大きいので山頂までほぼ3時間かかりました。下りの尾根は、最後の気持ちの良い植林以外はちょっと藪っぽい感じでした。

展望 ★★☆
藪山度 ★★☆
地形図は「西河内」です。

2016年7月16日土曜日

篠山の八上城址

篠山市の八上(やかみ)城は、戦国時代には波多野氏が守っていたものを明智光秀が落城させたので有名です。歴史を学びに登ってみました。

登山口は八上の春日神社です。トイレがありますが駐車スペースはごく僅かです。神社を見てから登山です。本丸まで45分と書いてあります。今は植林されていますが主膳屋敷跡を抜けて、木の階段が作られている登山道を登りました。途中には説明板があります。無いとどこが城跡か分からないでしょう。途中であちこちに展望があります。最後は三の丸、二の丸と過ぎて山頂の本丸跡に着きました。波多野秀治の碑があります。昭和初期に波多野氏復権運動があったのでしょうか?本丸の周囲だけは石垣が残っていますが、他には目につくような石垣がなくて、城跡っぽい雰囲気があまり味わえません。しかし周囲には平坦地が多く、山全体が城跡なのでしょう。

山頂を過ぎて南に歩くと、蔵屋敷跡などがあります。その先は分岐で、「藤ノ木坂コース」と「野々垣コース」に分かれています。前者は北に八上へ戻るようなので、後者を選びました。するとすぐ下が大竪堀となっており、竪堀を降りて行くと「朝路池跡」という朝路姫が入水自殺したという小さな池があり(小さすぎるような?)、番所を過ぎると広い谷です。幅は広いのですが全体に沼化しており、山際を歩きました。谷も道も狭くなって、方向を確認すると野々垣の方向へ降りる深い谷を降りていました。ここは南の尾根を歩くつもりだったので、少し戻って作業道を探し、尾根に上がって南に歩きました。400m+ピークを西側に巻いていく作業道を歩いて、細い尾根に乗りました。

ここからは尾根歩きですが、全体に自然林が多く、尾根は切り開かれています。地形図どうり、あまり急峻な所はありません。たまに倒木があったりしますが、全体に歩くのに困ることはありません。ただし低木が茂っている藪っぽい場所を抜ける所は何ヶ所かありました。348m地点を過ぎて少しずつ登って行くと、木々の間から北側の展望がありました。少し急な斜面を登ると、八上村三等三角点(519.69m)に着きました。周囲は伐採してありますが、展望はむしろピークの前後のほうがありました。さらに尾根を西に歩き、467mピークから下山することにしました。

467mピーク付近の北斜面は伐採されています。そこで斜面を降りて伐採地の西の縁を歩いて降りました。伐採に使った道は途中でなくなってしまったので、適当に雑木林を降りて、谷沿いの道に出ました。あとは溜池沿いに殿を通って歩いて八上に戻りました。溜池の堰堤から西の方へ行く道は「林道滝谷線 延長1240米」ですが、崩落しており通行止だそうで、ちょっと歩いてみたくなりました。

城跡から南に延々と延びる尾根は、登山コースとしては平坦で単調なので面白みには欠けます。しかし付近は戦国時代の激戦地で、この尾根にはありませんが周囲には山城がたくさんあったようです。歴史の浪漫を感じられる山ではありました。

展望 ★☆☆
藪山度 ★☆☆
地形図は「篠山」「福住」です。

2016年7月10日日曜日

大原の大空山

あまり高い山ではありませんが、良い名前の山です。場所は岡山県美作市、智頭急行大原駅の北です。江ノ原集落から登ることにしました。山に入っていく道はいくつかありますが、結局集落の北の、因幡街道が国道373に戻る付近の墓地から登りました。神社があり、墓地には江戸時代の墓もあります。その端から竹の多い荒れた急斜面を登りました。作業道の形跡がありますが、急斜面で滑りやすくて困りました。ひとしきり登ると尾根に出て、南側は植林、北側は自然林です。多少の倒木以外は障害物は少なく、風も涼しくて快適に登れました。標高480mを越えて、鳥取自動車道と智頭急行のトンネルの上を歩いていったん降りると、林道がありました。新しいもので、高圧線の鉄塔付近を通って北の桐尾方面から来ているのではないかと思います。これは無視して自然林の尾根を登ると、意外と周囲は広々としています。特に大空山のある主尾根に上がる手前には広い平坦地がありました。そして主尾根に出るとすぐに大空山山頂でした(写真)。吉田三等三角点(545.41m)があります。国土地理院のHPでは「電子基準点取り付け 不明」ですが、金属製のチップが付いていました。展望はありません。

大空山からは南に尾根を下りました。周囲は植林です。地形図では450m-の鞍部に破線道が描かれていますが、道らしい道はありません。ただし植林なので降りられそうな感じではありました。その南の490m+ピークを南東に曲がって尾根を歩きました。489mピークの手前は倒木が藪化していましたが、それ以外は大きな問題はありません。しばらくは広々とした尾根ですが、植林が消えると徐々に藪っぽくなりました。その南の猪の谷四等三角点(434.94m)の周囲は伐採されていますが、展望はありません。このまま南に歩くとどんどん出発点から外れてしまうので、西に適当に藪を降りました。そんなにひどい急斜面ではないのですが、藪っぽい尾根でした。最後は鳥取自動車道のフェンスに突き当たり、北に尾根を降りました。どうしたらよいのか分からないので東側の谷に降りましたが、真っ直ぐに尾根を降りるのが楽だったかも知れません。鳥取自動車道を潜り、さらに智頭急行を潜って、国道373号線に戻りました。

3時間くらいのショートコースです。特に見応えのあるものはありませんが、日本の田舎は良いですね。

展望 ☆☆☆
藪山度 ★★☆
地形図は「古町」です。

2016年7月2日土曜日

播但線の廃トンネルを歩く

生野の南にある播但線の廃トンネルは、前から地形図で見て気になっていました。しかし廃トンネルはどこでもコンクリートで蓋をされるか柵が作られていて、入れないのが普通です。ところが[1]を読むと、今でも中に入れるようなので、行ってみることにしました。

問題は、どうやってトンネルに到達するかです。この廃線区間は市川の東側にあって、この間に橋はありません。となると方法は3つ考えられて、(1)市川を歩いて渡る、(2)播但線の鉄橋で市川を渡る、(3)北の工場を通る、(4)市川の東側の山を越える、です。(1)は長靴が必要ですし(2)は見つかると警察に連れて行かれます。(3)は知り合いがいない私には無理で、結局(4)の山越えを選びました。

出発点は生野峠です。2009/05/02に同じルートを歩いていますが、登り口を忘れました。西に向かってコンクリートの階段があり、登って植林に入ると江戸時代末期から昭和初期までの墓石がありました。その背後の植林の急斜面を登って尾根に出て、あとは尾根沿いに歩きました。アップダウンを経て、藤ノ棚三等三角点(460.81m)に着きました。周囲は原っぱですが展望はありません。ただしこの付近の尾根は木々の間からあちこちの方向が見えることがあります。さらに植林の尾根を歩いて490m+地点に出ますが、ここは迷い易い場所です。今日は南に歩きましたが、尾根が見えないので今回も迷いました。その後も植林が多いのですが、自然林もあってちょっと藪っぽい場所もあります。それでも大した問題はなく、527mピークを過ぎ、目指していた510m+ピークに着きました。三菱の黄色いプラスチック杭と頭の赤い地籍調査の杭が並んでいます。ここから北に尾根を降りました。

この尾根は降りて行くと植林になり、最後はかなり急になります。南側に寄って降りていくと、播但線の鉄橋が見えました。周囲をよく見ると、自分がトンネルの入口の上にいることに気付きました。播但線の線路に出ないで回りこむのは難しそうでしたが、トンネルの山側はしっかりした石組みになっていて、その上を歩いて降りて行くと、トンネルの南側に出られました。明治28年に作られたという割にはしっかりしたトンネルで、中に入れます。入口にレンガや材木が置かれており、最近清掃された感じです。名前は向山トンネルというそうです([1])。向こう側の出口が見通せるくらいの長さです。床はコンクリートで、壁のレンガもかなりしっかり残っています。廃線になったのは昭和2年だそうですから、80年以上も手入れをしていなかったとは思えない保存の良さです。

向山トンネルを出ると廃線の跡ですが、植林されています。倒木もありますが、山側と川側の石積みはしっかりと残っています。不思議なのは比較的新しい(とは言っても50年もの)の碍子のかけらがあちこちに落ちていることで、以前は電線が引かれていたのかも知れません。川に沿って歩いて行くので勾配はほとんど感じられません。途中に山側からの水流をまたぐ場所があって、レールは残っていませんからギャップが開いていますが、飛び越すのは難しいので山側を巻きました。この部分の石積みもしっかり残っています。写真は[1]をごらんください。途中には尾根の先を切り通した部分もあります。

そして、畑山トンネルに着きました。しかし入口は倒木などで藪化しており、しかもトンネルの入口は水没しています。長靴がないのでここはパスして、尾根の先を越しました。これが意外と急斜面を横切る場面が多く、滑落に気を使いました。途中には大きな岩もありますし、また頭上を可愛らしい送電線が越えていく場所もあります。この送電線は川尻から市川を渡って来ますが、山は越えないで、尾根を越えたらまた市川側に戻るようでした。ようやく尾根の北側にまわると、畑山トンネルの入口がありました。こちら側は水没していません。このトンネルはゆるくカーブしていますが、南の出口からの光が弱く見えます。足元は砂利です。レンガには亀裂が多く、剥がれている場所もたくさんありました。中を歩いて北の出口に近づくと、土が積もっている場所があり、その北側は水没していました(写真)。この土がどこから来たかと見上げると、頭上のレンガが剥がれて、穴が空いていました。穴の大きさに比べると土の量は多すぎるような気もしましたが、この土のおかげでトンネル全部が水没しないですんでいます。

畑山トンネルの北にも廃線跡の植林は続いており、また途中に山側からの水流をまたぐ場所がありました。そのうちに播但線の鉄橋が見えてきて、山から林道が降りてきて下を潜っていました。その先は私有地につき立入り禁止なので、林道で山に戻ることにしました。なおこの鉄橋には大正15年と書かれているようで、昭和2年に播但線のルートが変わったことと合致しています。さて林道は草は生えていないのですが、途中から倒木で塞がれてしまいます。不思議なのはこれらの倒木は自然に倒れたのではなく、伐採した木なのです。ちゃんと片付ければ良かったのだと思うのですが。頑張ってフィールドアスレチックのつもりで倒木を乗り越えたり潜ったりして、ようやく畑山トンネルの通っている尾根の上にでました。ここには「災害に強い森づくり」という朝来市の作った樹木整備の看板があり、この先はさらに良い林道になります。しかし水平に伸びているだけなので、途中から急斜面をよじ登って尾根に上がりました。尾根沿いを東に登って行くと、再び林道がありました。これも太い林道で尾根を横切っていますが、南側はやはり伐採した倒木で埋まっています。ちょっと林道を北に歩くと、伐採地に出ました。植樹してあり、ネットで囲った区画の中に植えた木は鹿避けネットで巻いてありますが、林道の路肩が崩れて鹿は自由に出入りできそうです。北には「兵庫森林組合連合会バイオマスエネルギーbe材供給センター」があって、大量の材木が積んであります。再び尾根に戻って、490m+地点に出て、藤ノ棚三角点に戻りました。

藤ノ棚三角点から少し東に降りた所には尾根を横切る浅い切通があるのですが、そこの南側にレールを発見しました。この地点で尾根を越えるという発想は分かりますし、北側には道があるようでしたが、尾根を越した南側は急斜面で、レールが延ばせるとは思えません。謎です。この後は最初に通った尾根は歩かずに、踏み跡を辿って南の尾根に出ると、木の階段が作られていました。これを降りてみたのですが、途中でシダが増えて道は不明瞭になりました。それでも谷を降りるとベンチがあって、散策路として整備されたことがあるのでしょう。ベンチからは水平に道があるのですが、藪化していて水平とはいえ歩くのは大変でした。しかもぐるっと周って国道312号線に近づいても、道との間は抜けられそうもない藪でした。結局植林に戻ってから国道に降りやすそうな場所を探すと、最初に上がった階段のすぐ近くに出てきました。

トンネルを二つとも歩けたので大満足です。整備したら福知山線のような人気スポットになるかも知れません。

展望 ☆☆☆
藪山度 ★★☆
地形図は「生野」です。