2012年9月14日金曜日

多可町の大井戸山と竜ヶ岳


多可町加美区の大井戸山と竜ヶ岳は、その間にある清水坂から登るのが一般的のようですが、真ん中に登って右と左の山に行くなんて、無駄が多すぎです。そこで、大井戸山に杉原川からダイレクトに登ってみることにしました。その理由は、この山の裾野が地形図でとても美しいからです。頂上から裾野に向かって等高線が徐々に広がっていく様子は、まさに富士山のようです。つまり、播磨のほとんどの山は裾から登ると最初が急斜面で辛く、だんだん楽になるの対して、これらの山は最初は楽でだんだん急斜面になるのです。このことは田中眞悟著「兵庫の地理」にも書かれており、麓屑(ろくせつ)面として説明されています。

車を国道427沿いの轟に停めて、杉原川を渡ってやけにきれいに舗装された道を登って行くと、大井戸山の山麓に道が作られていました。しかも「ラベンダーパーク多可」というものまで建設されています。それが綺麗な山裾を見事に円周状に切り取っています。この様子はGoogle Mapでも見ることができたのですが、知りませんでした。しかたなくラベンダーパークの北側の駐車場から植林に入りました。この辺りは、まだなだらかな山裾ですが、ラベンダーパークの北側の植林には石積みがあり、かつては段々畑だったようです。しばらく登ると送電線鉄塔に出ました。奥多々良木線30です。ここからは送電線の巡視路で登ろうと思っていたのですが、登っていく巡視路が見つかりません。結局植林の中を適当に登りました。送電線の下は谷で藪っぽいため、だんだん進路は北にずれて行きました。この付近は植林の間に大きさ1m前後の岩が転がっています。特に谷には岩が集まっています(写真)。尾根に出て登って行くと、だんだんと勾配が急になり、それにつれて岩が大きくなっていきました。溝の刻まれた尾根を登って行くと、岩盤に突き当たって、そこからは木に掴まって登る急斜面になりました。標高にして500m付近です。あとは標高差200m以上を、大きな岩の間を縫って木に掴まって登りました。とは言っても時々は平坦地もあって、休みながら登れました。踏み跡や地籍調査のピンクテープ、それに多可町の地籍調査の杭が目印となります。藪というほど木の間隔が狭いところはありません。そして、いきなり目の前が開けたと思ったら、山頂でした。南に展望があり、目標にしていた尾根上の鉄塔が下の方に見え、杉原川沿いが見渡せます。この日は小雨で見通しが悪かったのですが、それでも大展望でした。実はここは大井戸山の山頂ではなく、ちょっと東に行くと大井戸山四等三角点(794.19m)がありました。

ここからは登山コースで尾根伝いに竜ヶ岳へ縦走しました。大井戸山の東の尾根は岩が多く、尾根を歩いていると大きな岩の端に出て歩けなくなることがあり、その時は巻いて歩きました。丁寧すぎる道標は無いので、楽しんで歩けました。木々の間から篠ヶ峰が見えます。750m+の竜ヶ岳から篠ヶ峰へ延びる主尾根のピークには、多可町の地籍図根三角点がありました。篠ヶ峰方向には何の道標も無いのが気になりましたが、竜ヶ岳へは北上です。岩もありますが、植林が増えてきます。706mピークには、氷上町三原に降りる道標がありました。そして清水坂に降りると、弘化3年のお地蔵さんと、炭焼き窯にしては立派すぎる石積みがありました。ここからまた登りで、竜ヶ岳まではほとんど植林です。時々氷川町も千ヶ峰も見えます。竜ヶ岳山頂は標識がいくつもあり、竜ケ岳三等三角点(816.74m)もあって賑やかでした。展望も素晴らしく、多可の天空に杉原川、ラベンダーパークもよく見えました。

下山は清水坂に戻る気はさらさらなく、竜ヶ岳から西に延びる尾根で降りるつもりでした。じっさいこの尾根には踏み跡があり、多可町の地籍調査の杭などのマーキングがあって、登山道と呼んでも良いくらいでした。ただ、道なりに降りていくと予定していた南寄りに西に延びる尾根ではなく、北寄りの尾根を降りていることに気付きました。踏み跡があって歩き易いのでそのまま降りると周囲は植林となり、湯風呂谷四等三角点(458.77m)に出て来ました。この先の植林では多可町の地籍調査の杭が2本ずつ道を挟んでペアになって埋められていました。ずっと歩き易い尾根なのですが、最後は非常に急斜面となり、南の林に逃げ込んで降りました。降りると林道がヘアピンに曲がっている地点に出ましたが、これは地形図には無い林道で、北側の谷を伐採しているようでした。林道沿いでは伐採作業が行われていたので林道は降りずにさらに植林を降りて下の林道に出ました。あとは林道と国道を歩いて轟まで帰りましたが、国道427は歩道がないので、できれば南向きの尾根で降りたほうが楽だったでしょう。

目標の送電線沿いではなかったのですが、迷うことなく登れたので正解と思います。なお、「ラベンダーパーク多可」で案内図を読むと、「大井戸山までの登山道も整備されています」とありました。

展望 ★★☆
藪山度 ★☆☆
地形図は「丹波和田」「大名草」です。

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