2008年6月15日日曜日

牧から登る牧山

牧山というのは,たつの市と宍粟市の境界にある山で,上比治三等三角点があります。この前に市境を歩いた時に,この山の名前が牧山だということを知って,西側の牧から登ることを思いつきました。問題はどこから登るかですが,とりあえず角ケ鼻の付近で登りやすそうな尾根を探しました。牧山に通じる尾根の一番西側のものは角ケ鼻まで延びていますが,麓に人家が多いので登りにくそうですし,見たところ非常に急です。角ケ鼻から福原の方に入ると,川を渡って北東に入る道があります。この沢を上り詰めて東側の尾根に取り付くというのが「点の記」にあるコースですが,ここも急勾配だったので(後から見ると,何箇所か登れそうな場所もありました),結局もっと奥の(東の)大開窯の前の尾根の端から登りました。福原の北の尾根です。これも急斜面ですが,少し山に入ると里山だけあって道の痕のようなものがあって,登っていけます。すぐに尾根に出ます。

尾根といっても,低い位置なのでここからずっと登りが続きます。若干人工物もあって,里山として使われていた雰囲気もあります。尾根道は草が生えていないので登りやすく,この尾根は悪い選択ではありません。尾根は最初は東に延びていますが徐々に北東に向きを変え,西側の尾根が見えてきます。西側斜面は倒木が多いようです。痩せた尾根もあって,楽しめます。450mを越して,ようやく西側の尾根と合流します。そしてすぐに南北に走る尾根に突き当たります。ここで進路を北にとります。この付近は植林が多く,尾根にはそのための作業道の痕跡がありますが,はっきりしない箇所も多いようです。作業道は尾根のピークを巻いていることが多く,ここは忠実に尾根を北に進みます。

尾根は藪っぽいところもありますが,歩くには支障はなく,三角点よりも標高の高い510m+のピークを越して,牧山山頂,上比地三角点(505.7m)に着きました。以前に来たことのある場所に来るとほっとします。登りはじめから1時間ちょっとでした。少し休憩して,三角点の真南にある490m+のピークにも行ってみましたが,植林の山でした。ここからは来た道を引き返しました。今度はなるべく林道を使ってみたのですが,消えてしまうことが多いのでかえって苦労しました。

次の目標は南の福原三角点です。尾根をまっすぐ南に進みます。尾根にも若干の倒木がありますが,斜面の倒木に比べれば知れています。真っ直ぐ南に進むと480m+のピークに行ってしまいますが,その先には尾根がないので,手前で西に折れて,それから更に南に尾根を進みます。登ってきた尾根も一部そうだったのですが,この辺りは松茸が採れたことがあるようで,尾根の木に荷造り用のビニールテープがからまっています。

福原三角点の北の鞍部付近は気持ちの良い植林ですが,鞍部の東側には背の高い草が密集して生えているのが目を引きました。この標高では珍しい光景です。三角点のあるピークまでの登りはきつく,途中で若干の展望があります。このコースで遠くが見えたのはここだけだったので,写真を載せておきます。福原三角点(486.2m)は以前にも来ましたが,気持ちの良い雑木林の中で,座るのに手頃な岩がいくつかあります。「兵庫県造林緑化公社分収造林地」と書いた杭が立っています。

ここからは下りですが,少し南に行ってから西に尾根を進みました。この尾根は真っ直ぐ降りると福原です。北の斜面は遠目に見て倒木がひどかったのですが,最後はその倒木地帯を右に見ながら雑木林と植林の境目を北に降りました。斜面の下の方では植林の倒木地帯を抜けざるを得なかったのですが,これだけの急斜面だと笹藪を突破するのは困難です。最後に川を渡って降り立ったのは,福原を抜けた舗装道路の終点でした。

この付近の尾根にはあまり倒木がないので,気持ちよく歩けました。これほど展望に恵まれないコースというのも珍しいのですが,山歩きは十分に楽しめます。

展望 ☆☆☆
藪山度 ★☆☆

2008年6月7日土曜日

馬谷から明神山

大人気の明神山ですが,西から登るルートはあまり開拓されていません。しかし,地形図を見ると西からの2本の尾根は絶好の登山ルートと思われます。そこで,2本の尾根で西の馬谷から往復するルートを試みました。このルートは別々にレポートのある([1],[2])2本のルートを一緒にしたのと同じです。他にもネット上にはいくつも登山記録が見つかります([3],[4])。

出発点は馬谷の神元神社。裏手から低い植林の山に入り,尾根伝いに登っていきます。何種類かマーキングがありますが,ピンク色のが明神山まで続いていました。たまにシダが生えていたり数本の倒木がある程度で,歩きやすい尾根です。標高が上がると木の枝の間から明神湖などが見えるようになります。

馬谷四等三角点(447.4m)に近づくと,大きな岩が尾根を塞ぎます。トラロープもありますが,右手を巻いて進むことができます。裏手から岩に登ると西側に素晴らしい展望が開けます。中播磨県民局の菅生反射板や末広三角点など,明神山を見るのに絶好のポイントを逆に見ることができます。この付近は岩場が続き,岩が途切れて歩けなくなる場所もありますが,岩から降りて巻いて進めます。三角点は土のピークにありますが、普通は埋められている下の部分が土から出てしまっています。

この後も歩きやすい道と岩場が続きます。一箇所だけトラロープを使わないと登れない岩がありました。ここを降りるのは大変でしょう。展望はあまりありませんが,下山に予定している尾根の岩場が見えて期待と不安がわき起こります。

尾根の終点は小明神です。急な坂を登りますが,頂上は意外と地味で,展望はありませんし木に札の一つも下がっていません。一つだけ,木に巻いてある黄色いテープに小明神と書いてありましたが,これが無ければどこの藪山とも変わりありません。小明神と呼ばれるピークは他にもあるようで、556mピークと呼んでおくのが無難でしょう。

ここからは明神山に連なる尾根ですが,これも岩場が多く楽しめる尾根です。いくつかのピークがあり,最後に小ピークがあって,岩がごろごろして登りにくい急斜面を登ると登山道と合流し,明神山の頂上に出ます。地形図からも明らかなように,これは疲れる登りです。ここまで2時間半でした。

明神山の頂上はいつものように人口密度が高いので,下りにかかります。南西に延びる尾根に乗りたいのですが,ルートはありません。A,Bルートの登山道を降りて,9合目の下で右の藪に入って尾根に乗りました。何のマーキングもありませんから,これは易しい技ではありません。遠目に尾根らしい平坦な地面が見えたのでそれを目指したのですが,これを見つけられないと目標はありません。

尾根に乗れば後は快適な尾根歩きです。この尾根も岩場が多く,何ヶ所かトラロープがあります。尾根上の岩はたいていは巻いて進めます。雰囲気としては,七種鎗の南の尾根と似ています。北側の斜面は反対側の尾根から見ての通り崖が多く,一歩踏み外すと転落という場所もありますが,危険と言うほどではないと思います。こちらの尾根から見ると,登りに通った尾根の,特に小明神の下の斜面がかなりの岩場であることが分かります。このルートの楽しいところは,行きと帰りで互いの尾根がよく見えることです。二つの尾根と,小明神と明神山を繋ぐ尾根で谷の三面が囲まれている様子がよく分かります。どれも斜面はとても急です。

振り返ると明神山が見ますし,東には登山コースになっている尾根が見えます。馬谷三角点のある尾根よりもこちらの尾根の方が展望は良いようです。389mピークの手前にトラロープを使わないと降りられない岩があり,ここが最大の難所かも知れません。389mピークで尾根道は90度曲がりますが,その先も少し岩場があります。そして標高が下がるにつれて藪山っぽくなりますが,ピンクのリボンが道を明確に示してくれます。最後はリボンが見つからなくなりましたが,植林の間を降りて道に出ました。目の前にあった「かじかの里」で蕎麦を食べて帰りました。

このルートは4時間を越す長い尾根歩きですが,岩場が多くて楽しめます。けっこうスリルもあります。ピンクのリボンがありますし,はっきりした尾根なので迷うことはまずないでしょうが,下山の尾根を見つけるのだけが難所でした。

展望 ★★★
藪山度 ★☆☆

2008年6月1日日曜日

末広三角点

安富町の安志から北に林田川を遡っていくと,末広という集落があります。その北には栃原(地形図では杤原となっています)があり,末広三角点(602m)はその東の山にあります。この付近一帯は植林が多く,下から見上げると倒木地帯が多数あります。また,かなり処理の進んだ倒木地帯もあります。末広の南側にある大谷山三角点の北側では大規模な倒木処理が行われました(「三森の3三角点歴訪」を参照)。大谷山三角点からさらに北の山が末広三角点付近となります。この付近も見上げると倒木がかなりありますが,問題は尾根上の倒木の様子で,これだけは行ってみなければわかりません。

最初は栃原四等三角点(365.5m)まで登ることにしました。この三角点のある尾根の南端は末広集落まで延びていますが,林田川付近はコンクリートで固められていて,登るのは大変そうです。地形図をよく見ると栃原の安富北小学校前から南に林道があるので,これの終点から尾根まで登ることにしました。

動物避けのゲートを開けて林道を登り始めると,まずドコモの山の字形のアンテナが立っています。これは下からも森の上ににょきっと出ているのが見えます。さらに林道の終点には貯水タンクがあります。この先は道がないので,タンクの裏側の植林の中を登りました。急勾配ですがすぐに尾根に乗れて,あとは楽な登りです。林道もありますが,降りて行くだけのようなのでそのまま尾根まで登っていきました。

栃原三角点の周囲は特に特徴はありませんが,この尾根には高い木があってあまり陽が当らないため,草や灌木は生えておらず,楽に歩けます。三角点から北東に延びる尾根では時々両側の山が見えますが,処理された倒木地帯(つまり植林を切り払った裸の斜面)が目立ちます。

長い尾根歩きですが,だんだん標高が上がってゆきます。岩場になる場所もありますし,450mを越した付近は倒木地帯となります。この付近の尾根の倒木は一応切ってあるのですが,幹を切っただけで木を運び出していないので,歩くのはやっぱり大変です。この尾根の北端は地形図で広葉樹林の印のある530m+のピークですが,ここは植林です。そして,ここから東の鞍部に降りると,そこは倒木処理の終わった広大な空き地となっています。地形図からもわかるようにこの付近は勾配が小さいので,まるでリゾート開発の途中のような雰囲気です。写真は,ここから少し南に末広三角点の方へ行った地点から見た530m+ピークですが,足元では広く植林が伐採され,運び出されています。この草原を鹿が走るのを目撃しました。倒木処理のために道が上がってきていますが、どちらの方角から上がってきているのかは,確認していません。

大規模な伐採のおかげで眺望は上々です。しかも末広三角点までは尾根上に車の通れる道ができています。末広三角点からは東側の眺望がすばらしく,明神山がよく見えます。適当な切り株などもあって,休憩には最適のポイントでした。東側の斜面にも,何らかの作業の跡が見られます。

この先は,南の中ノ谷川に向かって下山ですが,整備された林道の後の藪山下山はカルチャーショックです。この付近の尾根も倒木は切ってあるのですが,運び出されてはいないため,藪山と大差はありません。しかしテープのマーキングやプラスチックの標識がたくさんあり,手入れの跡がうかがえます。下山ルートは,尾根をなるべく真っ直ぐ進んで川辺に降りるつもりだったのですが,500m+の尾根の広い部分で方向が分からなくなりました。下山は怪我の可能性が高いため,なるべく楽なルートを選ぶことをモットーにしているので,一番分かり易い尾根を降りたところ,どんどん西に進んでしまい,栃原三角点との間にある沢に降りてきました。この尾根も木は切ってありますが,急勾配ですし岩場もあって楽な下山ルートではありません。沢に沿った破線道は自動車の通れる程度の道で,末広をまわって出発点の小学校まで戻りました。

このルートは倒木処理後の展望が魅力です。林道が尾根に達していることが分かったので,これを利用して更に北や東の尾根を歩くこともできそうです。しかし,どこから登ってきてるのかを調べなければなりません。

展望 ★★★
藪山度 ★★☆