2012年8月21日火曜日

イタリ山と石金山


黒田庄の北の端、加古川が篠山川と分岐する地点に立つイタリ山は、どう考えても山城として最適の要所にありますが、不思議と城跡を確認した例は無いようです([1])。イタリ山から西に尾根を伝えば石金山まで気持ちよさそうな縦走コースに見えます。展望も良さそうなので、歩いてみました。このコースは[2]と同じですが季節が違うので印象も異なります。

国道175号線を黒田庄から北上し、道の駅・山南仁王駅の先、橋の前で左折して出会い公園を過ぎて駐車場に車をとめました。山南仁王駅は道の駅としては認定されていないようで、「簡易パーキング」と表示されています。なお、登山道の道標にも「山南仁王駅」の方向が表示されていることが多く、最初は播但線の駅かと思いました。車を停めた駐車場には意外と車が多いのですが、クーラーを付けたまま運転手が乗っている車が多く、休憩所として使われているようです。駐車場の端に「至山登山口 この上 300m」という札が立っています。そちらに歩いて行くと確かに幅の広い道から山の上の方に分岐があるのですが、この場所には何も指示がないので、気付かずに水平な広い道を歩いて行きそうでした。登り始めると地形図どうりにジグザグな急登です。途中に「至山稲荷大社跡」という札があるのですが、どこが跡なのか分かりません。少し石組みが残っていますが、この急斜面に神社が立っていたのでしょうか?そして、「田高坂⇒石金山」という標識を過ぎて登ると、ツーカーのアンテナが立っています。山頂にはNHK山南テレビ中継放送所があります。パラボラもありますが、アンテナはすっかり地デジです。山頂は藪で囲まれており、登山道以外を歩こうという気は全く起きません。至山三等三角点(273.84m)がありました。山頂は展望はありますが、暑いのですぐに登山道に戻りました。

素直に登山道の分岐から石金山(3.1km)を目指しました。この分岐のところはいきなり藪に入るので驚きます。マーキングが1mおきに付けられているので、迷う可能性はありませんが、マーキングがなければ突入するのは憚られます。しかし周囲は藪でも道はしっかりしており、すぐに次の通信塔に着きました。これはドコモでしょう。308m地点で、休憩所となっていますが、暑いので先に進みました。この先の尾根には電柱が立ち電線と光ファイバーが引かれています。次の休憩所はドコモの黒田庄無線中継所で、大規模な施設です。この通信塔とさっき通り過ぎた通信塔の関係はどうなっているのでしょうか?この先の尾根にはドコモが設置した金属製の長い階段が続いており、楽なのですが、ステップの幅が歩幅と微妙に合わず意外と疲れました。次の280m+ピークは展望台となっていて、南側の展望があります。

階段を降りると田高坂峠です。寛政8年のお地蔵様があります。破線道もしっかりと横切っていますが、西向きには関電の赤い「火の用心」が二つ立っています。坂を登ると、撤去された鉄塔の跡に出ました。この系統(黒田庄支線?)は使われておらず、山の上の鉄塔はほとんど撤去されています。平地に立っているものは残っていますが、もちろん電線は張られていません。鉄塔跡地からは笹薮を抜けて松の木が生えているだけの306mピークに出ました。次の鉄塔は北摂長田野線57で、小振りです。この先も巡視路が続き、58鉄塔への北向の分岐がありますが、心細い道でした。この付近でタヌキとニアミスしました。西に進むと分岐があり、56鉄塔へは左、石金山は右になります([2])。右は急斜面で岩場があり、鎖と木のはしごが装備されています。これが天狗岩で、これを登り切ると440m+ピークに出ます。ここも展望があります。特に東の丹波地方がよく見えていました。ピーク近くには「滝ノ方展望台」もあり、北東側が見えます。そして坂を降りると小新屋観音への下山道への分岐に出ます。この先登山道は二つのピークを巻いて進み、ロープを伝って岩場を上がると、石金山山頂です。石金山三等三角点(508.42m)があります。「360°展望」と書いた札が立っているくらいで、ちょっと木で邪魔される方向を除いて300度以上の展望があります。天気が良かったので、明石海峡大橋から千が峰、篠ヶ峰のアンテナ、北すぐに蛇山など、このへんのたいがいの山が見えています。

さて下山ですが、最初は天狗岩のあるピークから北に延びる尾根を降りようと思っていました。しかし付近の様子を見ると、切り込んでいける場所がありません。そもそもイタリ山以来、登山道がなければ歩きたくない尾根が続いていましたから、道のない尾根を降りるのは無謀です。というわけで、素直に小新屋観音へ下山することにしました。植林の中を抜ける道で歩きやすいのですが、最後は伐採地の南側の谷に出てきます。この谷は倒木や石で埋まっており、道も消えかかっています。ここを過ぎると谷沿いの林の中をちょっと抜け、扉を抜けて小新屋観音に出ました。

ここからは降りられなかった尾根の先をぐるっとまわって、最後は川沿いに駐車場に戻りましたが、夏の強烈な日差しの中を1時間かかりました。尾根の先にある、山からは学校に見える建物は「大地農園アースマターズギャラリー」だそうです。川の土手脇には道標を見つけましたが、うまく読めません。田高坂峠へ至る道への分岐には「右ハやま」とありました。左は「たきのゑ」としか読めません(写真)。なお、田高坂峠の方へ行かずに川沿いに歩くと、通行止めになっています。道の最後は山と川に挟まれており、山沿いは植林の影で気分が良いのですが、川に近づくと大きな草が茂っていて藪っぽくなります。ここが最後の藪漕ぎで、すぐに駐車場に出ました。

けっこう藪がきついな、というのが感想です。山麓からは山に入る道がいくつもありましたが、里山へ入るのが目的の道だとすると、尾根に登る道はほとんど無いでしょう。

展望 ★★★
藪山度 ★★☆
地形図は「中村町」「谷川」「丹波和田」です。

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