2012年5月27日日曜日

夢前町山之内熊部の与三兵衛三角点


以前に夢前町の我孫子から北に尾根を歩いた時、東側の谷の向こう側に植林の尾根が見えました。そこには与三兵衛(よそべえ)という三角点があるのですが、登山記録が見あたりません。とりあえず尾根の端から登ってみようと思って、佐中の北で谷が二つに別れる所に車をとめました。東の谷に行く林道は僧屋敷線というようですが、通行止めになっていて立入禁止と書いてあります。しかしよく読むと鍵はどこそこにあると書いてあり、自動車で入るなという意味だと理解して歩き始めました。ここは佐中の水道源なので、変なことをされると困るのは理解できます。

さて尾根にどこから登るかですが、堰堤のあたりまで東に行ってみて出てきた結論は、一番突端から登るのが一番楽そう、ということでした。そこで、林道の入口近くから登り始めました。灌木が邪魔ですが、ひどい藪ではありません。ただし急斜面です。これを我慢して標高差で150mほど登ると、やっと尾根らしくなりました。登っている間は尾根が広いので、尾根というよりも斜面を登っていただけでした。尾根も藪っぽく、植林は美しいのですが新緑に感動するほどではありません。ひたすら北を目指して歩くと、何度か急勾配の坂があって、与三兵衛四等三角点(613.67m)に出ました。ほとんど土に埋まっていました。途中で雪彦山などが見えましたが、展望はほとんどありません。この先の尾根も植林が主体ですが、枝を払って歩く所が多かったと思います。

尾根の北の端は高場山の麓に突き当たります。与三兵衛三角点の昭和46年の点の記にはこう書いてあります。「夢前町熊部部落北端より宮野に達する山道を北東方向に約0.8km登ると尾根に達する。本点は同所より尾根道を南方向に約0.8km登った山頂にある。」その宮野に至る山道が達する尾根とは、地形図から見るとこの場所のようです。道はありませんが炭焼き窯の跡がありました。点の記の地図を頼りに昔の山越えルートを探してみるのも面白いかも知れません。谷道ばかりなので、容易ではないと思いますが。

ここからは高場山に登りました。歩いてきた尾根から真っ直ぐ登ると急斜面となり、植林ですがほぼ藪と化していました。しかし少し西側を調べてみると踏み跡があり、両側から灌木の枝が飛び出してはいるものの、勾配もあまりなくてかなり登れました。しかし傾斜が急になると踏み跡も怪しくなりました。そこで更に西側を見るとこちらは一度伐採されたらしく、木がまばらでした。それで西にトラバースしましたが、そのうちに藪がきつくなり、登りを目指しました。西側には尾根が見えていたのですが、そこまで辿り着くのは無理で、結局イバラと格闘しながら急斜面を登りました。足元は崩れやすい砂地が多く、非常に登りにくい斜面でした。このルートは不正解です。

我慢して藪と格闘しながら登り続けると、ついに尾根に出られました。尾根の向こう側(北側)は大伐採地となっていました。尾根は藪でしたが、伐採地には降りずに登り続けました。最後は高場山の南の小ピークに出て、そこから鉄塔目指して登りました。ところが鉄塔は頑丈なネットに囲われており、付近はまたしてもイバラの藪でした。ネット沿いにだいぶ歩いたあげく、ネットに小さな穴を見つけて潜り込みました。この先もイバラの藪でしたが、それを抜けると柳谷四等三角点(797.56m)がありました。周囲は大展望です。疲れ果てていて、しばらく休みました。2009/03/21に北からここに登ってきて、南は草の背が高くてとても歩けないなと思ったのを思い出しました。

次は下山です。まず巨大な播磨中央線17鉄塔に行き、そのままネットを抜けて北の鞍部に降りました。そして西側の急斜面を降りて伐採地に出ました。伐採地から下の谷に降りる道があることを期待して下山道にしようと思ったのですが、降りて行ってみると伐採地の作業道はどれも途中で終わってしまいます。そこで気付いたのですが、これらの道の起点は伐採地の上端にある雪彦峰山林道なのです。伐採地自身も谷までは到達していません。写真は伐採地の下の方から撮った17鉄塔です。

道探しで伐採地を降りたり登ったりして疲労困憊していたのですが、気を取り直して伐採地の端にある鉄塔まで行って巡視路で降りることにしました。しかし実は伐採地の道は鉄塔にも達しておらず、またしてもイバラの藪を通り抜けて、やっと播磨中央線16鉄塔に出ました。ここからは巡視路で谷に降りましたが、この道は植林の作業道で、黒いプラ階段が随所にあるものの杉の枝に覆われています。作業道なので水平に走っている部分も多く、非常に長い道のりを歩くことになりました。プラ階段と黄色いテープが目印ですが、間隔が非常にあいている場所があり、何度か巡視路を見失いそうになりました。しかしそれでもなんとか谷まで到達できました。

谷に出れば良い道があることを期待していたのですが、この谷はかなり荒れ気味でした。さすがに関電の巡視路だけあって谷川沿いに道はあるのですが、危なげな木の橋とか、安心して歩けるような道ではありません。谷には両側から岩が迫っており、見応えのある大岩がたくさんありました。何度も川を渡って、最後にまともな道に出てきたのは、地形図で道が二股に分かれている(川も分かれている)地点でした。危なげな金属の橋を渡って、車の通れる道に出ました。

イバラの藪を何度も抜けたため、文字どうり満身創痍になりました。折しもジャケツイバラの花盛りというのが皮肉です。

展望 ★★☆
藪山度 ★★★
地形図は「寺前」です。

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