三日月町から北に向かう道の入り口に、「塩田三日月線 この5km先通行不能」と書いた立て札が立っています。通行不能とは普通は車で通れないことを言うと思いますが、歩いて通れるのかは行ってみないとわかりません。というわけで、行ってみました。
Wikipediaによると、兵庫県道433号塩田三日月線は宍粟市山崎町塩田と作用郡作用町三日月を結ぶ総延長13.195kmの一般県道となっています。三日月から塩田に行くには本郷川を遡って本郷峠を通るのがもっとも単純な行き方ですが、地形図上はこの道は途中で破線道になってしまいますから、車でこの県道の全区間を通ることはどう見ても不可能です。
とりあえずこの破線道になるところまで車で行きました。途中で「林道三日月本郷線開設工事」という道路工事の看板を見ました。いよいよ林道(2007/10/28を参照)が完成に近づいているようです。ここまでは2車線の良い道ですが、いきなり道は未舗装道路二本に分かれます。右は雨ケ岳の南を通って山崎町高下に抜ける道、左が本郷峠に向かう道で、左の道には「塩田三日月線 この先通行不能」という立て札が立っています。二つの道の間には、重機などが置いてある作業場があります。倒木の処理でもしているのでしょうか。
以前にこの近くの高丸山に行ったとき(2006/12/02)に、この付近の谷は倒木で埋まっていることが多いことを知りました。したがって、この道にも倒木を予想していたのですが、これだけ重機があると片付けられているかと少し期待しました。じっさい塩田三日月線を歩き始めると、未舗装ですが歩きやすく、本郷川の両側斜面の植林の倒木もかなり整理されています。道に斜面から倒れている倒木も、切ってあります。というわけで、最初は良い気分で歩いていたのですが、本郷峠までの道のりの半分くらいを歩くと、倒木が道を覆っていました。
この付近の倒木は斜面から道に倒れこんでいるので、その多くは下をくぐることができます。枝がついている木が多いのですが、倒れてから年数がたっているため枝が割りと簡単に折れるので、枝を折って隙間を作って潜り抜けました。しかし、だんだんと草も増えてきますし、道が沼化している場所も多くあります。この道はしっかりと作られており、川の側にはコンクリートの壁が作られている場所も多くありますが、川からやや高いところにあるために、倒木で下が見えないと川に転落する可能性があります。なるべく川から離れて歩きました。
倒木を数本くぐったり乗り越えたりすると、数10mほど道が見えますが、またすぐに倒木で覆われてしまいます。しかも、次第にシダが増えてきて、地面が見えなくなりました。場所によっては川に下りて歩いたところもありますが、川にも倒木があるのでそれで問題が解決するわけではありません。
結局1時間ほど倒木と格闘して1kmほど歩き、沢が二つに分かれる地点に着きました。よくここまで歩いたものだと自分でも感心します。しかし、ここから右手の本郷峠までの谷も倒木とシダで埋まっており、とても先に進む気にはなりませんでした。右手の川の向こうを見ると雑木林なので、川を渡って斜面を登りました。かなりの急斜面ですが、土が乾いているだけでも幸せに感じました。すぐに歩きやすい尾根に乗れて、さらに町境(北は宍粟市山崎町、南は佐用郡佐用町)の尾根に着きました。あとは本郷峠まで尾根を北に歩きました。
本郷峠は、人工的と思われる切通しになっています。北側は植林で、壊れかけた小屋があってお地蔵さんがあります(写真)。小屋の板には署名がたくさんあって、昭和30年のものもありました。北側と南側で植林の様子は大きく異なり、南側の道には倒木が見られます。この道は古くから重要な交通路であったと思われますが、今となってはまさしく通行不能でした。
この後は、尾根を戻って南東の雨ヶ岳を目指しました。少し尾根を登るとネットの張ってある場所があり、ここでは北側で倒木処理が行われていました。さすがに宍粟材の地元だけあって、宍粟市は植林の手入れに熱心です。木が伐採されているおかげで、中国自動車道の北側の山々がよく見えます。上牧谷三角点付近の山や、水剣山、黒尾山が見えました。
この先は尾根歩きですが、徐々に荷造り用ビニールテープが増えてきて、ここが松茸山だということが分かってきます。茸を取らないようにという地主からのメッセージもあります。このテープに沿って歩いて、何度か尾根を間違えました。間違えずに町境の尾根を進んでも、問題があります。岩の多い483mピークの南で、雨ヶ岳に行く道が見つからないのです。地形図を見ると分かりますが、この尾根は雨ヶ岳にはつながっておらず、南西に向かっています。雨ヶ岳に行くには一度尾根を乗り換えるのですが、その道が見つからなかったのです。雨ヶ岳から来れば、尾根をまっすぐ進めばこちらの尾根に乗れるのですが、反対向きは簡単ではありません。
雨ヶ岳にもう一度行ってみたかったのですが、その場合の下山路は地形図の破線道となります。これは川沿いではありませんが、明らかに沢のような場所を通っており、倒木の可能性があります(これは確認していません)。そこで、楽な尾根で下山しようと、雨ヶ岳には行かずにそのまま南西に尾根を進みました。尾根の先端は、車を止めた道路の分岐点です。この尾根は植林で、道こそありませんが歩きやすく、楽に下山できました。350mピークまでくると雑木林になり、最後は急斜面を作業場に降りました。
三日月町の北の山は現在でも大倒木地帯となっています。2004年の台風前のレポート([1])でも、かなり悲惨なようです。尾根は歩ける場所が多いと思いますが、尾根でも場所によっては倒木がありますので、あまり足を踏み入れないほうが無難と思います。
展望 ★☆☆
藪山度 ★★★ 倒木だらけです
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