2006年12月2日土曜日

三日月の高丸山

高丸山は三日月の北にある標高536.2mの山です。地形図を見ると,添谷という集落から少し山を登ると神社があり,この北の尾根沿いに登って行けそうです。しかし,インターネットで調べると高丸山に登るには谷道の林道を使うのが一般的です([1][2])。このような場合,この尾根道が使われないのには理由があるものなのですが,例によって何事もチャレンジということで行ってみました。

神社への道はきつい登りです。息が切れてきた頃に鳥居がありますが、ここから更に長い急坂が続きます。やっと着いた神社は立派なもので,ここまでよく建材を運んだと思います。石碑には,佐用郡幕山村中山の和田乙則さんという棟梁の方が昭和6年4月に建てられたと書いてありますが,現存の建物のことなのかどうかは分かりません。

神社の裏は薮っぽいのですが,少し登ると尾根道らしきものが現れます。いずれにしても木と木の間隔が離れているので,楽に登れます。倒木は予想ほどはありませんし,あっても数が少ないので越えていけます。急斜面もありますが,普通の薮山という感じです。眺望は残念ながら全くありません。

しかし,尾根を登り詰めると印象が変わります。地形図の高丸山の標高536.2という数字の小数点の下の辺りは広い平地に見えますが,ここには植林の倒木があり,高丸山への道を塞いでいるのです([2])。写真はその大規模な倒木地帯を見て途方に暮れていたときに撮ったものです。この地点は南北の風の通り道になっており,杉の大木が大量に倒れています。木はすべて南向きに倒れているので,北側の斜面を少し降りて通りました。しかし,北斜面は非常に急な谷で,倒木がありますから,歩くのは決して容易ではありません。何度か途方に暮れたあげく,大木の幹を這いつくばって登り降りして,ようやく高丸山の斜面にたどり着きました。

あとは高丸山の北斜面を頂上までまっすぐ登りました。頂上には三角点と,プレートが一枚ありました。北から登ってきたのはラッキーでした。というのは,この後の計画は北に歩いて林道に出て添谷に戻ってくることになっていたからです。高丸山の山頂から北に向かう尾根へ出るには何の標識もない広い斜面を降りるしかありませんから,南から登ってきたら迷う可能性が高いと思います。

北へ向かう尾根道は倒木も少なく快適です。はっきりした尾根で道に迷う可能性も無いと思います。ただし534mのピークだけは別です。これは高丸山に1.2m負けただけで名前も付けてもらえず何の標識も無いピークですが,周囲に尾根が多く,非常に迷いやすくなっています([3])。南から北に行くだけなら,ピークに行かずに真っ直ぐ進めば迷うことはないのですが,ピークがあると行ってみたくなるのが人情で,来た方角を見失ってどちらに降りるかが大問題となります。

534mピークの北の尾根を少し進むと,林道のなれの果てになります。なれの果てというのは,草ぼうぼうで自動車が通れる可能性は無いからです。南北に走っているので南に向かうと添谷に帰れそうな気がしましたが,林道はしばしば山奥で突然終点になることがあるので,地形図に林道が描いてある北を目指しました。これは正解だったと思います。

この林道は山の斜面につけられていますが,その荒れ方には驚きます。倒木を跨いだりくぐったり,藪山歩きと変わりません。コンクリート舗装の上に倒木が折り重なって倒れている所もあります。しばらく歩くと地形図に描いてある林道に出ます。ここから東方面へ歩きましたが,しばらくは倒木も少なく,気持ちの良い林道歩きが楽しめました。しかし,だんだん道が怪しくなります。この林道は地形図で見る限りは添谷から登ってくるルートの延長なのですが,そちらに近づくほど道が荒れてくるのは不思議です。倒木と草をかき分けて進む箇所もあります。

添谷に向かう林道をさらに南に進むと,看板があります。三日月町が出した看板で一般車通行止めと書いてあるのですが,通行しようにも倒木がありますから通れるはずはありません。しかも,この標識から沢を下っていくと,林道は完全に倒木に埋もれてしまっています。どこが道だか全く分からなくなります。この沢はもともとは手入れがよく,片側には石積みの堤防があって林道はその上にあるのですが,倒木によって道も堤防も見えません。こんな状況が数100mに渡って続きます。通行止めの看板まで行けるのはブルドーザーか戦車くらいのものでしょう。歩くのも非常に困難で,フィールドアスレチックだと思って倒木をよじ登ったり這いつくばってくぐったりして,なんとか乗り切りました。山頂近くの倒木よりもずっと大変でした。 このあとしばらく降りると材木が積んであり,植林活動の成果が見られました。しかし,倒木の数を考えると,この山がきれいになるのにあと何年かかるのか想像がつきません。それにしても,地形図の破線道が存在しなかったり歩けなかったりすることはよくありますが,実線道が人もほとんど通れないというのは珍しいと思います。これでは登山計画を立てるのはとても難しくなってしまいます。

結論として,「倒木のため05年9月現在一般的でない」([2])というのは本当でした。

展望 ★☆☆
藪山度 ★★★

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