2012年8月20日月曜日

田路から登る山上庭園


山上庭園というのは、笠杉山から段ヶ峰に縦走する途中に通る、宍粟市と朝来市の県境にある標高1080m程度の広い平地です。県境に沿って700mほど伸びており、下草が無く適度に木が生えており、気分の良い場所です。ここへは宍粟市側から登るのが普通ですが、朝来市の田路から登ってみました。

出発点は奥田路の内水面漁業センターです。目の前に365mピークがあり、神社があります。木尊毘沙門天という名前のようですが、18世紀初めの墓があり、この地域の歴史の古さに驚かされます。ここから長い尾根歩きとなります。直線距離で2.5キロですが、標高差は700mあります。ほとんどは植林で、作業道があって歩きやすい尾根です。最初こそ急勾配ですが、すぐに平坦地と斜面が交代するようになりました。717mピークは比較的広い平坦地でした。標高800mの手前付近に、すこし藪っぽい所がありますが、すぐに植林に戻ります。一番傾斜がきついのは、850mの手前でした。この急坂を登ると藪ですが、この付近は尾根の北側に作業道があることが多く、ここを通れば薮漕ぎは避けられます。植林が終わって植生が変わるのは標高850mを過ぎたあたりで、高山っぽい雰囲気になります。970m付近では北側の展望があり、笠杉山から田路川北の尾根や須留ヶ峰がよく見えました。1050mの手前には北側の展望があり、氷ノ山までよく見えていました。

2時間かかって山上庭園に到着しました。中央付近の岩の多い場所の木に「山上庭園」という札が下がっています。南端まで歩いて段ヶ峰から東に延びる尾根や千町ヶ峰など、東・南・西の展望を楽しみました。ここから下山するルートはいくつかあり、トンガリ山(981.4mピーク)を経由することも考えましたが、段ヶ峰から北に延びる尾根は木が少なく、日照りが強そうだったので笠杉山方向に下山しました。植林を降りていくと西側に美しく舗装された基幹林道が見えてきます。そして笠杉峠に出ました。ここには天保年間のお地蔵様があります。問題はその脇に立っている「東へ奥田路60分」という道標です。東に下る道はあるのですが、すぐに背の高い草に覆われて見えなくなってしまいます。昔は道があったかも知れませんが、斜面に付けられているようで、探すのは難しそうです([1])。そこで峠の北の902mピークに登って東側を見ると、地形図に描かれている林道の終点が見えました。草で覆われていて、西側に見える基幹林道と好対照です。ここは基幹林道が一番尾根に接近する場所でもあります。

急斜面を降りて林道に降り立ちました。この林道は幅が広く、かつては自動車が通れたと思いますが、荒れ果てていて、古い林道に生じるあらゆる問題が生じていました。シダが茂るとか、背の高い草で通れないとか、低い木が生えているというのは大きな問題ではありません。斜面の崩落はひどく、山側から石や土砂が崩れてきて林道を覆っている場所が多々ありました。谷側の崩落で道幅がやっと歩ける程度まで減っている部分もありましたし、山側と谷側と両方で崩落が起きた(というよりも、山側の崩落が林道を押し流した)場所では林道が残っていませんから、山側に登って斜面をトラバースしなければなりませんが、小石や砂地が多いので滑落の危険が大です。谷側をコンクリート板で補強してある部分も多いのですが、林道がコンクリート板もろとも崩落して、コンクリート板が眼下に落ちている場所もありました。この林道は意外とコンクリートの部分が多いのですが、川に削られて路面のコンクリートがばらばらに割れたり流れたりしている部分も何箇所かありました(写真)。そして一番強烈なのはコンクリートの橋が流されている場所で、土石流の向こう側の林道の続きまでどうやって渡るかが大問題でした。高い位置を渡ると滑落の危険があり、かといって下に降りると砂の斜面で登れません。すさまじい力で橋が流されたらしく、橋のかけらも見えない所もありました。橋の両側の林道も削られているので、橋のあった位置を推定することも不可能です。そんな場所が10箇所近くあったと思います。谷に掛けられていた橋で無事なものは一つもありません。途中に林道が谷の下で大きく曲がっているところがあり、ここが笠杉峠に繋がる谷ですが、ここの橋も跡形もありません。谷の上流側には倒木は少ないようでしたが、谷は岩が多く両側は背の高い草で覆われており、ここを歩くのは容易ではないでしょう。

林道がやっとまともになったのは地形図で田路川が描かれている付近からで、木材の切り出しをしていました。笠杉山からの下山に田路川の北の尾根を使うなら、ここへ降りてくると早く下山できます。結局林道を歩いていたのは2時間程度で、登りと同じくらいかかってしまいました。

展望 ★★☆
藪山度 ★★★ 登りは問題ありません
地形図は「神子畑」です。

0 件のコメント: