2007年4月21日土曜日

大鳴渓谷

大鳴渓谷は,佐用郡佐用町,大型放射光施設スプリングエイトの西側,冨満の北側にあります。この渓谷について書く前に,その南の金出地ダムについて書いておきます。

金出地ダムは最初播磨科学公園都市の水源として工事が始められましたが,科学公園都市の人口があまり増えないことから建設は中断されました。その後鞍居川の治水事業として平成18年度から工事が再開されたことになっています。しかし,金出地ダムは,2007年夏現在何の工事も行われていません。予算は依然として調査や設計のためのものなのかも知れません。

金出地ダムは金出地から見に行くと,道路にゲートがあって立入禁止の大きな看板が何枚もあり,近づけません。しかし,北の三原から渓谷沿いに歩いていけば,自然に建設現場に入ってしまいます。三原から金出地に抜ける道は,科学公園都市ができる前は主要な道路であったらしく,車のすれ違いは困難ですが,舗装されています。建設現場には,現在は九本松橋という大きな橋が架かっており,西側の斜面にも幾つか大きな橋があります。どうやら金出地から冨満と三原に向かって新しい道路ができるようですが,ダムの周回道路は完成していません。また,ダムそのものは全く着工されておらず,どこにダムが出来るのか悩みました(最近の1/25000地形図には書いてあります)。

さて大鳴渓谷ですが,これは三原から金出地に抜ける渓谷から西に分岐しています。まず三原から金出地への道ですが,何度も鞍居川を横切るので橋がたくさんありますが,それぞれ名前が付いているのが興味深いところです。「堂床橋」「釜鳴橋」「流尾橋」など,誰が名付けたのでしょうか。スプリングエイトの西から金出地ダムの工事現場の北側まで,かなり深い渓谷で,風情があります。ダムが完成した暁には,清流沿いのハイキングコースとなるかも知れません。

大鳴渓谷へは,その三原から金出地に抜ける渓谷(冨満渓谷と呼ばれることもあるようです)から地形図上は破線道が延びています。ちょうど佐用町と上郡町の境界付近です。しかし,実際にこの地点に行くと,このような道は見あたりません。破線は沢の南に書いてありますが,ここは急斜面の岩場で,明らかに道はありません。北側の方がまだ歩きやすいのですが,私は無理して南側を歩いて大鳴渓谷に入りました。

水のある沢に両側から斜面が迫っており,歩きにくいことこの上なく,斜面を横切って沢を登っていくしか方法がありません。しばらく辛抱して歩くと,石垣が現れます。地形図にもありますが,この渓谷には畑があります。ただ,現在は全く耕作が行われていないので,藪になっています。石垣は畑を整地するためのもので,非常に隠し田的な感じのする場所です。一番近い村は大畑ですが,大畑の田圃を見に来た徴税役人がこの渓谷に気がつくとはとても思えません。現在は耕作されていませんが,護岸工事にコンクリートを使っている部分もあり,赤いプラスチックの杭があるところを見ると,全く忘れ去られているという訳でもないようです。

沢を登っていくと,植林が現れ,道も良くなります。この先の畑で,「東急」と書いたコンクリートの杭を見ました。こんなところを開発・・・でしょうか?

林道は大畑の方に登って行ってしまい,沢沿いは再び石垣で整備された段々畑になります。沢の一番上流はどうなっているのかよく分かりません。地形図にある破線道ははっきりしませんが,適当に藪を抜けて斜面を上がると道に出て,大畑の南西の舗装道路に出て来ました。

この渓谷は,ドライブマップでは紅葉のマークが付いています。どうやってドライブで見に行けるのか想像がつきませんが,狭い渓谷に耕地を作った努力は大したものだと思います。昔はこんな所まで耕して作物を作らないと生活できなかったのでしょう。近くの村の平家伝説と相まって興味深い渓谷歩きです。

展望 ★★☆ 渓谷なので展望はありません。秋の紅葉の期待点です。
藪山度 ★★☆

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