2017年6月24日土曜日

天滝キャンプ場から杉ヶ沢高原

大屋町の天滝は、98mという兵庫県最高落差を持つ滝です。この北側には杉ヶ沢高原という地形図で見ても特異な平坦地があります。この付近を歩いてみようと思いました。

普通に天滝を見に行っても面白くないので、登り口は大屋町筏の天滝キャンプ場にしました。キャンプ場の中に段四等三角点(278.81m)があるはずなのですが、見つけられませんでした。ちょっと苦労してネットをくぐって、植林から尾根を登り始めました。作業道の跡らしいものもあって、登りにくくはないのですが、すぐに周囲は自然林になり、590m+のピークの手前付近には非常に急峻な場所があります。途中で藤無山などが見えることもありました。30分ほどの激登りで590m+ピークに着き、585mピークを過ぎると気持ちの良い植林です。そのまま尾根を歩くと尾根が細くなり,746mピークあたりからは天滝の音が聞こえるようになります。音だけでなく、木々の間から天滝の上のほうが少し見えました。しかし、この先の標高700m付近では、地形図では分かりませんが尾根が切れています。その先の鞍部へ降りるには、急斜面を巻かねばなりません。岩の多い西側の急斜面を降りましたが、かなり危険でした。ハイキングコースとしては難があると思います。

さらに岩の多い細尾根を歩くと、尾根が広くなって南側斜面の植林が伐採されており、尾根にはネットがありました。その先どうやって天滝に行くかを思案しました。すぐに谷に降りて横切れば、杉ヶ沢高原の南端に出られますから、天滝には最短コースとなります。しかしもう少し歩きたかったのと、沢を渡れるか分からなかったので、結局尾根を歩き続けました。この付近は植林ですが地面は落ち葉で埋まっており、気持の良い場所でした。しばらくはそのまま曲がりくねった尾根を歩き、「天滝頭 30.88ha」と書かれた看板が立っている所まで来て、谷に向かって降りました。この付近は谷も植林されています。場所によっては湿地になっており、気をつけないと靴が泥だらけになります。しかし開けた植林の谷は気持の良いものです。特に何もありませんが、地形図で南に延びている林道を探しました。確かに林道の終点があって、そこから北に歩きました。北に向かう谷も広々した草地があり、もっと広大な杉ヶ沢高原に出ました。木が少なく、ほとんどは草地です。平らにされている割には畑も少なく、とてももったいない気がしましたが、国定公園だからでしょうか。秋にはススキの草原になるのでしょう。建物もまばらですが、ところどころにある植林は美しく手入れされています。

北に登って行くと、Google Street Viewの終点に出ました。ここから6月といえ炎天下の舗装道路を東に歩くと、「拓魂」と書かれた石碑があり、まっすぐ歩くと植林に入りました。この付近のことは[1]に詳しく書かれています。ジギタリスやクリンソウを見ながら植林に入り、少し歩くとトイレがあります。さらに分岐の所に納屋のような建物があり、天滝までは2.0Kmとなっています。標識に従って天滝の方へ歩いていくと、左手(東側)が谷になります。谷の方向の木々を見ていたら、木の上に黒い固まりがあって、鳥の巣かと思ったら熊でした(写真)。かなり高い木の上の方で、しきりと何かを食べていました。枝から枝へ移動するのも登るのも素早いのですが、降りるのはなんとなく恐る恐るなのは人間と同じでした。

熊と分かれて少し歩くと休憩できる大きめのログハウスがあります。この先の林は「森林浴の森」だそうですが、道が分かりません。適当に抜けると道標がありました。この付近は平坦ですが、南側の天滝の谷に向かっては急斜面で、その境界には少しだけ盛り上がった土手のような場所が続いています。面白い地形です。滝に向かって急斜面をジグザグに降りて、次は斜面をトラバースして行きますが、途中にあるのが俵石で、節理に岩がちょうど俵くらいの大きさになって重なっています。道はしっかり作られたものですが、ところどころ崩落気味で、すり鉢の斜面を歩いているような感じの場所もあります。そして平坦地に一旦出てから再びジグザグに斜面を降りて、天滝に着きました。幼稚園から小学校くらいの子供がたくさんいてびっくりしました。天滝はさすがに迫力のある滝です。天滝から駐車場まで(Google Mapでは駐車場が天滝になっている)はかなり険しい登山道でしたが、子供や犬も登っていました。駐車場からは舗装道路でキャンプ場まで戻りました。

キャンプ場で話をした人は熊はいないと言っていたのですが、いちおう鈴は鳴らしていました。確かに熊を見たのはは杉ヶ沢高原で、天滝の南の山ではなかったので、言われたことは間違いではなかったようです。

展望 ☆☆☆
藪山度 ★★☆
地形図は「戸倉峠」「氷ノ山」です。

2017年6月17日土曜日

志戸坂峠から東に県境を歩く

志戸坂峠には西から尾根を歩いて2016/09/17に行きました。この時に、さらに東に鳥取県と岡山県の県境を歩けることに気付きました。そこで今回は、まず北から志戸坂峠を目指し、東に歩きました。

鳥取自動車道を駒帰で降りて、南に旧道を歩きました。峠に向かう旧道はいったん東に大きく曲がってから南に谷を進みます。かつての国道だけあって、幅は狭めですがしっかりした道です。トンネルの手前に風之窯という作陶場があるのですが、作業場らしいプレハブが潰れていました。この冬の雪で潰れたようです。鍵のかかっている志戸坂トンネルは昭和10年から56年まで使われたということで、今は漬物を作っているとWikipediaにはありますが、入り口付近には何も置かれていません。トンネルを見終わると、チェーン装着場から急斜面を登って峠越えの旧道にでました。これもしっかり作られた道です。カーブの所まで来ると「智頭往来」と書かれた看板があって説明文がありました。参勤交代にも使われた由緒ある道のようです。ここから峠まではすぐでした。途中に東屋もあります。峠は2016/9/17に来ましたが、峠の手前の道幅が狭くなっている所は、両側の斜面が崩れて狭くなっているようです。峠には木製のステップがあるのですが、やや腐りかけています。

今日の目的は峠から東に歩くことなのですが、峠の東側は急斜面すぎて登るのは難しいので、まず北側に降りてから、植林の作業道をたどり、最後は一気に斜面を登って663mピークに出ました。ここからは尾根歩きです。伐採した幹が転がっていますが、歩くには支障はなく、このあと尾根では障害物に会うことはありませんでした。ただし上り下りもあり、支尾根に迷い込みそうになることもありました。岩場はないので展望はわずかで、木の間から見える程度です。県境の標石のようなものは、まったくありません。

まず標高700m付近で鳥取側から林道が来ていました。この林道は北斜面に作られており、歩いているのと同じ北方向に向かっていましたが、尾根の標高が上がると見えなくなりました。そして四行田三等三角点(844.89m)には白い杭が立っていました。2016/05/14に沖ノ山の帰りに北の大井谷を歩いた時に、この尾根の北斜面に林道が見えたのですが、この付近から北側にも南側にもときどき林道が見えるようになりました。そして落ち葉に囲まれた新しい標石の段四等三角点(822.54m)を過ぎると両側に林道が並行して走るようになりました。ただし北側の林道はずっと繋がってはいないかも知れません。あとで谷から見ても、林道に入れそうな場所が数か所ありました。写真は805mピークを過ぎて撮ったものですが、尾根の両側に林道があります。ただしこれらの林道が尾根を越えて繋がることはありません。尾根を越える道がないので、どこから下山すればよいか悩みました。結局893mピークまで行って、その先の谷を北に降りることにしました。この鞍部には、初めて尾根を横切るような作業道が認められました。谷を降りるのは容易ではなく、倒木はありませんが谷底は水があって湿っているため、東側の斜面の少し上がった所をトラバースして降りました。幸い距離はあまりないので、大井谷に降りられました。

この地点では大井谷には破線道が描かれています。狭い川を渡った北側に舗装道路がありました。ただしこの舗装は場所によって剥がれています。この付近の地形は広々していて気持ちが良いのですが、不思議な地形なのでかんな流しの跡かも知れません。途中からは2016/05/14に通った道となり、しっかりした石垣が見られます。そして川の南側の神社に川越しに参拝し、「私有地につき無断立入禁止」の扉を過ぎて、出発地点まで1時間以上かけて戻りました。

志戸坂峠を越えて歩くのもよさそうですが、帰りにトンネルを歩くのは気が乗りません。それにしても参勤交代は徒歩なのでなんとかなるとしても、昭和10年までは峠越えの道を自動車も通っていたのでしょうか?かなり強力なエンジンが必要だったことでしょう。

展望 ☆☆☆
藪山度 ★★☆
地形図は「坂根」です。

2017年6月3日土曜日

若桜の千石岩から丹比へ

地形図を見ると、若桜鉄道は若桜駅から大きく北に出っ張った尾根の先を回って次の丹比駅へ走っています。この尾根の北には八東川が大きく蛇行して流れており、その北側には川の蛇行に沿ったブーメランのような形の山並みがあります。この山並みは面白そうなので歩いてみました。

登り口は若桜側で尾根の先に取り付きました。地形図ではあまりに急斜面で登るのは無理かと思ったのですが、南側は登れそうな感じだったので害獣避けの扉を開けて山に入って急斜面を登りました。すぐに作業道が見つかりました。これでかなり上まで登れたので、道が消えても急斜面をちょっと登れば尾根に上がれました。ここからは尾根歩きで、すぐに少し下って鞍部があります。この付近は植林で北の方から林道が来ていました。ここからの登りは急ですが、下草もなく楽に登れました。千石岩の下の付近にも北側から林道が来て終わっていました。千石岩に近づくと勾配は急になり、岩場になります。ピンクテープが登山道なのだろうと思って登っていくと、岩の間をよじ登って千石岩の上に出られました。さすがに展望は良いのですが、高所恐怖症なのであまり身を乗り出すことはできません。この付近の岩は数cmの板に劈開するタイプのもののようです。

千石岩から少し登ると平らな尾根になって、あとは気持ちの良い尾根歩きです。場所によっては幅の広い尾根で、553m地点の手前では尾根を乗り換えるような感じになります。そのうち植林も増えてきますが、だいたいは尾根の片側は自然林で、枯れ葉を踏んで歩けます。597mピークにも行ってみましたが、平らな植林です。このへんからちょっと分かりにくい所もありますが、尾根を登って丸尾三等三角点(639.92m)に着きました。白い木の「大切にしましょう」が朽ち掛かっています。

ここからは西に歩いて丹比の方に向かいました。最初しばらくは正しい尾根に到達するまであちこち迷いました。間違った尾根を降りて南の尾根に移り、しばらく降りていくと細い尾根になってきました。多少藪っぽい場所もあります。474m地点付近から先はGPSで位置と方向を確認しながらややこしい尾根を降りていきました。さらに西に行くと、地形図で見ても見事な細長い尾根になります。植林の所が多く、歩くのは容易です。両側を木々の間から見下ろすことができます。そのうちに「危険立入禁止」と書かれた札が落ちているようになりました。そしてドラム缶が3つ転がっていると思ったら城山三等三角点(351.07m)がありました。そのすぐ下にはプレハブのような小屋の残骸がありました。この付近は平坦地が作られているような印象があり、名前の通り山城があったのかも知れません。もう少し降りると「立入禁止 危険 富枝部落財産区」という札があちこちに立っていて、鉄線が張られていました。この付近の南側は崖で、落ちないようにという親切なのだと思いますが、誰がわざわざここまで登って来て崖から落ちるだろうかと思いました。確かに上から覗くと急斜面ですが、もちろん崖は見えません。降りてから見上げたところ、100mはあろうかという垂直な崖でした。尾根の上は危険はありませんが、笹薮を抜けるのに苦労したりで歩きにくくなりました。しばらく藪漕ぎをすると今度は急斜面になりました。ここにもピンクテープがあるのでそれを辿って木に掴まりながら降りていくと、金網もなく国道29号線に降りられました。丹比駅まで歩いて、2時間に1本しかない列車で若狭駅に戻りました。

三角点のところにあった小屋のことを考えると、別の降り方があったような気がします。千石岩から眺望も良く、尾根も全体に歩きやすかったので、良いコースだと思います。

展望 ★☆☆
藪山度 ★☆☆
地形図は「若桜」です。