2007年12月24日月曜日

南から登った塚本山

塚本山というのは,菅生川沿いの夢前町塚本にある山で,山頂には三角点があります。すぐ北にバーズタウンがあって,北側から遊歩道が造られていますが,これを南から尾根沿いに登ってみました。起点は夢前町菅生澗です。地形図で見ると,尾根の南端は緩やかに終わっています。しかし,行ってみるとこの付近には金属の柵があって,乗り越えるのはちょっと憚られます。また,柵の西側は道路沿いにコンクリートの崖になっていて,登るのは難しそうです。結局もっと西に歩いて,菅野公民館の前から登ることにしました。ここは雑木林の急斜面です。少し登ると養蜂のための木箱が置いてありますが,その先も木に掴まりながら雑木林を登っていくことができます。ある高さまで登るとシダが生えており,それを抜けると雑木林の尾根に到達します。尾根はなだらかに落ち葉で敷き詰められており,良い感じです。

ここから北へ尾根を進みますが,この山は典型的な里山です。通れないような藪はありませんし,倒木もないので良いのですが,小さなピークはどこもシダに覆われていて,歩きづらくなっています。ピークの間の尾根にはシダが無く,枯れ葉の上を歩くことができます。そんな状況が塚本山の頂上まで続きますが,237m地点に登る急坂には岩場があって,南側の展望が楽しめます。海まで見えました(写真)。

ところどころ切り開きかと思われるような道がありますが,単なる獣道かも知れません。シダが大きく育っている場所は迂回しました。藪は少なく,細い木の枝を押しのけたり枯れ枝を折ったりしながら進めます。道がないので,ハイキングというわけにはいきませんが,慣れた人には何の苦もないでしょう。

塚本山の山頂にはベンチがあり,その先の下山途中にも案内板やベンチがあって,良く整備されている印象でした。おそらくバーズタウンの方々の努力なのでしょう。私は山頂から第三展望台,第二展望台を経由して西登山口に降りて,道路を南に歩いて上り口に停めてあった車に戻りました。

北からの登山道はちょっと整備されすぎていて物足りないという方がおられれば,南側からの登山もお勧めできます。

展望 ★★☆
藪山度 ★☆☆

2007年12月16日日曜日

角亀トンネルから田幸山

播磨新宮から国道179号線を西に進むと,国道は相坂峠という峠を通りますが,これが栗栖川(揖保川の支流)と角亀川(千種川の支流)の分水嶺です。角亀トンネルはこの少し南の,栗町と角亀の間の分水嶺を通っているトンネルです。播磨科学公園都市の東側の入口となっています。科学公園都市の整備に伴って,旧来の角亀トンネルの他に,もっと真っ直ぐ走れる新角亀トンネルが造られました。この付近から東側の田幸山までは尾根がつながっており,これを登ってみました。

地形図を見ると,新角亀トンネルの西側から破線道が尾根に登っています。歩いてみると,これがこの峠の旧道であることが分かります。尾根を越えるところには切り開きがあり,両側には石垣があります。尾根の付近から北に分岐があり,これは貯水タンクに行っています。田幸山に向かう尾根に乗るには,峠の付近から植林を無理矢理登ることになります。どこから登るのが正解かは,よく分かりません。切り開きの所からでも登れますが,急斜面です。私は少し南に降りたところから登りましたが,伐採した細い木がたくさん転がっていて,登りやすかったとは言えません。

とにかく尾根に出ると,これは快適な道です。ところどころ尾根道は消えますし,踏み跡は植林に行きがちなので藪を通ることもありますが,大半は落ち葉のカーペットの敷き詰められた尾根道です。481m地点まで,時々迷いましたが,倒木が少ないのでストレスの少ない山登りでした。この後,田幸山の頂上までも,落ち葉の散歩道,というのは言い過ぎにしても,雰囲気の良い山です(写真)。ただし道は必ずしもはっきりしておらず,杭などの標識を頼りに歩くと山から降りそうになることもあります。

田幸山の頂上にある三角点は西栗栖(446.3m)です。ここにはNHKの大きなパラボラアンテナもあります。どうやって機材を運んだのでしょうか?さて,ここから下山するルートはいくつかあります。一つは北の田幸の砂防ダムに向かって山林を抜けて降りる激下り([1])で,以前に一度降りたことがありますが,木に掴まりながら降りるので腕が痛くなります。一方,南側の尾根を伝っても降りられそうですが([2]),田幸山の南の麓には播磨道が張り付くように走っており,下手な場所に降りると播磨道で行く手を遮られそうです。そこで,無理はせずに時間は掛かっても良いから地形図にある林道を降りようと思って東に進んでいると,いきなり地形図にはない新しい林道が現れました。しかも尾根を横切って南に進んでいます([2])。あまり何も考えずに,これで南側に降りられると信じて南に進むと,何やらハバタンの絵の描いてある看板が立っています。そうです,まだ工事中なのでした。

工事期間は平成20年2月29日までとなっているので,果たして山を降りるところまで工事が進むのかは定かではありませんが,とにかく現在はあまり工事は進んでいません。しかし,降りられると信じて山の南側まで来てしまったので,戻る気にはならず,林道の先を進んで南に降りることにしました。正面には三濃山の東にある防衛庁の赤白の高い塔が見えています。林道は尾根沿いに進んでいるのですが,道のできていない先の方はかなりの急斜面です。しかも岩が多く,一度は岩の上に出てしまい,降りられなくなってしまいました。結局大回りして林の中を木に掴まりながら降りました。降りた地点は,播磨道が三濃山トンネルの方に曲がる地点よりも東側で,水のない川を渡って道路に出ました。

林道ができれば山頂へのアクセスはとても良くなりますから,角亀トンネルからも安心して登ってこれるようになります。とにかく落ち葉の楽しめる山でした。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★☆

2007年12月9日日曜日

松之本三角点

馴染みのない名前の三角点だと思いますが,前之庄の東側にある三角点(225.5m)です。以前に更に東側の大倉山を歩いたときに,西に向かう尾根への分岐を見つけたので,今回は西側を歩こうと思ったのですが,なかなか難物でした。

登り口ですが,前之庄からみどり丘の前を過ぎて中国自動車道沿いに歩くと,北側に「売地」と書いた看板が立っています。ここがみどり丘と久畑の間にある低い尾根で,木が刈られているので容易に尾根の上まで登れます。

ここからは尾根伝いに北に歩けばよいのですが,道があるわけではありません。最初は切り開きのようなものがあり,尾根の上か北側を通っていますが,すぐに無くなってしまいます。その後は,少し西側に迂回して植林の中を登りました。かなりの急勾配です。地形図では250mの等高線から上は広い尾根になっていますが,ここは「松茸山に付き登山禁止 持主」という札が掛かっており,尾根の西側には荷造り用のビニール紐が張られています。しかし道はしっかりしており,少し歩くと今度は東側にもビニール紐が張られていて,回廊のようになります。

尾根を歩いてゆくと,ビニール紐は無くなり,植林に入ります。西へ向かう尾根に乗るなら,ここで植林を登らずに西へ曲がるのが正解のようですが,私は更に登って319mピークを確認しました。ここは以前に大倉山の帰りに通った場所です。松之本自治会の杭が打ってあります。そしてここから西に降りて尾根を探したのですが,広い尾根で非常に見つけにくくて苦労しました。

この先の,松之本三角点までの尾根は,勾配は余りありませんが,倒木が多くて歩きにくい場所でした。たまに北側に展望がありますが,視界は効きません。地形図で西の外れにある270m+のピークの付近は倒木が少なく,一面の落ち葉で良い感じでしたが,このような場所は稀で,藪と倒木と格闘しながら進みます。途中にYAESU製のトランシーバが落ちていましたが,こんな場所に登ってくるのは林業関係者でしょうか?

松之本三角点は,倒木に埋もれています。しかも倒木の間に棘のある木が生えているため,三角点へのアプローチは危険です。三角点は普通に上から見ていたのでは,ほとんど見えません。白い杭の頭が少し出ている程度でした。(写真)

あとは下山ですが,しつこく尾根を進みました。三角点の南には溜池があり,三角点の西の鞍部からは降りられそうでしたが,溜池の縁に降りて道がなかったら悲惨ですから,さらに200mまで登って南に尾根を進みました。187m地点を過ぎて,そのまま南へ降りるつもりでしたが,結局出てきたのは松之本の南にある神社でした。

このコースはとんでもなく大変な道です。倒木だらけですし,野バラか何か知りませんが棘の生えた草が多くて困りました。藪山というよりも,倒木山かも知れません。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★★

2007年12月1日土曜日

市川町の城山

城山という名前の山は余りにも多いので,説明を要します。この城山は,福崎から市川沿いに北上して東側,小畑川と岡部川に挟まれた山です。頂上には殿所という三等三角点(323.6m)があります。

さて登ろうと思っても,登り口が分かりません。とりあえず山の南側を歩いたのですが,はっきりした登り口は見つかりません。そこで,「山の入口は神社」という原則に従って,岡部神社(三角点の南南東あたりにある神社)の裏手から登ってみました。しかし,急勾配過ぎて登れず,少し東に進むとなだらかな谷があり,ここから尾根に向かって登りました。この谷は植林ですが,倒木が少ないので楽に進めます。ただし谷の奥はかなりの急勾配で,最後は藪になっています。この登り方は明らかに不正解です。

尾根に出れば切り開きがあります。東に向かって尾根を降りることもできますが,西向きに尾根を登ると,しっかりしたテレビアンテナが数本立っています。ここが頂上で,殿所三角点があります(写真)。2ヶ月ほど前の新聞紙が落ちており,登る人がいるということが分かりました。

頂上から西に向かう道もあり,南東に向かうかと思いきや北東に向かいます。途中に「松茸山につき入山禁止 自 九月二十日 至 十一月三十日 東川辺区長」という看板が出ていて,ここが松茸山だということが分かりました。私が登ったのは奇しくも12月1日,まさに登山解禁の日でした。単なる松茸山ではなく,「マツタケ増殖施業地」という兵庫県立林業試験場が出した看板もあります。松茸を育てているのです。

この道は良く整備されているのですが,倒木で通れなくなっている箇所もあり,迂回が必要となります。かなり降りたところで,NHKの「送信所へ 受信所へ」という立て札に出会います。頂上にあったのが受信所で,低い尾根の上に送信所があるのです。この送信所は,平地から見上げると見えました。送信所のアンテナから降りて行くと,途中に動物の白骨と毛皮があり,誰かが猟の後始末をしたような気配があります。最終的には,東川辺の南に出てきました。

松茸のシーズンを避けてちょっとした山登りを楽しむには手頃な山です。ただ,私が見つけ損なった登り口は,降りた地点とは山の正反対にありそうなので,降りてから出発点に戻るには大回りする必要があります。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★☆

2007年11月10日土曜日

三日月の御殿山

御殿山は,三日月町(現在は佐用町三日月)の中心である三方里山の北にある山です。たいして高い山でもなく,町にも近いので公園にでもなっているのかと思っていました。参考にしたMTBの記録([1])は送電線の巡視路を使っていますが,山頂から南東に明確な道があったということなので,地形図の西ノ脇から登る破線道だと思って,このルートに決めました。

駅からも近いのですが,車で行ったので車を「味わいの里三日月」にとめました。北に歩いて,「三日月藩乃井野陣屋館」の東側の道を登っていきます。溜池までは良い道ですが,溜池の東側に入る地点で藪っぽくなります。左右から草が伸びていますが,道ははっきりしており,溜池の東岸に沿って歩いていきます。溜池の上まで行くと,破線は東寄りの沢に入っていきますが,ここで道が無くなります。踏み跡があるような気がするので,なるべく破線道とおぼしき付近をシダをかき分けて歩いたのですが,最後は進めなくなってしまいました。しかたなく沢は諦めて,急斜面を真っ直ぐ登りました。足よりも腕で登るような斜面でしたが,無事植林を抜けて尾根に達することができました。

しかし,このなだらかな尾根にも道はありません。それどころか背の高い笹や灌木や倒木があって非常に歩きにくくなっています。幸いに前進不可能な場所は無く,そのうちにCATVのアンテナが現れました。ここから山頂までは確かに明確な道でした。山頂は御殿山三等三角点(351m)がありますが,山頂と言うよりも三叉路という感じです。地形図にある東西へ延びる道と,北に延びる巡視路の交差点です。展望はありませんが,少し北に歩くと西側の視界が開けて佐用ゴルフ場や利神城が見えて少し嬉しくなりました。

北の尾根には巡視路があるのでハイキング気分です。ピンクリボンのマーキングもあって,道に迷う可能性はあまりありません。鉄塔ごとに少しずつ展望がありますが,周囲の木が伸びすぎていて,広く視野が広がる場所はありません。この送電線は播磨西線と呼ばれるものですが,どの鉄塔もかなり巨大です。平成9年の建設ということで,新しい送電線です。

鉄塔47は尾根から少しはずれており,間村四等三角点(357.3m)は更に西側にあります。写真はこの三角点に供えられた(?)プラスチックの杭です。この三角点の先にもピンクリボンがあり,地形図を見ると尾根が西に延びていて,降りられそうな気もしました。これからこの杭がその尾根に打ち込まれるのかも知れません。しかし,とにかく尾根に戻って北に進みました。少し下ると石仏のある鞍部があり,これが金山と平松を結ぶ京坂であると思われます。ここから破線道を西の平松側に降りました。

この破線道にはピンクリボンを巻き付けた杭が打ってあり,間違いなく道なのですが,困ったことにすぐに沢と一体になってしまいます。雨の後は,おそらく歩行不能と思われます。石の上なので,足の裏が痛い上に滑りそうで,あまり歩きたくない道です。辛抱して歩いていると,ようやく林道に出ました。それを下ると平松です。

これで山歩きは終わりではありません。車まで帰るには,千種川沿いを南下し,東徳久の矢能から再び山を越さねばなりません。矢能から山に入る道は,またしても溜池の脇の道ですが,これは良い道です。この道は御殿山の方に延びて行きますが,そちらへは行かずに溜池の東側から南の植林に入ります。最初は良い道ですが,だんだん倒木が増えてきます。それでも道ははっきりしていますが,最後には道が消えてしまいます。しかし三日月に行くには尾根まで登らざるを得ませんから,道はなくとも,またしても腕を使って急斜面を登っていきます。尾根に近づくと草むらになりますが,とにかく尾根には登れました。この尾根には道と呼べる物はありません。

地形図には破線道があるのですが,尾根で探しても見つかりません。しかし,少し東側に斜面を降りると道が見つかりました。植林の間の道ですが,山の反対側と比べるとずっと歩きやすい道です。途中で新宿に降りる道があったはずですが,記憶がありません。とにかく降りてゆくと,林道に出ます。これは,市ノ上から真北に溜池に向かっている道です。溜池に近い部分は地形図には載っていませんが,自動車の通れる道です。

三日月に向かうには,この道を南に下り,途中の分岐を東に折れます。少し登って鞍部に来ると,左西ノワキ,右市(ノ上)と書いた石標が立っています。南北の尾根に向かって巡視路の入口があり,頭上は送電線が通っています。ここを過ぎて東に降りていくと,無事に「味わいの里三日月」に出られました。

地形図の破線道を歩いていたはずなのに,何度も藪を抜けたり急斜面を両腕を駆使して登ったり沢を歩いたりと難行苦行の連続でした。結論として御殿山にどう登るかですが,西側の道は整備されている可能性があります。少なくとも西の端の溜池近くと頂上では良い道に見えましたが,途中がどうなっているかはわかりません。最も確実に良い道なのは,三日月から西に送電線の下の鞍部まで登り,そこから真北に巡視路を使って尾根を登って御殿山に達することでしょう。降りる方は,三日月に帰るなら北の尾根から東側に降りるのが正解だと思います。

このルートでは,地形図に載っていない道は歩きやすく,載っている破線道は藪でした。なんでこうなるの?というのが率直な感想です。決して藪漕ぎを目的に歩いているわけではないのですが。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★☆



2007年11月4日日曜日

豊富町の畑山

市川の東岸,余り高くはありませんが,目立つ山です。地形図を見ていたら,西側の津熊三角点からぐるっと一周尾根に点線があります。どんな所か見に行ってみました。

一見して分かることは,山の下に日本化薬の工場があることです。従って,西側の尾根の南端から登ろうとしても登り口がありません。道路から見上げると山頂まで一直線に木の生えていない幅10m程度の帯状の地帯があって,これが津熊三角点までの登り口になるのですが,入口は立入禁止なので,もっと西側から登り始めました。自動車修理工場のような所に登っていく道があり,その先に数段のコンクリートの階段があります。階段を上るとその先は地形図にもある岩場です。これを登って,藪に入ると水平道がらしきものがあり,これを東に行って帯状の道に出ようとするのですが,藪があってそうはいかず,少し登ってはこれを繰り返し,という案配で,やっと木の生えていない地帯に出てきました。岩場っぽい登りで,急坂ですが津熊四等三角点(149.0m)までは難なく登れます。

この辺で周囲を見て考えると,この帯状の地域はなんとなく不自然です。後からGoogle Earthを見てびっくりしたのは,地形図の破線は衛星写真では非常にくっきりと木も草も刈られて写っていることです。モヒカン刈りの反対,といったところでしょうか。登る前には調べなかったのですが,この山の登山記録はインターネットにあって([1],[2]),それによるとこの10mの地帯は防火帯ではないかということです。日本化薬は昔は日本火薬と言っていたくらいで火薬を作っていますから,防火は大切です。それに,この付近の山は日本化薬の所有地らしく,防火帯の両側の木に「立入禁止」の札がたくさん下がっています。入りたくないような藪なので立ち入る気はさらさらなかったのですが,両側が立入禁止なら,この防火帯(ということにしておきます)そのものも立入禁止のような気がします。少なくとも素直に防火帯を降りていけば,工場の敷地に入ってしまいます。地形図でもこの防火帯は特定地区界の線として描かれています。

その防火帯ですが,三角点を過ぎてしばらくは快適な水平な尾根です。展望もあって,海まで見えますし,姫路セントラルパークも見えます。しかし北側の展望が開けてくるようになってきてから,どんどん藪になってきます。大きな木はありませんが,背の高い草が多く,特に笹とイバラ(と言うんでしょうか,棘のある蔓草)に手こずります。背の低い木も意外とあります。草は背丈以上のものが多く,それをかき分けて進まねばなりません。足下には踏み跡がありますが,目の前はひたすら藪が広がります。Google Earthの写真は神谷池が完成した後のものなので,それからの期間にここまで草や木が生えるものかと感心します。

時々北側の雑木林に避難しながら尾根を進むと,目前に急斜面の岩場が見えてきます。登れるのか心配になりましたが,登ってみると木が無い分だけ藪よりは楽でした。手を使えば難なく登れます。その先も藪ですが,場所によっては草が生えていない場所もあり,展望もあります。

そして,太尾二等三角点(311.6m)です(写真)。ここが畑山の山頂ということになりますが,三角点は笹に覆われていて,あやうく見過ごすところでした。両側は雑木林で全く展望はありません。展望はその先の反射板の所で得られます。しかしこの反射板の周囲もひどい藪で,特に西側の防火帯は急斜面に背の高い草が大量に茂っており,足下が見えません。下りですから一つ間違えると危ないので,こちらには行かずに反射板の東側を通りました。狭くて通りにくいのですが,通れます。

この先は,道がありました。もう立入禁止の札はありません。整備された登山道ではありませんが,反射板から東の尾根に続いています。赤いテープのマーキングが要所要所に下がっていて,迷う恐れはありません。問題はこの道がどこに行くのか分からないことだったのですが,藪を下るのは危険なので素直にこの尾根道を行くことにしました。長い長い,アップダウンのない道です。時々東側や南側の展望が開けます。マーキングが無くなったりして不安になることもありますが,道ははっきりしています。不思議なことは神谷池が見えないことで,どこへ行くのだろうと思っているとどんどん道は北へ向かいます。

1時間近く歩いて,出てきたのは畑山の北側,太尾青少年キャンプ場でした。畑山の北にある谷あいの溜池の畔です。神谷池の西側の尾根をぐるっと歩いたことになります。私有地に入らないためには,これが正しい畑山の登山道ということになります。ただし,キャンプ場の入口には,「関係者以外入山禁止」の立て札が立っていましたが。

展望 ★★★
藪山度 ★★☆

2007年10月28日日曜日

三日月の大乗山から上本郷への林道

三日月の大乗山の林道のことは,前にも書きました。今回は,この林道を歩くときに迷い込んだ東向きの林道がどうなっているのかを調べてみました。

出発点は,三日月の茶屋です。少し南の交番の裏から,大乗山の頂上近くに登る林道があります。これは良く整備された道で,部分的には簡易舗装されています。じっさい,登っている途中に降りてくる軽トラックに会いました。

水平な尾根に沿った林道に出たら,東に進路を取ります。大乗山の三角点(300.3m)もすぐそこです。この道も良く整備されていますが,それだけでなく,尾根からあちこちに分岐があり,良く整備された里山という感じです。茸や栗を取りに来るのでしょう。ただし,東に歩いて行くと途中から崖の赤い土砂が崩れている場所があり,ここは自動車で抜けるのは大変でしょう。

東に向かう林道への分岐に出ます。ここまで歩いてきた大乗山へ向かう道よりも,東に向かう道の方がずっと良い道です。この林道は基本的には尾根に沿っていますが,尾根の北側の斜面につけられています。自動車のすれ違いの場所が設けられていますが,小型乗用車ならどこでもすれ違えるでしょう。ガードレールも随所に設けられています。

北側の谷を見ながらしばらく行くと,道が大きく北に曲がってゆきます。ここから尾根は北向きになりますが,その前に近くの大山三角点(368.6m)を見に行きました。林道からは100mも離れていませんが,一番近いところで林道からアプローチすると非常に急なので,少し北に行ってから植林の間を登って尾根に出て,そこから南に歩きました。よく手入れされた植林です。三角点近くは雑木林で,茸狩りの人に会いました。松茸を探しているそうですが,見つかったのは1本だけで,あとは普通の茸(おいしいのだそうですが)だそうです。この付近は山崎の近くとは違って,松茸山とはみなされていないようです。

さてその三角点ですが,見事に壊れています(写真)。国土地理院に知らせるべきでしょうか?(三角点と彫ってある面を上にしたのは私です)この付近は,南向きに若干展望があります。

林道に戻って北に歩きます。良い道なのですが,砂利道で足が痛くなってきます。道の脇に小屋があり,地主の方の道具などが置かれています。また,「アオラ」という仏花を育てておられるそうです。林道は尾根の西側の斜面につけられており,西側の御殿山方面の展望が開けます。近くの高丸山や栗栖池の付近は倒木がひどいのですが,この林道に沿った地域には大規模な倒木は見られません。手入れがよいのかも知れません。

それにしても長い林道です。ここまで延びているとは予想外でした。この林道は25000分の1の地形図にもゼンリンの地図にも載っておらず,Google Earthでは分解能が低すぎて見えず,唯一Yahooの地図の航空写真に写っていますが,それも大山三角点の北で終わっています。最近作られた林道に違いありません。正直言って,これだけ長いと飽きてきます。東側が見える場所がたまにありますが,目下にあるはずの栗栖池は植林が高すぎて見えません。424m地点は,400m+くらいの西側斜面を巻いて進みます。このあと,町界(現在はたつの市と佐用郡の境)は375m地点の方に向かいますが,林道は424mピークの北で北西に延びている尾根の北側を進みます。北側に展望が開け,大内谷の民家が見えます。しかし林道はこのあと西に進み,次のピークの南側を通って,372mピークの手前の大きな切り通しを経て尾根の北側斜面を降りていきます。

大きなカーブをいくつも経て,かなり標高が下がって大内谷の南の250m付近まで降りてくると,工事用のシャベルカーが何台か休んでいます(この日は日曜日でした)。そして,「林道工事中 林道三日月本郷線開設公示 期間平成19年7月3日~平成20年2月28日 佐用町役場 農林振興課」ということで,まだ工事中ということが分かります。え?工事中?降りられないの?と戸惑っていると,林道は見事に終わってしまいました。この林道の工事は三日月側からのみ行われているようで,まだ北の降り口まで達していないのでした。

まさかここまで来て引き返す気もしないので,尾根と思われる付近から降りることにしました。最後になって,やっぱり藪漕ぎです。急斜面ですが,樹木の密度は高くなく,途中には切り開きのような場所もあり,墓地の裏手に出てきました。あとは本郷川に沿って歩いて三日月に戻りました。

林道歩きのお好きな方がおられれば,お勧めです。夏は暑そうですが,冬は気持ちがよいかも知れません。完成すれば,砂利道のドライブルートとしてもお勧めです。

展望 ★★☆
藪山度 ★☆☆ 林道が完成すれば皆無です

2007年10月21日日曜日

莇野から登る神種三角点

夢前町莇野は,菅生川の上流,中国自動車道の北側です。この東側,中国自動車道のすぐ北側に東西に走る尾根があります。ちょっと下がって東側の山には,神種の三角点があります。明神山の南に広がる山並みです。これを縦走したら面白そうだと思ったのですが,バスの便が悪い場所なので,車を莇野側にとめて,三角点まで往復しようと考えました。四辻と前之庄はバスが来ていますから,早起きすればバスを使っても歩けるルートだと思います。

この山の西側は送電線がありますから,巡視路を探すのが早道と思いました。そこで送電線の下付近を探したのですが,見つかりません。そこで,少し南下して,「やくしの森」と書いてあるところから登りました。麓には薬師堂がありますが,登っても木のベンチがあるだけです。登山口は見あたりません。脇に墓地があったので,そちらに行ってみると,山林に上がっていく道がありました。ここから登りました。

最初は植林ですが,そのうちに雑木林になります。尾根に出ると,北側の植林の木が切られており,尾根は歩けません。しかし,南側の雑木林の中を歩いて登れます。そのうちに送電線の鉄塔に出ます。309m地点に立っている,播磨線73鉄塔です。この付近は開けた平坦地で,西や北の展望が開けています。明神山も見えます。ここから東へ次の鉄塔までは尾根の巡視路ですから,ルンルンで歩けます。とは言え,倒木を避けなければならない場所もあります。時々南や北の展望が開けます。次は紅白に塗られた74号鉄塔となります。この後も,しばらくは巡視路歩きとなりますが,広い尾根で巡視路もはっきりしません。巡視路は385mピークには行かないので,ここで巡視路から外れます。巡視路からピークまではすぐです。

この後,神種三角点に行く道は,地形図から見て予想していた通り,非常に分かりにくいものでした。地形図から見て明らかなのは,真っ直ぐ東に行くと行き止まりの尾根に出るということです。そこで,北東に歩きますが,北に寄りすぎると鉄塔に出てきます。これは播磨線76です。385mピークからほぼ真北に延びる尾根で,神種三角点に行くにはこれと谷を隔てた東側の尾根を降りていく必要があります。うまくこの尾根に出られれば,割とはっきりした踏み跡があります。さらに,両側が下り急斜面になっている植林の尾根に出てくれば正解です。

神種三角点までは,雑木林の中を抜ける踏み跡があります。写真は,この付近から見た明神山です。明神山は木々の合間から常に見えていました。倒木もありますし,ルンルンでは歩けませんが,枯れ枝を折りながら進むと,三角点に到達します。テレビの中継アンテナが立っています。三角点から東に降りる明瞭な道がありますから,神種に降りるのは容易と思われます。私は385mピーク近くまで引き返し,76号鉄塔まで降りて,そこから更に北側の鞍部(明神峠)まで降りて,西の馬谷に行く林道を歩きました。山の北側でじめじめしていますが,気持ちの良い林道でした。

思ったほど倒木が無く,歩きやすいルートだと思います。385mピークから神種三角点までは,かなり迷いやすいと思いますが,ルートハンティングだと思って楽しむのが正解と思います。

展望 ★☆☆
藪山度 ★☆☆

2007年10月14日日曜日

中村・前之庄三角点

塩田温泉から林道塩田線を登って坂地峠から棚原山に登るルートは,よく知られています。このルートを通ると,当然「この峠の北の山はどうなっているんだろう?」という疑問が湧きます。この疑問に答えるべく,北側の山に登ってきました。

塩田温泉から峠に行くと,棚原山への道よりも少し手前の北側に,コンクリートの壁があります。この壁の端は段になっていて,ちょうど階段のように見えるので,ここを登り口にしました。もちろんこれは階段ではありませんが,テープのマーキングがいくつもあります。そして,すぐに尾根に出るのですが,驚くほどたくさんのマーキングがあります。地面には木の標識もありますし,ここから中村三角点までは,迷うことはまずありません。勾配は急ですが,振り返れば木々の間から棚原山が見えます。

293.9mの中村三角点は,特に特徴のある場所ではありません。驚いたのはここに大柿さんの赤いプラスチック板が下がっていたことです。このルートを歩かれていたとは知りませんでした。家に帰ってから調べたのですが,確かに2002/11/10に記録があります。ただし詳しいことは書いてなくて,「大藪覚悟で突入したが小藪程度で縦走完了」とあるだけです。小藪と言えるかどうかは,この後を読んでください。

中村三角点で尾根は少し折れ曲がります。ここからは古知之庄が望めます。この先の尾根にはマーキングは全くありません。雑木林の間を進みます。尾根道はありませんが,雑木林なので倒木があっても問題はありません。小さなピークを一つ過ぎると,東から送電線の巡視路が上がってきます。ここからは関電のおかげで歩きやすい尾根道になります。この道は次の250mの小さなピークを西側からぐるっと巻きます。登ることもできますが,かなり藪っぽいと思います。そして巡視路はピークの北側を東に巻いて,尾根の上にある小さな鉄塔に着きます。とても可愛らしい鉄塔で,足の間隔は2m程度しかありません。神野溝口線95です。建設は昭和14年3月ですから,小さいのも分かります。

ここから巡視路は北の鞍部へ降りていきます。ここは草が生えていて地面が見えないので,転んでしまいました。この付近は藪なので,巡視路が無いと歩けないかも知れません。鞍部は植林ですが,巡視路は真っ直ぐに藪の方に登っていきます。そのまま登っていくと,笹藪になりますが,さすがに関電の巡視路はしっかりしており,笹のトンネルの中を進んでいきます。笹藪に道を付けると,両側の笹が大きく育って倒れるために,トンネルになってしまいます。林田付近では何度かこれにひどい目に遭っているのですが,関電はしっかりと笹を切っているので,しゃがんで歩いていけます。途中に次の鉄塔への分岐点があるのですが,これも笹のトンネルの中です。この付近の笹のトンネルは見事なもので,一見の価値があります。そして神野溝口線94に出てきます。杉之内がよく見えます。巡視路はここで行き止まりです。ここから尾根に乗る予定だったのですが,周囲は笹藪でとても尾根には行けません。

しかたなく鞍部まで引き返しました。東へ歩いて植林の中を登って尾根に出ましたが,なるべく鉄塔から遠くの地点に出ないと,尾根は笹藪です。この付近の尾根は藪がちで歩きにくいのですが,しばらく行くと雑木林の普通の尾根になります。道が無いので枝をかき分ける必要はありますが,軽快とは言えないにしても歩くのに支障はありません。282mピークに近づくと踏み跡がはっきりしてきますが,これはピークの西側を通り過ぎます。北に行くにはこれが正解で,下手にピークに登ってそのまま進むと東の尾根に出てしまいます。

次のピークも踏み跡は西側からピークへと登っています。このピークは四つ角になっており,東は香寺町中村へ,北は久畑三角点経由で中国自動車道の南に降りるようになっています。私はバスに乗る都合から,西の尾根を進みました。

この西の尾根は広くて迷いやすい場所です。方位磁石で常に方向を確認しないと現在地点がわからなくなります。雑木林ですが木の密度が高めなので,枝を押しながら進みます。踏み跡と思われるものがたまにありますが,ほとんどは藪です。北にみどり丘の住宅地や七種山方面が見えます。この後247mピークまでは倒木もあり,歩きやすいとは言えない雑木林です。

この先は地形がますますわかりにくくなり,方位磁石は必須です。植林があり,倒木もありますが,通れます。そして前之庄三角点(213.6m)ですが,完全にシダに埋まっており,発見するのに苦労しました。(写真)

問題はどうやってこの山を下りるかです。三角点の周囲はどちらを見ても急斜面の藪です。降りられないことはないと思いますが,シダも多く,避けたい場所ばかりです。また,下手に降りると工場に入ってしまう可能性もあります。そこで,少し東に戻って,地形図で見るとちょっと尾根っぽい南側を降りていこうと考えました。この場合の問題は二つ,南斜面なので藪がきつそうなのと,沢に降りてその先歩けるかどうかです。

最初はこのルートは正解のように見えました。多少の尾根があるのです。しかしどんどん急斜面になり,藪も密度が高くなります。木に掴まり,枝を押して降りると,沢の近くまで降りられましたが,ここは笹藪です。万事休すかと思いましたが,沢は笹で完全にはブロックされていません。足下には岩の間を水が流れていますが,とにかくしばらく進むと,沢の南側に林道がありました。

正しい降り方は,今でもわかりません。林道の入口の工場脇には関電の巡視路の標識と「まむし注意」の標識があります。登るのなら,ここから登るのが正解でしょう。しかし,三角点からここを目指して降りて来るのは容易ではありません。なお「点の記」は北側の林道から登っています。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★★

2007年10月13日土曜日

再び間違った道で登った三坂三角点

再びというのは,前回の黒谷三角点のリベンジの話です。黒谷三角点も三坂三角点も安志の南東の山にあり,尾根で繋がっています。黒谷三角点へは長野から東に延びた道を入って,北側の林道から尾根に登ったのですが,藪と植林を突破する必要があったので,今回は南側の林道から尾根に登ってみました。

前にも書きましたが,これらの林道は地形図のようには繋がっていません。南側の林道は良く整備されており,途中は舗装されています。しかし,石がたくさん転がっていますし,大きな切り株が道を塞いでいる場所もあります。そして,林道にはよくあることなのですが,突然終わっています。その終点は,地形図で言えばまさしく谷のどん詰まり,標高270m付近です。正面には488mのピークが見えますが,まだ200mも急斜面を登らねばなりません。終点の先は谷ですが,草が茂っていてとても歩けそうもありません。登り口のようなものもありますが,すぐに草で行く手を阻まれます。しかし,よく見ると左手,つまり北側は植林で,そちらに行く道がありました。

ここから尾根に出るまで,ほぼ1時間かかりました。植林への道はすぐに消えてしまい,後は藪を歩くしかありません。この辺りの植林はかなり伐採されており,丸太が斜面に転がっている状態ですが,その上にシダをはじめとした大きな草が生えているため,丸太が見えない場所が多数あります。しかも,地形図からもわかるように急斜面です。丸太の上を歩いているうちはいいのですが,足を踏み外すと転んでしまいます。これなら前回登った斜面の方がずっと楽でした。

間違った道のことを詳しく書いてもしかたありませんが,登るならいっそ植林が伐採されてしまった裸の斜面の方が楽かも知れません。この尾根には,北の端から登るか,送電線の巡視路を伝って登るのが無難です。

尾根に出てからは,488mピークの北から今回は東に進路を取りました。この付近は比較的よく手入れされている植林で,倒木も切ってあります。しかし,開けた尾根道というようなものはありません。しばらく歩くと三坂三角点(477.9m)に到着です。(写真)

この後も,ずっと尾根を歩きました。この尾根については大柿さんの記録を読んでいて,歩きやすそうな気がしていたのですが,決してそんなことはありません。確かに絶望的な倒木地帯はありませんが,倒木はたくさんあります。そして,尾根の分岐が多く,例えば私は439m地点で南東に向かってしまい,途中で気がついて引き返しました。

この後,鞍部に出ますが,ここは東も西も下りられそうでした,しかし,東は工事の音がうるさく,ダンプと並んで歩くことになりそうですし,西側は地形図で見ると崖の上に出てきそうなので,さらに南の尾根に進みました。

この付近はとりたてて特徴はありませんが,相変わらず倒木が多く,決して気楽に歩ける尾根ではありません。しかもアップダウンがかなりあって疲れます。

414m地点には倒木があり,北から来てそのまま進むと西向きの尾根に行ってしまいます。歩きやすい尾根なのでそのまま降りられればいいのですが,少し進むと岩場があり,その先は道は無く,急斜面の藪です。しかたなしに414m地点に戻り,倒木で見えなかった南の尾根に進みます。切り開きはありませんが,しばらくは尾根道です。しかし,350m付近で急斜面になり,後は木に掴まりながら降りるしかありません。ここまでは蜘蛛の巣を払うために木の枝を持っていたのですが,ここからはそれすら持てません。適当に降りていったのですが,場所によってはまさしく藪漕ぎでした。最終的には谷のような場所に出て,大きな石を踏みながら降りて行ったところ,三坂の村に行く舗装道路に出ました。帰りは古瀬畑からと決めていたので,峠越えの道路に出て,峠を越えて奥護持へ行きました。疲れた足には堪えました。

この山は,二戦二敗となりました。二回とも尾根まで登れているのですから,必ずしも負けではないのですが・・・

展望 ★☆☆
藪山度 ★★★

2007年9月22日土曜日

福崎の大倉山から一周

福崎と言っても半分は香寺町で,姫路市かも知れません。登り口は才加ゴルフ場からちょっと東に行ったところで,「ようこそ大倉山へ」という登山口の表示があります。山頂(385m)までは30分ほどですが,きつい登りです。南斜面ですから,夏はあぶられて大変だと思います。途中に休憩所が設けられていますが,ベンチは壊れたのか無くなっています。シダが伸びすぎて道が見えなくなっている場所がありますが,山歩きに慣れた人なら見失う可能性は無いでしょう。

大倉山山頂は木が切られて展望が良いのですが,その分だけ日陰ありません。ベンチがまだ一つは残っていました。ここには三等三角点もあります。ちょっと休んで北の尾根に向かいます。東向きの道をちょっと降りると分岐があって,北向きの道が続きます。良い道ですが,若干倒木があります。ほとんどの倒木は処理が終わっていますが,道を塞いでいるものがあり,乗り越えるか潜るかしなければなりません。このまま気持ちよく歩いていくと,下りになって,鶴居支線10という鉄塔に降りてしまいました。ここは降りずに尾根伝いの道に進む必要があるのですが,尾根には倒木があって道を塞いでいるため,良い道を選ぶと鉄塔に出てしまいます。これは先人も書いておられました([1])。

この後はいくつかアップダウンがあって,峠山四等三角点(322m)に達します。関電の巡視路になっている部分もありますが,その割りには倒木があり,乗り越えなければなりません。尾根道ですから,間違った尾根に進まなければ方向ははっきりしています。峠山三角点には2003年1月1日の大柿さんの赤いプラスチック板がまだ残っていました([2])。

車を登り口に置いてきたので,南を目指します。この尾根についてはほとんど情報が無かったのですが,道の無いところはありますがきつい藪は少なく,倒木も少なく,十分歩けます。途中から荷造り用のビニール紐が稜線に沿って張られています。尾根の西側は植林,東は雑木林で,松茸が雑木林で採れるのでしょう。登山口にも松茸シーズンの登山はご遠慮下さいと書いてありました。

松茸を取りに来る人がいるということは,登山道があるということなので,それを探します。319m地点から南東に延びる尾根があり,ビニール紐もこちらに向かっていたので(写真),そのまま尾根を降りていきました。途中から東向きの尾根に乗り,最後は東に付き出した尾根の所で道は消えていました。この付近にも空き缶やペットボトルは落ちているので,人が登ってきていることは間違いないのですが,道が見つかりません。

あきらめて南の植林を降りようかと思っていたところ,北に降りる道を見つけました。東端のピークに登り返す前に北に道がありました。これは明らかに人がたくさん通っている道で,途中の木にはビニール袋が下がっており,中には空のペットボトルがいくつも入っていました。この道は最後は急な植林の中を谷に降りますが,倒木が多く,急斜面なので困りました。しかも降りたところは北側のじめじめした谷で,倒木が多く,降りたことを後悔しました。しかし,少し倒木を乗り越えたり潜ったりしていると,沢沿いの石だらけの道に出てきて,あとは溜池(地形図の南側の溜池)に出ました。地元の方はどの道で登っておられるのでしょうか?

この尾根を通らず,もっと南の尾根を歩く方が,傾斜はずっと少なくて楽かも知れません。次回はそちらを試そうと思っています。しかし,松茸の季節は避けねばなりません。

展望 ★☆☆ 藪山度 ★★☆

2007年9月9日日曜日

間違った道で登った黒谷三角点

黒谷三角点は,山崎から国道29号線で姫路に帰ってくるときに,安志から林田川沿いに走るときに東に見える山の上にあります。かなり険しい山ですが,高圧線が通っていることと,山の北側の沢に道があるようなので,登れるのではないかと思って行ってみました。車で29号線を走り安富町長野へ行き,川を渡ってタキロンの工場を過ぎると,右手に大きなマンションが見えます。左手は花温泉です。この付近に車を止めて,歩き始めました。

「点の記」を見ると,この谷の道を終点まで行って,そこから急斜面を登っているのですが,地形図では谷の破線道は二本あり,終点で繋がっています。北側の道はマンションの前からいきなり草ぼうぼうで,石を積んだ祠のようなものもあって山道の雰囲気が漂っているので,こちらの道を選びました。これは多分間違った道なんでしょう。

この道は幅はありますが草が生え放題です。左手に赤い「火の用心」があり,これが北側の鉄塔への巡視路の入口です。後で南の尾根から見ると,この送電線の下の木はきれいに切られていて,あまり楽しみのない登りのようでした。しかし,そこを登らずにまっすぐ行っても,楽しみがあるわけではありません。道はそのうちに終わってしまいます。地形図ではループ状に描いてあるのですが,地形図を恨んでもしかたありませんので,目の前の尾根を登り始めます。地形図で言うと,北側の破線道が南に走っている地点当たりだと思います。したがって,この付近の尾根に登る道としては最も傾斜の緩い道で,正解であったと言えなくもありません。急斜面の植林の間を登りますが,倒木もあって苦労しました。尾根に出てきて場所を確認すると,369mピークから南に進んだところにある小さな400mピークの北側でした。傾斜が最も緩い斜面を登ったことになりますが,それにしては急勾配でした。

あとは楽な尾根歩きが少し続きました。400mピークの南の鞍部は,ひょっとすると西側から道があるのかも知れませんが,明確ではありません。この辺りは馬の背のような稜線道がありますが,倒木のある場所もあり,基本的に道はありません。488mピークの前で,東に向かう尾根との分岐がありました。東に足を伸ばしたいのは山々ですが,そうすると帰って来られません。488mピークに向かいました。この辺りまでは,比較的歩きやすかったと思います

さらに尾根を西に進んで三角点を目指すと,倒木が増えてきます。斜面に降りたり倒木を乗り越えたり潜ったりして進むと,やっと黒谷三等三角点(493.8m)です(写真)。付近は当然のように藪で,展望はあまりありません。しかし,時々植林の間から北側の尾根が見えることがあります。三角点の南には広い平坦地がありました。この山の名前は,当田山というようです。

ここからは下りですが,これが大問題でした。いざとなれば北の植林を降りられるとは思いましたが,非常な急斜面で,場所によっては植林されていない場所もあるので,危険も伴います。一番楽そうなのは,平坦な尾根を北西に進み,尾根から下がったところにある送電線の鉄塔に出て,巡視路で降りるというものです。この作戦に従って西へ進んだのですが,藪と倒木が意外と厳しくて難儀しました。

へとへとになって北西へ尾根を下っていくと,赤い「火の用心」の板が二枚ありました(一枚は倒木の下にありました)。ここでは二つの低い尾根に鉄塔があり,それを繋ぐ巡視路が尾根の高い位置を経由しているのです。巡視路の内で北に向かうものを選んで降りていきます。急勾配ですが,さすがに関電の巡視路だけあってプラスチック階段がたくさんあります。ほどなく鉄塔に到達し,さらに巡視路を下ると,マンションが見えてきます。このマンションの南側は急斜面に面しており,住民の皆さんは毎日森を見て暮らしておられるようです。巡視路はまだまだ続きますが,最後はタキロンの工場に出てきました。

今回の登り方が正解であったとはとても思えません。しかし地形図を見る限りではどこも等高線の間隔は狭いので,楽に登る方法があるとも思えません。いずれ異なったルートにも挑戦したいと思っています。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★★

2007年7月29日日曜日

林田八幡三角点

林田の八幡神社の北側の山に,八幡三角点という四等三角点があります。標高は315.9mとのことで,たいした山には思えません。というのが,大間違いでした。

登山ルートは皆目データがないので,「点の記」を見ました。八幡神社から東にひと山越えた所に奥池という溜池があり,その北側まで自動車で行って,そこから三角点までほぼ一直線に登っています。時間は60分掛かっていますが,尾根沿いということで歩きやすそうです。標石調査は平成13年12月14日に行われているので,情報としての確度は高そうです。というのが,また大間違いでした。

奥池への道は奥池の東側にチェーンが掛かっていて,北側までは車では行けませんが,問題はありません。奥池の北で,点の記のルートを探しますが,この付近は崖になっていて登れそうもありません。更に西に歩くと藪の向こうに道のようなものがあり,行ってみると山道でした。割と良い道ですが,すぐに鞍部に達します。八幡神社側に降りる道のようです。この鞍部から北に無理矢理登る手もあったのですが,道が全く無いようで,躊躇して戻りました。これは正解だったかも知れません。

奥池の北側にははっきりした登り口が無いので,奥池の東側から北に延びる道を行くことにしました。これも余り良い道ではありませんが,この付近で山に向かっている道はこれだけです。すぐに分岐があり,左側を行くと左手に沢があり,沢沿いの登山道となります。

この道は手入れが悪く,場所によって倒木もあれば笹藪もあります。歩きにくいのですが,とりあえず道はこれしかないので登っていきます。最後は沢が細くなってきますが,それでも沢の突き当たりまで行って尾根に乗るつもりでした。しかし,道は無くなり,倒木や笹藪が増えてくると進めなくなり,遂に西側の斜面を登ることにしました。ここは雑木林で,急勾配ですが登れました。しかし,その後尾根までも藪の連続です。

ようやく尾根に出ましたが,この地点は三角点からは遠く離れた,連山の東寄りでした。北の山田三角点に延びる尾根に近い場所です。ここから尾根を三角点目指して西に歩きます。流石に尾根道は歩きやすいのですが,かなりアップダウンがあります。まず300m+のピークを越え,一度下がってから三角点に続くピークに登ります。この辺りから尾根には笹が生えており,尾根伝いには歩けなくなりました。北側斜面を少し降りると斜面に道のようなものがあるので,それを伝って歩きますが,斜面に付けられた細い道なので上手に体重をかけないと滑り落ちてしまいます。

三角点の近くまで来ると,三角点を探しに尾根に出なければなりません。笹をかき分けて三角点を探すと,笹藪の中に三角点を発見しました(写真)。周囲はひどい藪で,点の記の記述とは雲泥の差です。

帰りは尾根伝いに東に行って奥佐見の方に降りるつもりだったのですが,三角点まで登りに2時間も掛かっており,素直に奥池に降りることにしました。とは言え道はありませんので,300m+ピークの西側の鞍部まで引き返し,そこからまっしぐらに南に降りました。すぐに沢が見つかり,沢沿いに歩きましたが,途中から藪がきつくなり,場所によっては沢を歩きました。水はほとんど無かったのですが,岩の上は歩きにくいものです。最後は植林になったので,ほっとしました。出てきたのは,最初に入って行った道のすぐ西側,しめ縄の張ってある岩の横でした。

葛城山のトラウマ(2006年10月)があるので,笹藪は苦手です。しかしどうして林田には笹藪が多いのでしょうか?冬にリベンジを考えていますが,笹は冬でも強さはほとんど変わりませんから,また敗退しそうな気がします。

その後、この山が松尾山という名前だということを知りました([1])。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★★

2007年7月22日日曜日

護持三角点

夢前町護持の山に,484mの護持四等三角点があります。この付近は石切場が多く,削り取られた山もあるのですが。この三角点の付近は無傷です。三角点に登って来るだけでは芸がありませんが,芦田の方から尾根伝いに歩けば,尾根歩きも楽しめるかなと思いました。

出発点は芦田です。バス停から西に上菅小学校の方に歩くと,尾根に登る道があります。これを登ると尾根に出るので,そこから尾根伝いに歩いていきます。さして急勾配は無いのですが,長い尾根歩きです。尾根をはずすことはまずないでしょう。時たま菅生川が見えますが,展望はあまりありません。特にこの日は雨上がりで,降った雨が蒸発してできる霧でほとんど何も見えません。

この付近には植林もありますが,尾根にはあまり倒木はありません。はっきりした尾根道のある部分もありますが,道の分からない所や,藪の間を抜けざるを得ない場所もあります。特に,479mピークに近づくと背の高い草や灌木の間に倒木があり,尾根を歩けないので迂回して斜面の植林の中を通りましたが,これも斜面を降りすぎると勾配がきつすぎて歩けません。何度か決意を固めて藪を突破し,479mピークに着きました。

ここからは西に進路を変えて,しばらくは比較的良い道でした。一箇所,北に尾根が延びているところがあり,うっかりすると間違えてそっちに行ってしまいます。

この先三角点までは,かなり歩きにくい部分です。倒木と藪と両方ですが,背の高い草が多いようです。木を乗り越え,草をかき分けて進みます。三角点近くには尾根に倒木が折り重なり,その間に大きな草が生えている場所があり,難儀しました。

とにかく,歩き始めて2時間半ほどで,護持三角点に到着です(写真)。倒木の向こうに白い杭が見えます。周囲には霧が立ちこめています。

この先は下山ですが,しばらくは尾根道があり,赤いテープのマーキングもあります。しかし,400m付近でそれも見失いました。とりあえず一番勾配の少ない方向に降りていったところ,西に向かっていました。それもどんどん急勾配になり,最後は灌木が密集して生えていたので,それを避けて植林の中を降りました。木につかまらないと足場が悪くて滑ってしまうので,腕が痛くなりました。降りたところは小さな沢でしたが,途中で水流は地下に潜っており,地上の岩だらけの水のない沢を歩いて降りました。藪をいくつも突破し,植林を抜け,出てきたのは奥護持の西方でした。

この下山ルートは失敗でした。もっとしっかり尾根に沿って歩けば,中村の二百余神社の付近に出られたかも知れません。この神社の付近は「上菅自然の森」になっていて,神社の東側の沢には道が整備されているように地図には書かれています。尾根に登る道は無いかも知れませんが,こちらから登ってルートを逆に回るのが正解かも知れません。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★★

2007年6月30日土曜日

小坪三角点から芦田三角点

小坪三角点と芦田三角点は,菅生川の支流である坪川(菅生澗の付近で分かれる)と菅生川に挟まれた山にあります。登り口は夢前町小坪の若王子神社にしました。この神社の建築は文化財的に価値が高いそうですが,見て回ってもよくわかりませんでした。もっとよく分からないのは山への登り口で,神社の裏に沢のようなものがあるのですが,藪がきつくて辿るのは容易でありません。そこで思い切って神社の北側の尾根に登りました。急斜面の植林ですが,さほどの苦労もなく尾根に出ました。ここから西に進むと南北に走る尾根に出るので,それを北に辿りました。

時々シダが生えていますが,藪と言うほどでもなく,しばらく歩くと小坪四等三角点に出ました。この付近からは南側の展望があります。この先も尾根を北に進みますが,藪の間の小道で,なかなか良い感じです。尾根が下りになると,そこには鞍部を通る道(踏み跡程度ですが)がありました。大坪から芦田に抜ける道のようです。ここから北は,また登りです。303m地点まではやや急勾配ですが,この先にはところどころ岩場があり,西側の展望が得られます。写真はこの尾根からバーズタウンを望んだものです。

この先も雑木林の尾根で,ほとんどは開けています。場所によっては木々の間隔が狭くて苦労する場所も何ヶ所かありました。とにかく鞍部から1時間ほどで,457.5mの芦田三等三角点に到着しました。特に視界が開けているわけでもありません。

ここからは下りですが,北側は石切場なので近づかずに南西の尾根を降りました。ここには珍しく赤いテープのマーキングがあります。しかしそれも途中で見失って,最後は急斜面の植林を降りるといういつものパターンになりました。この尾根は芦田と古瀬畑の二方面に分かれていますが,私が降りたのは芦田側の尾根でした。もっと上手に道を見つければ谷あいの溜め池に降りられたかも知れないのに,とかいろいろ反省はありますが,とにかく無事に降りられました。

三角点二つをぐるっと一周というのは悪いコースではありません。倒木に悩まされることも無く,良いコースだと思います。このコースだと,バスで行くときは,夢前川沿いのバス停から小坪まで歩く必要があり,ちょっと疲れます。しかし,芦田を起点にして南側から登れば,周回コースにもなります。

展望 ★★☆
藪山度 ★☆☆

2007年6月16日土曜日

山崎の上ノ山から塩野三角点

山崎町の南東に,いくつかの通信塔がそびえている山があります。これらの塔への保守道路は川戸にあります。草が茂っていますが歩いて登るには全く問題のない道で,NTTの川戸無線中継局まで登れます。展望も良く,手頃な散歩道です。近くには関西セルラー山崎通信所・ツーカーホン関西山崎ベースステーション,NHKの山崎テレビ中継放送局,兵庫県山ノ上無線中継所など,賑やかです。川戸三角点は草むらに隠れているので,見つけるにはちょっと苦労します。

ここから東に尾根伝いに歩こうとしたのですが,ネットがあったりして歩きにくく,結局保守道路を途中まで降りて,東側の尾根に登り直しました。通信塔群のあるピークとは小さな鞍部で隔てられており,そのあたりから登れます。

ここからしばらくは山林歩きでしたが,突然視界が開けたと思うと,いきなり立派な舗装道路が尾根を横切っていました。地形図にはありませんが,川戸から中国自動車道の方へ尾根を越える道路が完成しています。この付近は切り通しになっており,木がないので適当な場所に立つと山崎町の町並みが望めます(写真)。尾根からでは木が多すぎてほとんど展望はありません。

ここから東側は単調な尾根歩きとなり,じきに送電線鉄塔(山崎線八)に着きます。ここからしばらくは巡視路を歩きますが,塩野三角点を見に寄り道しました。この付近は平らな植林地帯で,倒木もありますが歩けないことはありません。背の高い,割と細い木が多く,風が吹くとそれが揺れてお互いにぶつかる音が聞こえます。展望はありませんが,くつろげる場所でした。

ここからは町界を南に下ります。羊歯藪を避けながら適当に降ります。また鉄塔があり,そこから鞍部までは巡視路と同じルートだと思います。塩野から川戸に抜ける道の所まで来ると,関電の6号塔への「火の用心」と,「廃寺跡 塩野自治会」の札が立っています。お地蔵さんもあります。私はここから西に川戸へ戻りました。こちら側は植林地帯で,若干倒木もありましたが,すぐに林道に出ました。

一番展望の良い場所が,山を切り崩して作った道路の脇だというのはちょっと悲しい気がしましたが,藪山とはそういうものです。

展望 ★★☆
藪山度 ★☆☆

2007年5月12日土曜日

坂越の釜岬

相生湾の西側の岬,坂越の釜岬への道については,「野歩記」に記述があります([1])。途中から藪ということなので,とりあえず見に行ってきました。

迷ったのは登り口です。よくわからなかったので,古墳の標識のあるところから山に入ってみました。尾根に向かって歩いていくと,古墳どころか道もなくなってしまい,藪を抜けて尾根に到達しました。 この後は基本的に尾根道で,三角点のあたりまで割と楽に歩けました。除草剤を撒いた跡があり,道を作ってくれた人がいるようです。その先もひどい藪はなく,湾の入口に面した岩場に到達しました。

「野歩記」ではこの南はもっとひどい藪ということですが,私が行ったときにはなんとなく道がありました。歩きやすくはありませんが,藪と言うほどのものはなく,南の岩場に付きました(写真)。かなり高所の岩場で,素晴らしい展望が広がっています。

この先をもっと南に進んで本当に岬まで行ってみたかったのですが,これは流石にひどい藪で不可能でした。行ってみても海岸に降りることは不可能でしょうから,岩場がなければ海も見ずに引き返すことになるだろうと思います。

なお,坂越付近の山は山火事が多いらしく,駅の西側の山は4月の山火事で焦げていました。茶臼山や宝珠山,みかんのへた山古墳など,湾の北側の山道は岬への藪山歩きよりも楽しめると思います。

展望 ★★★
藪山度 ★☆☆

2007年4月29日日曜日

山崎の高取山

山崎の高取山は,宍粟郡山崎町の東側の山です。25000分の1の地形図だと,498mピークだけが載っていますが,その南のピークが高取山です。

登山道がよく分からなかったので,まず須賀沢の石作神社に行きました。山に入る道が神社の裏手にあることはよくありますが,この神社の裏手には林道のような道がありました。ちょっと歩いたのですが,水平な道でいっこうに山に登らないので,谷になっている所で斜面に取り付きました。急斜面をちょっと登ると尾根に出て,そのまま送電線の鉄塔に出ました。これは山崎線14という鉄塔で,東側で送電線が二方向に分かれています。

この付近で,良く整備された道があることに気がつきました。実は,この山は「やまさき 彩りの森」として整備が進んでいるのです。西の花菖蒲園の近くにある聖山城趾から,「深呼吸の広場」を通って遊歩道が整備されています。この送電線から高取山の頂上までは1400mとなっています。実は神社の裏で見た林道も,このハイキングコースに繋がっていたのでした。もう少し辛抱して歩いてみればよかったのです。

よく整備された「ハイキングの森」を歩きます。「ツツジの展望広場」に出ます。送電線の「火の用心」の札も立っていますし,木のベンチ(箱みたいなもの)が置いてある場所もあります。このベンチは動かせるので,日陰に持って行って休めるので良いアイデアだと思います。

そして「健脚向けルート」を登って一気に頂上に出ました。途中の道でも山崎側の展望は良かったので,頂上の展望は感動するほどのものではありませんが,中国自動車道越しに南側の山(上ノ山から塩野三角点)が見えます。ちょっと東の方に行くと,「安富方面展望ポイント」があって,安志がよく見えます。ここには登頂記念の石が積んでありました。写真はここから谷を挟んで東に見える尾根です。この尾根を目指すことにしました。倒木が気になりましたが・・・(写真)

ここから498mピークに向かう道は整備されていませんが,山道としては十分に歩きやすい道です。送電線の巡視路にもなっているようですが,花菖蒲園の方向には入山禁止の札がかかっている場所もあり,松茸でも採れるのかも知れません。468mピークには特に何もありません。さらに尾根を東に歩き,送電線と分かれて町界に向かいます。この辺は道が不明瞭な植林で,尾根が広いのでちょっと迷いました。

このあと,518mの安志三角点までは雑木林の中の尾根です。岩が露出している場所が多少ありますが,歩きやすかったと思います。三角点には赤と白の測量用のポールが立っていました。その先は植林となります。高取山から見えていた倒木地帯に近づくと。尾根にも倒木がありますが,乗り越えられないほどではありません。高取山の頂上がよく見えるようになります。この付近が地形図の473m地点でしょうか。

ここからは下りです。植林や雑木林の急斜面を降りてゆきます。かなり降りて,やっと安富三角点(285m)に出ました。この三角点は丸い金属板ですが,国土地理院の杭が立っているので発見は容易でした。ここからは町界沿いに安志峠に降りるつもりでしたが,結局難しくて西側の尾根を降りることにしました。藪を少し抜けて降りた場所は木材流通加工センターでした。急いで29号線に出ました。

整備されたハイキングコースと,ちょっと藪っぽい山歩きの両方をエンジョイできるルートでした。

展望 ★★★
藪山度 ★☆☆



2007年4月28日土曜日

山崎の最上山

山崎の最上山(さいじょうざん)については,ネット上にいくつも記述があります。最上山そのものは公園になっており,多くの句碑や西洋風の見晴台(下から見るとホテルかレストランにしか見えない)とかギリシャ彫刻・近代彫刻などがあって楽しめます。頂上の篠之丸城趾まではきつい登りですが,すぐに登れます。

頂上から西へ尾根沿いに行くには,ジャングルジムやログハウスの方へ歩き,林に入ります。すぐに山崎三角点があります。これが長い尾根歩きの始まりです。

次の三角点は高下ですが,ここまでは歩きやすい尾根道です。整備されているとは言えませんが,障害物もあまりありません。多くの人が歩いているという印象です。384mピークの付近は南側に展望が開けています。次の高下三角点は倒木の下にありましたが,この付近も歩きにくいことはありません。

問題は380m地点を過ぎて472m地点からで,ここから上牧谷の三角点までは大倒木地帯となっています。尾根は歩けませんので斜面を歩くことになりますが,急勾配の植林です。上牧谷三角点の付近は倒木で埋まっており,三角点の標識は広い頂上の東の隅で倒木に隠れていました。角がかなり削れてしまっています(写真)。この付近には標識や荷造りテープの境界設定もあるのですが,なによりもまず倒木を片付けてほしいと思います。容易でないことは分かりますが。

尾根の倒木を歩くのに疲れて,上牧谷から下山することにしましたが,道があるわけではありません。適当に植林の中を降りましたが,ひどい目に遭いました。最後は青木の砂防ダムに出てきました。お勧めコースは,この三角点は避けて,380m地点から東側だけを歩くことだと思います。上牧谷から北西の,横野三角点の南側の鞍部までの道も興味はありますが,倒木がひどそうな予感がします。この付近は伊沢川沿いのバス路線が廃止されてしまったために,山歩きルートを設定しにくくなっています。

展望 ★★☆
藪山度 ★★☆ 倒木あり



2007年4月27日金曜日

小野豆から上郡

上郡に小野豆という平家落人伝説で有名な村があります。ここは近畿自然歩道が通っているので,歩いて行ってみようという気になりました。

相生駅からスプリング8行きのバスに乗って,瓜生東で降ります。ここから西に歩きます。瓜生の村を抜け,大池の北側を通って,まず峠を抜けます。出てきた所は矢野町小河(「おうご」と読むのでしょうか)。ここには宇麻志(うまし)神社があり,参拝してまた山に入ります。

近くに西播変電所があるため,送電線がたくさん通っています。特に山の一番高いところにある送電線は巨大なもので,しばらく感動していました。道は流石に近畿自然歩道で,とても良く整備されています。あちこちに関電の「火の用心」があって寄り道したくなりますが,先を急ぎます。

バスを降りて1時間半ほどで,小野豆に到着です。山間の小さな村です。村に入るところに,「国威宣揚」と彫られた石が建っており,「小野豆少年少女団」とありましたが,この小さな村に何人の少年少女がいたのでしょうか?ここは平経盛が潜伏していたという伝説があって有名です。調べると歴史上は経盛は壇ノ浦で死んだことになっていますし,他にも経盛の墓はあるようなので,伝説と思った方がよさそうです。経盛が隠れていたという「ジャンジャン穴」を見て,「平家ふれあい公園」に登ると,南の展望が開けます。

ここが終着点ではありません。小野豆は陸の孤島です。山を下りなければなりません。近畿自然歩道は北の鞍居川に降りるようですが,それではつまらないので,上郡まで尾根を歩いて行くことにしました。地形図には林道が描かれていますが,じっさい良い道です。あまりに歩きやすくて面白味がありません。すぐに西播東岡山線8という紅白の鉄塔に出ますが,ここに小野山の四等三角点があります。この先は長い林道歩きで,1時間ほど歩くと,可愛らしい祠があります(写真)。どう説明して良いのかわかりませんので,写真を見てください。大正時代の雨乞いの石碑とか,NHKのアンテナがあり,近くに留山三等三角点があります。大柿さんのプラスチック板によると,ここは祇園山と呼ぶようです。

ここまでは退屈な林道歩きですが,ここからはエキサイティングな藪山歩きになります。20分ほどで開けた場所に出ますが,ここは鉄塔を撤去した跡です。南に展望が開けます。地形図の379m付近でしょう。この先は尾根道もありますが,藪もあります。40分ほどで次の鉄塔(上郡線16)です。この後は送電線の巡視路を辿って,上郡線17からは藪を降りました。上郡東町の奥にある溜池に出てきました。バスを降りてから千種川に達するまで約5時間でした。遊歩道や林道が多いので,あまり疲れませんが,最後は巡視路を上手に利用すれば,もっと楽に山を降りられたと思います。

展望 ★★★
藪山度 ★☆☆ 最後は藪だった



2007年4月21日土曜日

大鳴渓谷

大鳴渓谷は,佐用郡佐用町,大型放射光施設スプリングエイトの西側,冨満の北側にあります。この渓谷について書く前に,その南の金出地ダムについて書いておきます。

金出地ダムは最初播磨科学公園都市の水源として工事が始められましたが,科学公園都市の人口があまり増えないことから建設は中断されました。その後鞍居川の治水事業として平成18年度から工事が再開されたことになっています。しかし,金出地ダムは,2007年夏現在何の工事も行われていません。予算は依然として調査や設計のためのものなのかも知れません。

金出地ダムは金出地から見に行くと,道路にゲートがあって立入禁止の大きな看板が何枚もあり,近づけません。しかし,北の三原から渓谷沿いに歩いていけば,自然に建設現場に入ってしまいます。三原から金出地に抜ける道は,科学公園都市ができる前は主要な道路であったらしく,車のすれ違いは困難ですが,舗装されています。建設現場には,現在は九本松橋という大きな橋が架かっており,西側の斜面にも幾つか大きな橋があります。どうやら金出地から冨満と三原に向かって新しい道路ができるようですが,ダムの周回道路は完成していません。また,ダムそのものは全く着工されておらず,どこにダムが出来るのか悩みました(最近の1/25000地形図には書いてあります)。

さて大鳴渓谷ですが,これは三原から金出地に抜ける渓谷から西に分岐しています。まず三原から金出地への道ですが,何度も鞍居川を横切るので橋がたくさんありますが,それぞれ名前が付いているのが興味深いところです。「堂床橋」「釜鳴橋」「流尾橋」など,誰が名付けたのでしょうか。スプリングエイトの西から金出地ダムの工事現場の北側まで,かなり深い渓谷で,風情があります。ダムが完成した暁には,清流沿いのハイキングコースとなるかも知れません。

大鳴渓谷へは,その三原から金出地に抜ける渓谷(冨満渓谷と呼ばれることもあるようです)から地形図上は破線道が延びています。ちょうど佐用町と上郡町の境界付近です。しかし,実際にこの地点に行くと,このような道は見あたりません。破線は沢の南に書いてありますが,ここは急斜面の岩場で,明らかに道はありません。北側の方がまだ歩きやすいのですが,私は無理して南側を歩いて大鳴渓谷に入りました。

水のある沢に両側から斜面が迫っており,歩きにくいことこの上なく,斜面を横切って沢を登っていくしか方法がありません。しばらく辛抱して歩くと,石垣が現れます。地形図にもありますが,この渓谷には畑があります。ただ,現在は全く耕作が行われていないので,藪になっています。石垣は畑を整地するためのもので,非常に隠し田的な感じのする場所です。一番近い村は大畑ですが,大畑の田圃を見に来た徴税役人がこの渓谷に気がつくとはとても思えません。現在は耕作されていませんが,護岸工事にコンクリートを使っている部分もあり,赤いプラスチックの杭があるところを見ると,全く忘れ去られているという訳でもないようです。

沢を登っていくと,植林が現れ,道も良くなります。この先の畑で,「東急」と書いたコンクリートの杭を見ました。こんなところを開発・・・でしょうか?

林道は大畑の方に登って行ってしまい,沢沿いは再び石垣で整備された段々畑になります。沢の一番上流はどうなっているのかよく分かりません。地形図にある破線道ははっきりしませんが,適当に藪を抜けて斜面を上がると道に出て,大畑の南西の舗装道路に出て来ました。

この渓谷は,ドライブマップでは紅葉のマークが付いています。どうやってドライブで見に行けるのか想像がつきませんが,狭い渓谷に耕地を作った努力は大したものだと思います。昔はこんな所まで耕して作物を作らないと生活できなかったのでしょう。近くの村の平家伝説と相まって興味深い渓谷歩きです。

展望 ★★☆ 渓谷なので展望はありません。秋の紅葉の期待点です。
藪山度 ★★☆

2007年4月8日日曜日

与位の宮山

山崎の北に与位という村があります。温泉があって「よい温泉」と書いてあるので何が良いんだろうと思いますが,地名なんですね。ここは「与位の洞門」で有名ですが,これを通らずにすむトンネル(塩田一宮線よいたいトンネル)が建設中で,平成20年には完成するようです。この与位の洞門は標高546mの神谷三角点から東に延びた尾根の下を通っています。この山が,宮山です。この山の登り方はいろいろあるようですが,地形図を見ると与位から梯(かけはし)に延びる峠越えの道があるので,それで峠まで行って南に尾根沿いに進もうと思いました。

与位からこの道の方に進んでいくと,途中に立て札があり,「右 コボキ 西山,左 シカキ谷」と「通行不能 路線名:塩田一宮線 理由:幅員減少1.0m 箇所:これより先」となっています。この路線名はよく分からないのですが,とにかくシカキ谷の方に進みます。舗装道路が続きますが,何やら分譲地があり,所有者の名前が立て札に書いてあります。結構整地はされているのですが,木が生え放題です。バブルの遺跡でしょうか。

いよいよ山に入ります。沢を登るのですが,途中から倒木が増えてきます。破線道なのでなんとかなるだろうと願っていたのですが,写真のような状況になるともう歩けません。倒木で沢も道も全く見えません。しかたなく,南斜面を強引に登りました。ここも急斜面の藪で決して登りやすくはありませんが,もう引き返せません。悪戦苦闘の末,尾根の474mピークから東に延びる尾根に出て,474mピークを目指しました。ここも傾斜はきついのですがそこそこ登りやすく,尾根に出ました。

あとは尾根歩きです。植林の中を歩き,頂上目指して登ります。頂上の手前に大きな岩があります。そして頂上には神谷三等三角点がありますが,ここに置かれた石には雄棲山と書かれていました。宮山の別名のようです。

ここからは下りです。与位の洞門を目指して東に尾根を下りました。岩場,倒木,共同アンテナといろいろあり,展望も時々得られます。全体としては最初に出会った倒木の印象が強烈なので,あまりここで苦労したという記憶はありませんが,最後に出てきた尾根の終点の小さなピークはどうやって抜けたらよいのか悩みました。

尾根の外れで送電線の鉄塔に出ました。低めの鉄塔で,形も古そうだと思ったら,昭和13年9月と書いてありました。今でも使われているというのは,ちょっと感動ものです。この送電線は今では山をいくつも越えて香寺町の方に繋がっていますが,最初はもっとローカルなものだったのではないでしょうか(後に香寺町の方でも鉄塔を調べましたが,やはり同じ頃のものでした。かなり高い山を越えている送電線なのですが,戦前にも十分な建設技術があったのでしょう)。そして,最後は与位の洞門の上に出てきます。真っ直ぐ降りようという人のためにか,ロープが下がっています。歩いて降りるには南側の道を行けばいいのですが,あちこち歩いて揖保川の眺めを楽しみました。

とにかく梯への峠越えの道の倒木は強烈でした。それ以外は気持ちの良い山だったと思います。

展望 ★★☆
藪山度 ★★★ 最初がきつかった

2007年3月11日日曜日

大蔵山ダイレクト

大蔵山は,龍野の西,大成池の南にある標高520.1mの山です。この付近では一番高い山ですが,大成池まで自動車で上がれるので,そこから歩けば途中まで遊歩道もあり,さほどの登山ではありません。しかしそれではつまらないので,南斜面を真っ直ぐ登ってみることを思いつきました。

登り口は,揖西町中垣内の井関三神社にしました。大倉山から南東に延びた尾根の南端に位置しています。この神社の奥宮は亀の池から新池の間の遊歩道の近くにあるので,ご存じの方も多いでしょう。2000年の歴史を持つ神社だそうで,8月14,15日には嘉吉の乱で滅亡した赤松一族を弔う「さいれん坊主」という盆供養が行われているそうです。

神社を登り口に選んだのは,神社の裏から山に登る道が延びていることが多いからですが(山の神にお祈りしてから山に入るのは,自然な行為です),この神社の場合は道が見つかりません。しかも動物避けの柵があります。この時はたまたま柵を修理している場所があったので,そこから尾根に向かって無理に登り始めました。

この付近は雑木林で,部分的にはシダが生えている場所もありますが,登り易かったと思います。ちょっと登ると枯れ木を三本立てかけてインディアンの家のような三角形にしたものが北側斜面の上にありました。何の目的のものか,よく分かりません。ここはまだ170mくらいの高さですが,北の集落や亀山がよく見えます(写真)。下からこの三角形の木も見えるでしょう。

この後は分かり易い尾根が続いており,気持ち良く歩けます。すぐに送電線の鉄塔があり,西播線41です。的場山が見えます。しかしここはまだ270m,的場山を見上げています。登りは続きます。

道というほどのものはありませんが,行く手を阻む藪もなく,そのうちにこの付近ではおなじみの数字が白いタイルで埋め込まれたコンクリートの標石が見られるようになります。そして,登り始めから1時間半ほどで頂上の三角点に到着です。

下山は大成池からの登山道を下り,南の林間広場に降りてカリヨンを鳴らし,溜池から南東に走る破線道を歩いて井関三神社に戻りました。この道も途中に鉄塔があり,良く整備された歩きやすい道でした。

全体の感想としては,結構楽しめる,というところです。よく探せば,分かり易い登り口があるだろうと思います。

展望 ★★☆
藪山度 ☆☆☆

2007年2月12日月曜日

田野城趾

田野城は,香寺町須加院(なんと響きの良い地名でしょう)の北にあった山城です。北の田野から中須加院に抜ける山道がありますが,途中の溜池の付近に登山道の入口があります。教育委員会の作った田野城の説明もあり,「田野城は西方500mの城山(標高220m)の頂上にありました」という説明書きがあります。ここに車を止めて登り始めました。

歩き易い道を登ると,共同アンテナが立っています。標高はまだ170m+だと思うのですが,展望の良い場所です。これだけ遠くまで見えれば,ここが城跡でもおかしくないという気がしますが,地図([1])では221m地点にあったことになっています。それならば,と220m地点(地形図では221mですが)に向かいますが,ここはいきなり藪っぽくなります。しかも,ピークに来ても城らしいものはありません。少し斜面を降りれば石垣があったかも知れませんが,頂上は展望もない藪です。専門家も似たような経験をされているので([2]),そういう城跡なのでしょう。

がっかりせずにさらに尾根を西に進みます。221m地点より西側は道が怪しくなり,北の溜池に降りそうになるので注意です。時々北や南に展望のある尾根を正しく歩いて鞍部に降りると,「火の用心」の立て札があります。ここからまた登りですが,巡視路なので道は良く,尾根からははずれますが鉄塔(溝口線30)に寄り道しました。

比較的平坦な尾根を西に行くと,丁ケ崎四等三角点(230.6m)があります。写真はこの付近から南を望んだものです。広嶺の裏山が見えています。ここから西へは岩場もありますが平坦で展望もあります。しかし,尾根の西の端に出てくると,どうやって降りるかが問題になります。かなり強引に南斜面を降りましたが,降りるに従って藪が厳しくなって苦労しました。細い木が密集して生えています。

そして降りてきたのは毘沙門堂への入口の鳥居の付近でした。この毘沙門堂は,播磨風土記に記述される「石坐神山(いわくらのかみやま)」だそうですが,いろいろ議論があるようです。このコース全体と石坐神山については,こちら([3])をご覧下さい。

全体としてこのコースは,少しですが歴史に触れられる良いコースです。帰りは,相坂隧道を経由して車まで帰りました。経由と言っても,トンネルの中を歩いていて車が来たら避けられませんから,用心してトンネルの上の峠を越しました。トンネルの説明に「昔相坂から谷山や須加院への道はトンネル南の鞍部を越す険しい山道でした」と書いてある割りには,簡単に通れました。このトンネルも歴史を感じさせます。

展望 ★★☆
藪山度 ★★☆

2007年1月27日土曜日

二木峠から北の尾根

二木峠というのは,相生の北の矢野町と龍野を結ぶ県道5号線にある峠です。なんとWikipediaにも項目があります(何も書いてありませんが)。最初は峠から登ろうと思ったのですが,ウラジロ地獄とのことで([1],なおこのルートは,この大柿さんのルートとほぼ同じです)峠の北の186mピークの北側鞍部を目指しました。獣よけの柵がありますが,扉があって抜けられます。道の雰囲気からして,おそらくこの付近には鞍部を越して東に抜ける道があったのでしょう。鞍部に達して北に進むと,揖西郡と赤穂郡の境界の標石がいくつも転がっています。尾根に出たら,まず賀波山の四等三角点に寄り道しました。大柿さんのピンクのプラスチック板が木に下がっています。

この後はずっと尾根歩きです。時々シダが生えていたり藪っぽくなりますが,基本的に歩きやすい尾根です。小犬丸村と二木村の境界の標石とか,共同アンテナがあります。時々東や西から道が登ってきています。下界に播磨道が見えるようになると,二木村とか金坂村の石標が増えてきます。とにかく石標の多い稜線です。そして,数字入りの白いタイルを埋め込んだ,この付近ではおなじみの石標も現れます。

そして地獄谷三等三角点(314.1m)に到着ですが,展望はありません。ここから北は尾根が西に大きくカーブしています。それが東に戻ってきたところをまっすぐ進むと,尾根の終点に出て先に進めません。ここは南斜面を進まねばなりません。こうしてやっと送電線に出て来ました。ほぼ3時間の尾根歩きでした。あとは美しい楓池に寄り道し,近畿自然歩道で釜出に降りました。

長い稜線歩きはちょっと退屈ですが,時々展望もあって歩くのが好きな人にはお勧めできるコースでした。

展望 ★☆☆
藪山度 ★☆☆

2007年1月21日日曜日

書写三角点

姫路の書写山には三角点が二つあります。一つは書写山三角点(349.9m)で,これは圓教寺から北西方向のピークにあります。ここに行くには行者堂への道を進んで,途中から藪に入る必要があります。もう一つは書写三角点(270.2m)で,兵庫県立大学の東側にある西坂を登っていった途中の西側の山にあります。こちらは低山ですし圓教寺からも遠いので,あまり訪れる人はいないだろうと思います。

西坂から書写三角点に行くのに最も良いルートは,西坂が西向きから北向きに折れ曲がる所で尾根に乗ることだと思うのですが,私はベンチのあるところまで登ってから戻りました。このほうが分かりやすいのですが,ベンチの裏からは北の沢の方向(おそらく六角へ降りる道に出られる)は開けていましたが,尾根に登る方向は藪でした。通れないことはないので強行突破して尾根に登ると,気持ちの良い尾根歩きとなります。ときどきシダの間を歩く必要がありますが,木立の間は歩ける程度には開いていますし,マーキングもあります。書写三角点の周辺はシダが生えていますが,三角点は埋もれてはいません(写真。デジカメを忘れて携帯で撮りました)。

ここまで来ると,どう降りるかが問題になります。西坂に引き返すのは芸がありません。六角方面にも降りられそうですが,私は南に降りて県立大の西側の切り通しまでの尾根を目指しました。

道はないので,適当に斜面を降りていきます。シダが生えていますが,膝くらいの高さなので歩けます。しかし方向が分かりません。尾根を歩くつもりでしたが,はっきりした尾根ではないので見回してもどこが尾根かわかりません。後から考えるとコンパスで南を探してそちらに向かって歩けば良かったのですが,なんとなく足は西に向かったようで,途中で南に方向を修正しましたが,結局南西側の沢に出てきました。これはとても気持ちの良い沢でしたが,そのまま降りたら六角に行ってしまうので登り返しました。ここは三角点から見て南西にあるピークですが,尾根は西に続いているので,方向を見定めて南に行かないと,六角に降りることになると思います。

この先,山陽自動車道の上を歩いて144mピークまでは,非常に分かりにくいルートでした。斜面を降りればよいのですが,どっちに向かって降りればよいのか分かりません。目指すのは144mピークに繋がる山陽自動車上の上の鞍部なのですが,尾根と言えるものは無いので,少しずつ降りては方向を確認することになります。道っぽい歩きやすい所があるとそちらに行ってしまうので,まるで方向が定まりません。南斜面なので背の高いシダも生えており,場所によっては地面がシダで覆われて足元が見えなかったり,気をつけて進まねばなりません。ただし灌木が密集して生えている場所はないので,全く進めなくなることはありません。

悪戦苦闘のあげく山陽自動車道の上まで来ると,道が現れます。どうやら県立大学から上がってきているようです。144mピークは展望の良い岩場で,姫路が見渡せます。標高は低めですが,東も西も見える絶好のポイントです。このあと尾根沿いに道らしいものがあり,南の100m等高線のはずれも展望ポイントです。
この南には谷があり,登り返すと植林になってきます。そして切り通しの上に出ます。道路を通っているとあまり気がつきませんが,これはかなりの高さで,上に立っていると怖いのですぐに退散しました。切り通しを降りるだけの勇気も技術も装備もありませんので,植林を少し戻って,東側に植林の中を降りました。「書写記念会館駐車場」という場所に降りてきました。

低山の典型的な藪山でした。迷いやすいので,登山の練習場としては使えそうな気がします。なおこのルートでは鹿の糞を見なかったのが不思議でした。

展望 ★★★
藪山度 ★★☆

2007年1月6日土曜日

善定から矢野に抜ける

播磨新宮から国道179号線を西に行くと,平野という村があります。ここで栗栖川にかかっている橋を南に渡ると,善定という村があります。村の真ん中で道が分かれており,西に行く道は林道に繋がって二柏野から角亀につながっています。南へ行く道は札楽川に沿っており,松尾神社という農村舞台のある神社を通って,林道につながります。林道の入口左手には善定山の石切場があります。

この林道はかなり使われていて,しばしば車に会います。地形図では途中で破線道が分かれており,南に行く方は行き止まりになっています。この分岐点には,お地蔵さんがあります。ここに,おもしろいことが書いてあります。「右 山みち 一丁左 くろぞう さかきむら」と「半丁下左 ぬまいけ いせきだに」と「左 かまでみち」いうものです。

右というのは,もし本当に右なら川を渡っていきなり山の斜面です。まっすぐ行っても山で,これについてはこのブログの「札楽川の上流」をお読み下さい。「半丁下左 ぬまいけ いせきだに」は,たしかに半丁戻ると左側に楓池に行く道があります。こちらは「楓池」をお読み下さい。「いせきだに」というのはどこでしょうか?

「かまでみち」は,相生市矢野の釜出に行く道です。このルートは,途中までは亀山あたりに立っている案内板の地図で言う「善定コース」と同じです。案内板では,このコースに「迷い易い」と注が付いています。左に曲がると南に延びる破線道を歩くことになりますが,これはすぐに岩だらけになります。しかし歩くには問題ありません。道の終点に関西電力の赤い標識(ただし縦長ではなくもっと大きい)があるので迷うことはありません。標識に従って山林を登ると,鉄塔26番に出ます。ここで町界の標石のある尾根に乗って送電線を左に見ながら25番鉄塔に行きます。これは地形図で見ると送電線の方向を変えている鉄塔です。さらに気持ちの良い尾根道を歩き,再び送電線の方向を変えている播磨線24番鉄塔に着きます。この先は23番鉄塔を目指しますが,この鉄塔は矢野川を挟んで西側にありますので,巡視路を進むと矢野川に出られます。そこから川沿いに南に行けば釜出です。このルートは巡視路ばかりでつまらないとも言えますが,楽なコースです。

問題は一丁左の「くろぞう」と「さかきむら」です。「さかきむら」は榊村で,矢野町の榊だと思われます。つまり,山を越えて相生方面に抜ける道です(釜出経由でも行けますが)。問題なのは,一丁左にそのような道がないことです。一丁というのは109mだそうですが,お地蔵さんの先の左手は植林で,木の間に道はありません。しかし,地形図で見るとここの尾根に取り付けば,町界の尾根に出て,南側の釜出と榊を結ぶ破線道に出られそうです。そこで,斜面を登って尾根に出ることにしました。

最初はきつい登りですが,尾根は歩きやすく,昔は道だったかも知れません。倒木が多少あるのと,尾根に大きな岩があって進みにくい地点がある他は,軽快な尾根歩きです。椅子の形をした岩があって,座って休めます。

しばらく歩くと,送電線の鉄塔が尾根上に立っています。「播磨線27」です。そういえば札楽川沿いにこの鉄塔への巡視路がありました。「かまでみち」の途中に27番鉄塔への「火の用心」がありますので,そちらから登る道もあります。

さらに尾根沿いに進みます。落ち葉を踏んで,気持ちの良い山です。たまに倒木がありますが,小さな木なので簡単に跨げますし,ほとんどは腐りかけています。倒木でたちが悪いのは植林ですが,この付近には植林の倒木は少ないようです。軽快に歩いてゆくと,392m地点に出てきます。ここが町界です。310番の標石が埋められています。ここを直進すると,楓池の方に行くことになります。とりあえずは西に折れます。町界には番号の入った標石が埋まっており,西に行くと番号は小さくなります。この標石の上の木にはテープでマーキングがあるので,よい道しるべになります。

問題は,地形図の榊から釜出を結ぶループ状の破線道にどうやって出るかです。この付近の山は割となだらかで,地形図で見るとどこを歩いてでも南に降りられそうなので,最初に夏に行ったた時には,とりあえず適当に392m地点の西側のあたりで南に延びる尾根を伝って降りてみました。山は木立の間が適当に開いており,降りられますが,問題は降りてから,地形図で等高線の間が広く開いている場所です。ここは草や木や竹がびっしり生えていて,最悪の藪漕ぎ状態でした。しかもこの付近には石を積んで作った溝などの人工物があり,気がつかずに足を取られたら大変です。藪漕ぎをしばらく続けると,家が数軒ありました。この付近も草が茂っており,家に近づくのも容易ではありません。しかし家を過ぎて南東に進むと,道に出ました。釜出に行く破線道です。この家の所に「土砂崩壊防備保安林」の看板があって,「相生市矢野町榊字黒蔵他」と書いてあり,ここが「くろぞう」だと分かります。

この藪の中の建物は,地形図にも一つだけ載っています。ゼンリンの地図(Google map)を見ると,たくさんの建物があることになっていますが,道の方は建物群から少し西に行ったところで終わっています。実際には,この道は竹の倒木(倒竹?)が多く,特に夏は歩けません。しかし,冬に進んでいったところ,西側の湿地帯の南に出ました。倒木や倒竹が無ければ,破線道は存在すると言えます。

二回目冬に行ったときは,この建物の付近に降りないように,町界の尾根を西に進みました。分岐が多くて迷いますが,標石を確認しながら進めば問題はありません。ここでも問題は,どこで尾根を降りるかです。地形図を見ると,458mピークに行くまでの間に,広い平らな鞍部があり,ここなら楽に歩けそうです。行ってみると,ここはとても不思議な場所でした。標石294番あたりです。

この広い鞍部の北側は植林ですが,その先は沼地になっています。木の生え方から見て,雨の多い時期には池になっている可能性がありそうです。なお,地形図にはありませんが,ゼンリンの地図やGoogle Earthではこのすぐ東にも池があります。つまり,「一丁左」の先の沢を札楽川から登ると,池に突き当たります。

問題は,鞍部の南側です。ここも広い平坦な湿地帯ですが,この西側斜面には石垣があります。石垣といっても高さは1~2mですが,長さは場所によっては50mくらいあるのではないかと思います(写真はその一例です)。それが20段以上もあり,尾根近くまでずっと段々畑のようになっています。はっきりした住居跡は確認できません。これは非常に大規模な土木工事だと思います。黒蔵村は,かなり大規模な段々畑を作っていたようです。いつの時代のものか分かりませんが,石と石の間に大きな木が生えていたり,段の上の平坦地にも幹が一抱え以上もある木が生えているので,耕作地として利用していたのは大分昔のことだと思われます。この山奥で平坦地,しかも湿地ができるほど水があるのですから,古くはいわゆる隠し田だったのかも知れません。なお,ゼンリンの地図ではこの付近の西の斜面に小さな池がありますが,確認できませんでした。Google Earthは,現在この付近がちょうど高分解能と低分解能の写真の境目になっていて,よく分かりません。

最初はこの湿地帯が昔は溜池で,石積みは土砂の流入を防いでいるのかと思ったのですが,湿地帯を南に進んでも堤防のようなものは見られません。そのかわり,地形図で破線道が東西に走っている平坦地付近にも多数の石垣が見られます。これらは1974年の航空写真に写っています。波板でできた小屋の残骸もいくつかあります。東側の建物と合わせて考えると,10~20年前まで,ここは耕作地として使われていたのだろうと思います。その頃には破線道もしっかりしていて,自動車でここまで登って来られたのでしょう。ここでも「土砂崩壊防備保安林」の看板に「字黒蔵」の地図があり,建物からこの付近までが黒蔵のようです。

とりあえずの問題は,黒蔵をどうやって抜け出るかです。西に進んで破線道を探すことにしました。しかし,西は石が積まれている方向ですから,石垣を登って行くことになります。石垣と石垣の間の平坦地は,木が生えていたり草が茂っていたり,段ごとに違っています。もともとこれが耕作地なら肥料も与えたでしょうから,草や木が茂るのは当然といえます。肥料の袋も捨てられていました。

地形図で破線道が一番北まで行っている地点は,まさに段々畑(?)の東端です。西側に広がっている平坦地にはずっと石垣があります。全部登ると,破線道に相当すると思われる林道のような道があります。

この先はまず南の鞍部を越えます。ここは,榊山の三角点から降りてきたところになります。平坦地の藪漕ぎを避けるなら,町界を458mピークまで進んで,そこから南に進路を取って防衛庁の灰色のマイクロ波鉄塔経由で三角点に出て,そこからこの付近に降りてくるほうが楽です。もっと楽をするなら,三角点の北にある防衛庁のマイクロ波鉄塔の保守路(敷石の立派な舗装道路)を降りれば,あとは全部舗装道路です。榊に降りていく道は,地形図の破線道とは異なり,斜面をジグザグに走る林道です。時々沢に降りて石だらけの歩きにくい道になります。倒木や土砂崩れもありますが,歩けないほどではありません。少し斜面を降りると,また石垣がところどころにあります。

そして,播磨道の美濃山トンネルの南側の出口に出てきます。この後は,播磨道の保守用の舗装道路を下ることになります。この付近も,東側の斜面には石垣がたくさんあります。川と道路が一緒になった不思議なトンネルで播磨道を西に横切ります。その南には「西播磨水道企業団 榊配水池」がありますが,ここで大問題が生じます。道路に獣よけの扉があるのですが,鍵が掛かっているのです。周囲を見回しても,人が通れるような扉はありませんし,金網は鹿や猪が通れないのですから人も通れません。途方に暮れて川沿いに南下して,近くの田んぼの脇の金網に出入口を見つけました。もちろんこちらが不法侵入者なのですから仕方ありません。ただ,榊村から北上して山に入ろうとしても,この抜け道を知らないとこの先に進めませんのでご注意下さい。

新宮から相生方面へ斜めに抜けることだけが目的なら,「かまでみち」が正解です。黒蔵村の歴史については,相生市史に書いてあると「とんび岩通信」で見て読んでみましたが,小学校まで8キロもあり,生活は大変だったろうと思われます。

展望 ★☆☆
藪山度 ルートと季節によって★☆☆~★★★