2018年5月12日土曜日

若桜森林鉄道を歩く

先週のリベンジは、[1][2]を十分に参考にしました。先週と同じように県道103号線から林道を歩き、今回は道標の石がある所から登り始めました。同じ場所でも下りと登りでは受ける印象は違います。最初の登りはとてもきつく、尾根に上がって一息つきました。その後も岩場の登りはかなりの急斜面でしたが、それを過ぎると気持ちの良い尾根歩きになりました。先週やっとのことでたどり着いた860mピークを過ぎ、さらに北に歩きました。ときどき標石があります。勾配は少なく、木の間隔が広いので広々しています。周囲はほぼ自然林ですが、笹が生えており、これがはびこると歩きにくくなりそうです。標高900m付近はちょっと登りで、944mピークまで来て、東の尾根に降りました。しばらく歩いて尾根を降りると、道がありました。これが森林鉄道(正確には沢川林道線というらしい)です。

まずは森林鉄道を北に歩いてみました。すぐに切通しがあり、両側はしっかりした石積みで抑えられています。地面には落ち葉や植林の枝の下にレールがありますが、水が溜まっている部分もありました。切通しを抜けると林道が分岐しており、北へ行くのは森林鉄道のルートですが、北西にも林道がありました。森林鉄道を歩くと、レールが道の端に積み上げてありましたが、鉄道を林道に拡張した時に打ち捨てたものと思われます(レールと言っても遊園地の乗り物用みたいなレールです)。あまり急な登りはなく(鉄道なので当然なのですが)、東因幡林道に着きました。これは若桜氷ノ山から続く長い林道ですが、この部分は未舗装です。しかもちょうど森林鉄道の起点となる部分で道路が崩落していました。バイクはともかく自動車で通るのは厳しいと思います。東因幡林道の下にも別の林道があったようですが、これは完全に流されていました。ここまで、県道103号線から2時間以上かかりました。

東因幡林道を起点として、沢川林道線全線制覇を目指しました。まずさっきの切通しまで戻り、その先を歩きました。ほぼ地形図どおりで、東に斜面を進んで行きます。小さな谷は石積みで補強してありますし、カーブは内側のレールを二本にするなど、しっかり作られています。斜面の崩落で埋まってしまった場所もあります。谷に降りて行くのですが、勾配を付けられないので大きくUターンを繰り返します。レールの間に太さ30cmほどの木が生えていて、歴史を感じさせます。最初の谷は橋が落ちており、レールだけが中に浮いていました。橋がどう作られていたのかは分かりませんが、下に特に大きな人工物が落ちているわけではないので、木造の橋だったのかも知れません。この先しばらくは真っすぐの幅の広い道で、ここはレールがほとんど見えなかったのですが、林道用に道を拡張した時に埋めたようです。

尾根先をターンして、次の谷にはコンクリートの橋が残っていました。両端に石を積んで段を作り、そこに二本のコンクリートブロックを載せるという形ですが、この大きなブロックをここまで運ぶのは、鉄道があったとは言え大変だったと思います。鉄道はこの東で切通しを抜けて、次の谷に入りますが、ここには小さなコンクリートの橋が二つ掛かっています。この付近には後から林道が作られていて鉄道のトラックを追えないのですが、標高の高い位置で谷の奥に入った鉄道が谷を東に一度渡り、Uターンして谷の手前でもう一度谷を渡って標高の低い位置で折り返す、という設計のようでした(写真は上流側から見たもの)。なんとも手の混んだ作りですが、この谷を下るにはこうせざるを得なかったのでしょうか。ここでは鉄道は地形図の破線道(林道)よりも下に作られており、分岐があって引き込み線が作られていました。すれ違い用かも知れません。ポイントの動作はよく分かりませんが、特に切り替えるような仕様は見られませんでした。

鉄道は支尾根をぐるっと廻って先程の最初のコンクリート橋の下流に戻ってきます。林道はここで最初の橋まで行ってしまうのですが、鉄道は下流側で再び谷を渡ります。ただしこの橋は落ちています。下にコンクリートブロックが落ちていないので、木製の橋だったのでしょうか?この付近でも鉄道は林道よりも下を通って尾根裾を廻ります。林道は斜面を削って作ってあるのに対して、鉄道は溝の中を走っています。これも勾配を避けるためと思われます。尾根を廻った先には小さな沢がいくつかあって、現存のコンクリート橋が一つ、それから落ちた橋が二つありました(もっとあったかも)。そして少し開けた場所で谷を渡りますが、渡った西側の少し上がった所に建物の基礎が残っていました。レンガやタイルもあり、地中にケーブルも見えました。

鉄道はさらに南に谷を下っていきます。広い谷ですが鉄道は斜面のやや上に作らてています。小さな谷には石積みで道を作り、出っ張った斜面は掘り込んで水平道になるように工夫されていますが、この付近にはレールは残っていません。尾根先を廻って谷が西に、さらに南に向かうと、山側が険しくなってきて、見上げると断崖があったりします。谷が再び西に曲がる付近では鉄道はかなり高い位置になっており、岩を削って作られています。この付近の岩は板状節理がきれいに入っています。尾根先を廻るとガードレールが作られていますが、見た所レールを組み合わせて作ったような感じもします。山側は節理の入った岩が続き、楽しめる道ですが、しばらく行くと終点に着きました。ここには大きなコンクリートのブロックがあって、ウィンチか何かが設置されて木材を谷に下ろしたのだろうと思います。GPSでは鉄道路を歩き始めて6kmほど、標高差150mほどになっています。Mirindaの瓶が落ちていました。

問題は森林鉄道の終点からどうやって下山するかです。斜面を100mほど登れば平らな尾根に出られますが、また860mピークに戻って帰ることになるので時間がかかります。降りる方は急勾配ですが、先週登った沢からは300mほどしか離れていないので、そちらを目指して降り始めました。最初は道らしいものがあって、斜めに西に下っていくとレールのようなものが落ちていました。しかしその先はガレ石(板状節理のかけら)の急斜面となりました。崩れやすい土の斜面よりは降りやすいのですが、その先は土なので枝や草に掴まって斜めに降りて行きました。斜面をトラバースして先週登った沢に着きましたが、沢の斜面は掴まるものがなくて、降りて沢を渡るのにはかなり時間がかかりました。今から考えると、最初から斜めに降りるのではなく、材木と同じようにまっすぐ谷に向かって降りて、[2]のように標高の低い位置で谷沿いに歩いたほうが、この沢の下の方に出てくるので楽だったと思われます。沢を渡ると先週歩いた作業道があり、さらにもう一つの沢を渡ってからも作業道を見つけて、無事に林道まで降りることができました。

姫路からは車で2時間かかりますし、決して行きやすい場所ではありませんが、森林鉄道だけでなく、周囲の自然まで含めて楽しめる山歩きでした。

展望 ☆☆☆
藪山度 ★★☆
地形図は「若桜」です

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