2020年8月22日土曜日

穴裏峠から蓮根峠

 


これらの峠は丹波市青垣町と福知山市の境界の尾根にあります。この尾根は日本分水嶺です。まず穴裏峠に行ってみました。ここを通る県道109号線は、北西の榎峠を通る国道429号線にトンネルができるまでは、丹波市から福知山市に抜けるメインルートになっているようで、しょっちゅう車が通ります。東芦田から車を避けながら登っていくと、最初に目につくのは「安全は自分で守れ自分のため」と書かれた廃墟になった建物で、道路の反対側にはやはり廃墟の事務所と、山の裾にコンクリートの建造物があります。どうやらこれらはこの奥にある採石場を経営していた会社のものらしいのですが、夜逃げ同然の状態になっています。それはさておき、その先にはお地蔵様と「護美無大明神」と書かれた赤い鳥居などがあり、さらに登っていくと「穴の浦峠開通記念碑」が立っています。採石場への分岐付近には「水源かん養保安林」の看板があり、この県道は「上小田成松中線」、この付近は「字亀房」です。トンネルの北が「字奥山」で、もっと北が「字穴ノ浦」です。足元には石の道標があり、南無地蔵大菩薩の左が「ふくち」、右は「やまみち」のようです。ということは、昔からここに峠道があったということになります。トンネルに着くと、額では名前は「穴の浦隧道」です。地形図によるとこの上が穴裏峠なので、旧道を探しましたが、急斜面の植林で道がありそうな気配はありません。とりあえずトンネルの北側から植林を登りました。作業道の名残がありますが、まっすぐに登るのは無理で、斜めの道を探しました。最初はトンネルの上は石が落ちると困ると思って避けていましたが、だんだんそうもいかなくなり、結局南にトラバースして小さな尾根に出てから稜線に上がりました。危険過ぎです。


分水嶺の稜線は両側か一方側が植林で、倒木がある程度で楽に歩けます。最初は399mピークに向かって登りで、登ると共同アンテナの残骸がありました。そして北の鞍部に降りると穴の浦峠の道標がありました。東が奥榎原、西が東芦田、北は蓮根峠、南はクロイシ山です。この鞍部は西に降りると現在は堰堤のあるる谷になります。穴の浦隧道の上は鞍部ではないので峠の訳はないと思っていましたが、ここなら納得できます。しかしそうなると、県道で見た道標は何だったのかが謎です。ひょっとするともう一つ尾根越えの道が、例えば県道のカーブの堰堤の谷にでもあったのかも知れません。この穴裏峠の西側の谷も急斜面ですが、峠には亨保17年の「道造供養塔」があり、江戸時代の道路工事でも死者が出たようです(写真)。


穴裏峠から少し北に登ると平坦地があり、現在は撤去された鉄塔(現時点ではまだ地形図にのっている)の跡のようです。ここからしばらくは作業道があったので辿りましたが、結果として440m+のピークは東側を巻いてしまいました。尾根に戻ると、たまに倒木が邪魔な程度で歩きやすい尾根です。標石ごとに紅白の測量ポールが置かれています。452mピーク付近から西に曲がって、降りると地形図では破線道がありますが、見つかりません。鞍部には道があってもよさそうでしたが、地形図の破線道はなぜか少し登った所に描かれています。ここにも道はありません。アップダウンしながら467mピークからやや急な斜面を降ります。この付近は倒木の数が増えたような気がしますが、下草はほとんど生えていません。


蓮根峠は、たいへんに気合の入った深い切通しになっています。両側に道があるようです。道標やお地蔵様を探しましたが、ありません。切通しを作る時に土と一緒に捨てられたのではないかと気になりました。ここから南にも降りられそうでしたが、再び西の植林に登って分水嶺を歩きました。ちょっと登るとアルミ製のはしごが落ちていましたが、持ち帰るには重そうでした。植林を南西に歩いて410m+ピークまで行き、ここで分水嶺に別れを告げて南の尾根に進みました。418mピークを過ぎて、次の410m+ピークには道標がありました。「塩久峠 分水界 蓮根峠」と書いてあります。これは北に歩けばそうなるという意味だと思いますが、ここが分水界と誤解されそうです。南向きに「城の丸へごりんかん」と書いてあって、よく分かりませんが整備された道があるのかと期待しました。そのまま南に歩くと標高400m付近がやや急な登りとなり、平坦になってきて、472mピークの手前のピークまで来ました。なんの道標もないので、ここから東に降りることにしました。この尾根は地形図で見ても割となだらかで、実際に切り開きもあって歩きやすい尾根でした。目標は東の山神社だったのですが、気がついたら一つ北の尾根を降りていました。これは最後は少し急斜面になりましたが、植林なので北に見えていた林道に降りられました。林道を歩いていくと害獣避けの扉があって抜けられたので、この下山はいちおう正解でした。


展望 ☆☆☆

藪山度 ★☆☆ 最初の斜面は除く

地形図は「福知山西部」です。



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