2018年7月18日水曜日

芦津発電所から沖ノ山

沖ノ山は雪の積もった冬に東の若杉峠からスキーで行くのが定番のようです。これはチシマザサが茂っていて夏は歩きにくいのが一因です。以前(2016/05/14)に南の駒帰の方から林道を利用して登ったことがありますが、この時にもチシマザサを避けて歩く必要がありました。一方で沖ノ山の北西には長い尾根が延びており、一度歩いてみたいと思っていました。しかし航空写真を見るとこの方面は尾根に沿って草地がたくさんあります。草地がチシマザサの藪だとすると、とてもこの距離は歩けません。しかし最近この尾根を歩いたという報告があり([1])、勇気づけられて歩いてみることにしました。途中でチシマザサに行く手を遮られたら素直に戻ってくるつもりでした。

登り口は芦津発電所の西から南に入る林道です。入り口はチェーンが掛かっており、車は入れません。周囲には発電所から来ている送電線(中電 芦津線)があり、鉄塔の立っている部分は木がありません。植林を切ったというより、植林しなかったようで、今となっては鉄塔よりも周囲の杉の木の方が高くなっています。先々週の大雨の土石流で荒れている箇所もありますが、植林の中を斜面沿いに登って、谷に出ました。ここで林道は西に行きます。南西の山は野段三角点のある山で、ここから南に地形図の破線道で谷を登れば、2018/07/14に野段三角点から東に降りた谷に出ます。そこでは林道工事が行われていたのですが、この地点には工事の形跡はありません。地形図では南に向かう谷に破線道がありますが、灌木で覆われていました。この破線道をちょっと登ってから東に植林を登りました。かなりの急斜面ですが、足元は悪くありません。標高が高いので気温も27度程度で、なんとか標高差50mを登れば、あとは楽に登になりました。西からは工事の音がしていました。後で調べると、芦津渓谷の南あたりから林道を延ばして、2018/07/14に見た工事中の林道に繋がる予定のようでした。これを中ノ津線と呼ぶようです。

832mピークは植林です。ここから南東に植林を降りて(この付近を中ノ津線が通る?)、大きな岩を見たりマムシに挨拶したりしながら斜面を登って、980m+ピークに出ました。ここから東に964m地点を通り、少しずつ登って行きますが、勾配は緩く、たまにシダが生えているものの、周囲は植林か自然林なので気持ちよく歩けました。1162mピークを間違えずに東に進み、1138mピークに向かうとシダの間に枯れたチシマザサの茎が残っていることがありました。しかし尾根はほとんどが林で、照りつけられることはありませんし、シダは低いので問題になりません。航空写真どうりに北斜面は美しいシダの草原になっているのですが、尾根は大部分日陰を歩けました。ただその分だけ展望はありません。1138mピークを過ぎてもまだ林は続きますが、たまに通るシダ藪にはチシマザサの茎が増えてきます。1266mピークを過ぎても同じです。最終的に尾根に木がなくなるのは、1270m+ピークからで、ここで植林の縁は南に行ってしまいます。このことは航空写真でも確認できます。

1270m+ピークから東の鞍部に向かって500m程度は、シダの草原を歩かねばなりません。膝くらいの低いシダですが、踏み跡は不明瞭でチシマザサの茎も残っています。炎天下ですが、ところどころに大きなブナの木が生えていて、その日陰から日陰へと移動して進みました。そして沖ノ山の北東の林の日陰に入り、沖ノ山の頂上に出ました。中原二等三角点(1317.94m)がありますが、切り開かれて日陰がないので、近くのブナの林に逃げ込みました。とにかく山頂まで尾根歩きで来られたので満足でした。ブナの林も綺麗です。登り始めから4時間近くかかりました。

下山はさらに東に歩いて林道を目指しました。Google mapでは山頂の東に「沖ノ山展望所」というマークがあるのですが、道がないのでそちらには行かず、まっすぐに歩きました。林を抜けると、徐々にチシマザサの茎が増えてきて、枯れていないチシマザサも増えてきました。南下方には林道が見え、これが駒帰から来る大井谷林道に繋がっているはずですが、そちらには降りないで藪の1240m+ピークまで行き北に降りました。こちらもシダとチシマザサの混ざった草地ですが、正面の山が伐採されており、数本の木が面白い形に残っていました(写真)。この先をちょっと降りると未舗装の林道に出ました。

ここからは長い林道歩きで下山しました。ここも雨でかなり流されています。しばらく泥の多い林道を降りると、地形図の破線道になりますが、ここは沖ノ山森林鉄道の跡だそうです。レールなどは見当たりませんが、勾配が少なく、いかにも森林鉄道という感じです。そのぶん大回りになりますが、崩落箇所以外は楽に歩けました。その下は舗装されていますが、荒れている場所が多く、道に泥が積もっていたり、道が川になっていたり、ひどい状況でした。ただ、植林の美しさは印象的でした。この道は地形図の「小川」沿いで、降りていくと沖ノ山林道(東に行けば東山の南から吉川を通って岩屋堂に出る)に出ました。ただ、沖の山林道に出た所には、歩いてきた道の方にも「沖の山林道」と書かれています。メインの沖ノ山林道も泥が除去されたばかりのようで、この時はあちこちで路面を水が流れており、防水なしの登山靴には辛いものがありました。さらに三滝ダムから芦津渓谷セラピーロードを歩きました。道は整備されていましたが、谷沿いで湿度が高く風はなく、高所に付けられた鉄の橋は肝試しのようでした。この道も森林鉄道の跡のようです。結局林道から2時間歩いて発電所に戻りました。

とにかく沖ノ山まで歩けたというだけで大満足の登山でした。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★☆
地形図は「郷原」です。

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